大晦日の攻防戦
今年も早いもので、気がつけば大晦日という日を迎えていた。
去年は自宅で新年を迎えた静香は、今年の大晦日の夜は岩泉の家にお邪魔することになっていた。
ちなみに、新年は岩泉が静香の家に遊びに来ることになっており、もはやお互いの交際は公認になっている。
午後から岩泉の家に向かい、年越しの準備をすることにはなっているのだが、その前に岩泉の部屋の大掃除である。
散らかっているというわけではないが、普段掃除しないところにはそれなりの汚れも溜っており、一人で掃除をするのも大変だろうということで、静香は大掃除の手伝いにやって来ていた。
台所周りを掃除している岩泉を他所に、静香は備え付けのクローゼットに付いている踏み台を引き出した。
恐らく岩泉が使う必要は無いものであるが、クローゼットの上の棚を整理するためには、静香はこれを使わざるを得ない。
そうして踏み台に上がり、クローゼットの上棚をなんとか覗き込む。
普段ここには冬用の布団などが入っているのだが、今の時期はそれを使用しているせいで空間が目立つ。
大きめのプラスチックケースと、他に小さめの小物が転がっているだけのこのスペースは、軽く埃を落として拭くだけで充分だろう。
そう思いながら中の荷物を取り出そうとした静香は、ふとこの棚に置かれているあるものに視線を奪われた。
比較的新しめで、厚みもそれなりに大きめな本のようなそれは、写真を収めるアルバムというものである。
以前はこんなものあっただろうか…?という疑問のもと、静香は少し重めのアルバムを引っ張りだした。
埃も被っておらず、ごく最近このスペースに置かれたであろうことが伺えるアルバムの表紙を眺めてから、静香は興味本位で中を開いた。
まず見開きに現れたのは、岩泉のお母さんとお父さん、そして一緒に写る赤ちゃんの写真である。
それを見ただけで、このアルバムが何なのか分からない静香ではない。
まさかこんな物が見られるとは思わず、静香はそろりと踏み台から降りて、机の上に重めのアルバムを置いて広げる。
そして次に現れた、彼の面影を強く残す幼稚園児の入園式の写真を見て、確信する。
これは岩泉の小さい頃からの写真を集めたアルバムである。
「静香、ちょっと休憩しようぜ…」
「…あ」
台所の片付けが一段落したらしい岩泉が、湯気の立つカップを片手に静香のいる部屋に戻って来た。
そして静香が何かを眺めている事に気付いた岩泉は、それが何なのか思い至ったらしい。
「…そういや、そこにしまってたな…それ」
「…ごめん」
「いや…別に構わねぇよ」
大して気に留めた様子も無く、岩泉は静香の手元にカップを置いてから、その隣に腰を下ろした。
「この前母さんが持って来たんだよ。なんか一生懸命写真入れたから見て〜!だとさ」
「…それで、見たの?」
「いや、忘れてたわ」
アルバム持って来られた時すげー眠くてさ…と言いながら、岩泉は開かれた自身のアルバムに視線を落とす。
過去の自分をこうして写真で見るのは、なんとも言えない恥ずかしさもあるが、懐かしむのもまた楽しいものである。
「この隣に写ってるの、及川だぞ」
「だと思った、及川の面影あるもん…」
一緒に虫取りにでも行ったのだろう。
岩泉の指差した写真には、虫かごを肩にかけ、網を持った小さな男の子が二人写っている。
二人共何故か泥だらけの傷だらけで、これはどうしてなのかと岩泉に尋ねると、覚えてないとの事だった。
もう10年以上前のことだろうから、それもしょうがない。
そうして次のページを捲ると、岩泉の幼少期の写真はまだ続くようだった。
わりと及川と一緒の写真が多く、二人の付き合いの長さというものを改めて思い知る。
「可愛いなぁ、このはじめ」
「…そうか?」
幼稚園のクリスマス会での写真だろうか。
先にポンポンのついた三角帽子を被り、サンタさんに扮している先生からプレゼントを受け取っている岩泉の写真は、なかなかに可愛らしく母性本能をくすぐられる。
指でトントンとその写真を示してみるが、岩泉はいまいち良く分かっていない様子で、カップに口をつけて傾ける。
しかし、こんな可愛らしいやんちゃな男の子が、目の前にいるこの人に成長するのだから末恐ろしい。
ゴクリと息を飲んだ静香に気付いて、岩泉は微妙な表情で「何だよ…」と零す。
「…人の成長って、恐ろしいね」
「はぁ…?」
サンタさんからプレゼントを貰って照れくさそうにしているこの男の子が十数年後、静香に何度も『男の人』だと思い知らせる今の岩泉になるのだから、男の子はずるいと思う。
そんな事を思いながらも、静香はパラパラとアルバムのページを捲っていく。
朝顔の植木鉢を持ってピースする小学生の頃の岩泉の写真。
夏休みに及川と一緒にプールに行った時の写真。
バレークラブでの合宿の写真。
卒業式での写真。
そして中学の頃の写真は、その半数をバレー関連が占めていた。
岩泉のこれまで歩んで来た歴史というものを覗き見しているようで、静香は夢中になってアルバムを眺める。
そんな静香を岩泉が横目で伺っていると気付かないままにページを捲り、静香はついに自身と岩泉が一緒に写っている写真を見つけた。
高校3年の頃、岩泉の家の夕食に呼ばれて行った時の写真である。
及川も含めて3人で席につき、カメラに向かってピースをしている。
「こんなことあったね…。確かこのとき、及川に好きな子がいるって初めて知ったなぁ」
「…そういやそうだったな…」
懐かしいなぁ…なんて思いながら呑気に次のページを捲った静香だったが、目の前に飛び込んで来た写真を見て思わず固まる。
そんな静香の様子に気付いてアルバムに視線を落とした岩泉は、予想外の事に思わず吹き出した。
まるで咽せるかのようにゴホゴホと咳き込む岩泉の隣で、静香はアルバムに挟み込まれた写真達を凝視する。
高校の図書室の机で眠っている静香の寝顔の写真、いつだったか夏祭りに行った時の浴衣の格好をしている時の写真、岩泉の家に遊びに行った時の岩泉とのツーショット、沢に遊びに行った時の水着の格好で笑っている静香の写真、卒業式に教室で岩泉と一緒に撮って貰った写真、その他諸々。
この見開きにページにタイトルをつけるならば、まさに『栗原静香との思い出』である。
「…ねぇ、はじめ…。私が撮られた覚えのない写真が何枚かあるんだけど…」
「………そろそろ掃除再開するか」
「ちょっと!」
あからさまにこの場から逃げようとしている岩泉の服の裾を掴むも、岩泉は顔を片手で覆ったまま立ち上がる。
そうして半ば静香を引きずるように台所へ移動し、カップを流し台に置いてからため息をついた。
項垂れている岩泉とは反対に、静香は先程からしつこく「ねぇねぇ」と追及する。
「ねぇってば、はじめ」
「…なぁ、お前に今の俺の気持ちが分かるか?…こっそり持ってた写真お前にバレた上に、母親にもバレてたんだぞ…」
死にてぇ…と言いながら、岩泉は流し台に両手をついた。
思いの外ダメージを食らっているらしいが、その大半はおそらく、自身の母親に写真の存在がバレていたことによるだろう。
だからわざわざアルバムなんか持ってきたのか…と気付いたものの、岩泉にとっては後の祭である。
そんな羞恥に悶える岩泉と反対に、静香は嬉々として岩泉の袖を掴んだまま口元を緩ませている。
「そっか〜、岩泉も私の写真持ってたんだね〜」
「……顔だるだるだぞ、お前」
あーもう…とぼやきながら、岩泉は緩く静香の緩んだ頬を摘む。
痛くない程度にふにふにと摘みながら、なんとか落ち着いてきたらしい岩泉は、静香に一矢報いようと口を開く。
「…お前だって、俺の写真隠し持ってるだろ?」
「そうだけど、とっくの昔に岩泉にバレてる事だから全然恥ずかしくないや」
「…生意気」
「あはは」
笑う静香の頬からゆるりと手を離した岩泉は、どうしたものかと思案する。
何か反撃の手はないかと考えている事が分かり、静香は両手を背後に回して、岩泉の頭に妙案が浮かぶのを待つ。
そして数秒後、反撃の手を思いついたらしい岩泉は、流しに片手をついたまま静香に向き直る。
「好きな女の写真持ってて、何か悪いかよ」
もはや捨て身の特攻である。
言った本人も恥ずかしいだろうが、言われた方も恥ずかしい言葉に静香も照れはしたものの、素直に嬉しいという気持ちが勝ち、岩泉の期待する程の動揺もなくに応える。
「悪くないです」
「…なんで照れねぇんだよ」
くそ…と言いながらも、岩泉は照れくさげに静香と目を合わせ、可笑しくなったのかクスクスと笑い出す。
「…来年もこんな風に過ごせたらいいな」
「うん」
来年だけど言わずこれからも、どうぞ宜しくお願いします。こちらこそ。
改まって二人で挨拶を交わしひとしきり笑った後、まだ大掃除の途中であることを思い出した。
早く片付けないと午後になってしまう、ということで、二人は掃除を再開する。
岩泉は台所周辺の仕上げの清掃、静香はアルバムを見つけ出したクローゼットの清掃の続きである。
岩泉のアルバムは全て確認できてはいないが、後の楽しみにとっておこうと静香はなんとか我慢する。
そう思ってクローゼットの前で踏み台に上がったものの、「他にもうアルバムは無いのかな…」という好奇心が再び湧き上がり、静香はしつこく上棚を漁る。
そうして暫く時間が経ったところで、台所から岩泉が戻って来た。
「…まだやってんのかお前」
「だって…まだアルバムあるかもしれないでしょ?」
「ねぇって…これで全部だよ」
呆れながらも、踏み台の上で一瞬よろめいた静香をフォローするように、岩泉はクローゼットの方に慌てて寄って来る。
大丈夫かよ…と言いながらこちらを見上げる岩泉を見下ろし、静香はその新鮮さに手の動きを止める。
「私とはじめって…このくらいの身長差じゃない?」
台の上から岩泉を見下ろす角度から、なんとなくそうなのではないかと思っての発言だった。
そう言われた岩泉も、静香を見上げてから何度か瞬きした後、「そうかもな」と納得する。
岩泉がいつも私を見下ろすときはこんな感じなのか…としみじみと思いながら、静香は口元を緩ませて、岩泉の頭の上にポンと手を置き、短い髪をわしゃりと掻き撫でた。
「はじめの真似〜」
「おい…」
たまにわしゃわしゃと頭を撫でてくれる、岩泉の大きくて優しい手つきが好きだ。
それが伝わればいいのに、なんて思いながら調子に乗って岩泉の頭を撫でていると、暫くされるがままになっていた岩泉がふと顔を上げた。
そしてそのまま、岩泉は頭を撫でていた静香の手を軽く掴み、自身の頭の上に添えられていた手のひらをどかした。
その時にあらわになった岩泉の口元は緩やかに弧を描いている。
そうして岩泉は掴んでいた静香の手を離し、おもむろに背伸びをして静香の首に腕を伸ばし、そのままぎゅっと抱きついた。
下から誰かに、ましてや岩泉に抱きつかれたことなどない静香は、思わぬ恋人の行動に「え?」という間抜けな声を漏らす。
静香の肩辺りに顔を埋めたままの岩泉は、あろうことか静香の首筋にすり寄ってくるので、静香の背筋ぞわりとした感覚が走る。
なんとも言えない柄も言えぬ感覚に呆然としていると、静香の首筋に頭を寄せていた岩泉が楽しそうに口を開く。
「静香の真似」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
しかし、自分の真似だという岩泉の言葉を反芻し、その意味をやっと理解する。
普段自分が岩泉に抱きついた時の仕草を、岩泉が真似てみせているのだ。
静香は大体岩泉に抱きつく時、触れ合っていることが嬉しくてすり寄ることが多いのだ。
そうしていると岩泉に抱きついているのだと改めて実感できるし、より距離を縮められている気がしてついやってしまうのだが、される側がこんな複雑な心境に陥るものだとは思わなかった。
自身よりも図体の大きいがっしりとした男の人に抱きつかれているというのに、妙にこみ上げて来るこの愛しさはなんなのだろう。
加護欲というものに近いだろうか、自身に抱きついている岩泉が強烈に可愛く思えてしまう。
岩泉も、いつもこんな気持ちだったのだろうか。
そう思いながら、静香は恐る恐る岩泉の後頭部に手を添える。
岩泉はいつも、どういうふうに自分を抱きしめてくれていただろうか。
何気なく行なわれているだろう行動を思い出しながら、静香は岩泉の頭をポンポンと叩く。
「…はじめの真似」
ちょっとした仕返しのつもりでの発言だった。
しかし、ここで岩泉が口端を上げた事に、岩泉の表情を伺えない静香が気付けるはずもない。
「好き」
ぽつりと耳で囁かれた言葉に、静香はグサリと胸を貫かれた。
今、岩泉は「好き」と言っただろうか。
我が耳を疑いながら、静香はゴクリと息を飲む。
そりゃあ、岩泉に「好きだ」と言われたことは何度かある。
しかし、それはいつも何だか甘くて良い雰囲気の時くらいで、あまり何度も口にはしなかったはずである。
それを今、こんな何でも無い時に言ってくるものだから、静香は混乱する。
「…静香の真似」
「……えっ」
私の真似とはどういう事だろうかと思ったが、直ぐにその意味に思い至る。
静香は割と直ぐに岩泉に好意を伝えがちで、特に抱きしめて貰った時は岩泉に良く「好き」「大好き」などと漏らしている自覚はある。
どうやら今のはそれを指摘されたらしいが、この感覚はなんだろう。
岩泉にそんなことを耳元で言われてしまうと、先程から心臓が落ち着かずに忙しない。
いつも岩泉も、こうなのだろうか。
私のこの発言にドキドキとしてくれているのだろうか。
こんな時岩泉は、にどういう風に応えてくれただろうか。
「…知ってる」
静香が「好き」だと伝えると、岩泉は決まって包み込むような答えをくれる。
それを思い出しながら、岩泉の口調を真似して対抗する。
そうしていつの間にか、お互いの真似のしあいをするという、張り合いの火蓋が切て落とされる。
「キスしたい」
静香の予想外の言葉が、岩泉の口から出た。
確かに、この前静香は岩泉にそう言ってキスをねだりはしたが、何もそこまで再現しなくてもいいじゃないか!
羞恥に襲われながら固まっていると、静香の片口に顔を埋めている岩泉がクスクスと笑うので、妙にくすぐったい。
岩泉の首に腕を回して抱きつくのが好きな静香ではあるが、もしかして岩泉は普段このくすぐったさを我慢してくれていたのだろうか。
そんな事を思いながら、静香は息を整えて岩泉の肩を掴み、ゆっくりと距離を取る。
この争いに負けてなるかという意地半分、岩泉とキスをしたいという思い半分。
不毛な争いだという事は分かっている。
そしてこの不毛な争いは、平和な甘ったるさしか生み出さない。
「…できんのか」
「できる…!」
こちらを見上げる岩泉を見下ろしながら、静香はすぅと息を吸い込む。
岩泉がいつもしてくれるみたいに、キスをすればいいだけの話だ。
優しく、ソフトに…と唇に意識を集中させながら、静香は背中を丸めてゆっくりと目を伏せる。
それに気付いた岩泉も、静香に応えるように目を閉じる。
普段キスをされる事の方が多い静香と違い幾分か余裕があるのか、この状況を楽しんでいるのか、岩泉の閉じられた口元は笑っている。
立場は逆転しているはずなのにどうして敵わないんだろう…と思いながらも、静香はゆっくり岩泉の唇に自身のそれを重ねた。
軽く触れるようにくっつけてからすぐに唇を離すと、岩泉はそれを追いかけるように再び口を塞ぐ。
キスをする時、私はこんなに積極的だっただろうかと思い返すと、いくらか思い当たる部分もあった。
岩泉は一体、どこまで『静香の真似事』という持ちネタを持っているのだろう。
岩泉になりきっているつもりの静香の方は、もはやネタが尽きそうだ。
ちゅ、ちゅとキスを繰り返しながら、静香はなんとか過去の記憶を引っ張りだす。
こんな時岩泉はどうするだろう。
どんなことをしてくれただろう。
これ以上『岩泉の真似事』が思い浮かばない静香は、窮地に立たされる。
そして追いつめに追いつめられたせいか、いつの間にかキスをする側からされる側になってきているせいか、静香の脳裏にあることが思い浮かぶ。
そしてそれを行動に移そうと、静香は岩泉の肩をぎゅっと掴んでいた手を移動させて岩泉の服の裾を捲り、手を服の中に滑り込ませた。
それには岩泉も流石に驚いたらしく、一度キスの応酬を中断させて、呆気にとられたように静香を見上げる。
「……何してんだ?」
「い…いや…岩泉の真似を…」
「………」
岩泉の背中を直に撫でながら、静香はここで自身の行動の大胆さに気付いた。
確かに自分がしでかしたことは、『岩泉の真似』と言っても間違いではない。
しかし、その『真似』というものを行動に移してしまったという時点で、静香は自爆してしまったのだ。
「…俺、女物の下着はつけてねーぞ」
「し、知ってるよ!」
気付かれている。
岩泉に静香が何を思ってこのような行動に走ったのか理解されていて、羞恥で泣きたくなった。
以前、岩泉にこういう風にされた事があったのだ。
岩泉の家でキスを繰り返している最中、岩泉が静香の服の中に手を滑り込ませて、背中を撫でながら下着のホックを外したことが。
そんな岩泉の行動の真似事をしたところで、岩泉は胸を覆う下着なんてつけているはずもない。
静香の行動はただ単に岩泉の背中を撫でただけか、何かを期待してのおねだりといったところにしか収まらない。
いやらしい女だと思われただろうか…と静香が不安に思っている所で、岩泉は不意に静香の両足を抱え込んだ。
そしてそのまま抱き上げられて、静香は慌てて岩泉の肩に手を置いて体を支える。
「ちょっ…はじめ…!」
「やっぱ、しっくり来ねーな」
抱き上げられ、踏み台から離れた足は、次に岩泉の部屋のフローリングに下ろされる。
岩泉の肩に置いていた手をそのままに、静香はいつも通りの目線で岩泉を見上げる。
そして岩泉もまた、普段通りに静香を見下ろし、楽しそうにニヤリと笑うのだ。
「これなら、さっきのも上手くできるぞ」
「えっ」
そして正しい立場に戻った岩泉は、早速静香の服の裾に手を滑りこませ、大きな手で背中を直に撫で上げる。
途中で触れた下着のホック付近で手を止めて、岩泉はそれを外すか外さないかのところで指の動きを止める。
そのせいで剥き出しになった、静香のお腹と背中が少し寒い。
「これされんの、意外とくすぐってぇんだな」
「…はじめも、私が抱きつくとくすぐったいでしょ」
「慣れりゃ、そうでもねーよ」
「…そっか」
それなら良かったと言わんばかりに、静香は背伸びをして岩泉の首に巻き付くように腕を伸ばす。
ぎゅっと抱きついてから、先程の仕返しとばかりに岩泉の首筋にすり寄ると、岩泉はさり気なく静香の下着のホックをパチリと外す。
「…する時間無いと思うんだけど…」
「…だよな」
大掃除は、まだ終わりそうにない。
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