俺は、ずっと一緒に過ごしてきた幼馴染の過去最大にして、最強の反応に困るギャグに、頭を抱えた。
さて、この状況を打破するために目の前の幼馴染の経歴について、思い出してみよう……。
この男の名は真崎登呂(まさきとろ)
年齢16歳。
高校2年生。
頭は良いが、運動は苦手。とか言ってる癖に腹筋が割れてる。
ちなみに、体育の授業は見学している。よく分からんが長時間日差しの下にいるのがダメらしく、1リットルペットボトルの水をよく持ってる。
保健体育の時はガチで教科書眺めるど変態。医者目指してるとかなんとか言ってたから、そういう理由かもしんないけど。
性格はスーパークール。
というのは周りの評価で話すのが苦手なだけ。
顔が良いからそんな評価をもらっている。まじでずるい。
対して俺も話すのが苦手なのにクール扱いされない。理由は簡単。イケメンじゃないから。
どこにでもいそうな顔、量産型。顔が覚えにくい。何度も聞いたセリフである。
強制参加である女子の顔面受験に落とされた俺は、無事、真崎の金魚の糞という評定をいただいた。
まぁ、そんなのはどうだっていい。
要はこのクール(笑)な幼馴染はギャグを言わないタイプであり、冗談を間に受けるタイプである。
なのに、急に反応のしにくいギャグを言うとは、何があったのだろうか。
とりあえず、スライムについておさらいしよう。
俺が思いつくスライムといえば
某アホ顔の青い奴か、
yousubeにある、ASMRとかいう訳の分からん単語のついた動画でよく切り刻まれているカラフルなスライムの2択である。
この幼馴染はこの2つのうちのどちらかということなのだろうか。
前者ならば、某ゲーム会社に肖像権を訴え、幼馴染の画像を使った奴らに罰金を請求できるし、
後者ならば気持ちのいい音の為に切り刻まれる仕事が出来るということだ。
だが、常識として生きたスライムというのは聞いたことがない。
いるのだとしたら、この世は摩訶不思議な世の中であり、ITによるメタバースな空間だけでなく、現実の超ファンタジーな未来を期待することができる。
ということで、俺が取った作戦は俺自身は常識人だけど、もしも幼馴染がスライムだったらいいなー作戦だ。
「へ、へ〜?スライムってことは手足どろどろにして伸ばせんの?」
「うん」
なんて事だ!こいつはマジでスライムなのか!いや、そんなはずないだろ!
「やってみせてよ」
「いいよ。でも、ここで見られるとまずいから四鷹(よたか)ん家行ってもいい?」
「おう」
まぁ、十中八九、俺の家行ってゲームしてそんなこといってたっけー★と誤魔化す作戦だろう。そうはいかないぞ登呂。
「なぁ、登呂、もしも嘘だったらロシスーでとろサーモン奢ってよ」
俺は優しい男だから、寒い嘘だった場合でもとろサーモンという108円で済む道も用意しておく。行ったら10皿くらいは絶対に注文するが。
「いいよ。で、本当だったら?」
「え?」
「今のままだとそっちだけ得じゃん」
「あー確かに」
でも、どうせ嘘なんだから、と言おうとしたところで、登呂がじゃあ、と前置きする。
「俺が本当にスライムだったら、孕ませていい?」
「は??はらませるってなに」
「子孫を残す行為」
絶句した。こいつ、冗談にしても、その冗談はやばすぎるだろ。
クラスメイトの女にこんな冗談言った日には血祭だろう。
いや、顔真っ赤にしながら、頷かれて終わりか。クール(笑)イケメン死んでくれ!
腹いせに冗談に乗っかっておいて、次もその冗談は通じますよ、という演出をしておこう。
そうすれば、こいつはこのスライム発言を誰これ構わず言うことになる。
生まれた時からイージーモードのこいつなのだ。少しくらいはいいだろう。
「分かったわ♡孕ませてダーリン♡」
「うん。その言葉忘れないでね」
スライムなんていやしない。
ファンタジー、二次元なんて所詮妄想の世界でしかない。
今はまだ高校生2年だから良いが、
大学に行くまでに受験が待っているし、
そこでまた現実(勉強地獄)を味わうことになる。下手したら浪人コースになるかもしれない。
高校の時は登呂が勉強を教えてくれたから良かったが……。正直もう二度とやりたくない。
将来のこともそろそろ考えないといけない時期だが、まぁ。受験間際になるまではこの幼馴染と馬鹿できるのだから、楽しいものだ。
「四鷹の家、今から行ってもいい?」
「いいよ、親今日いないし」
「ありがとう」
それから登呂と俺の家に直行した。
俺の親は相変わらずいないし、正直この家は登呂との秘密のアジトとなっている。
玄関のカギを閉めて、靴をきちんと揃えようとする登呂の手を引っ張って二階に連れていく。
「さてと、見せてもらおうか。どんな手品がでてくるか楽しみだなぁ」
「四鷹、見てて」
「!!」
幼馴染がぐにゃりと歪んだ。
ひらりと主を失った制服の中から
透明なぶにぶにとした液体が
自在に動いている。
嘘だろ。手品とかそんなレベルじゃない。目の前で人間がぐにゃりって溶けていったんだけど。
「は?おい、登呂、もういいよ。どんな手品使ったんだよ」
樹液みたいなものがふよふよと動いている。
まさか。本当にこれが……こんな透明な樹液みたいなのが登呂なのか?
登呂じゃない。こんなのが登呂だなんて認めない。
恐怖と驚きで固まっていると、スライムがこちらに向かってくる。
「ひっ、近づくなっ、来るなよ!」
ビクッとスライムが仰け反るとふよふよと動いて、後退する。
次はどんな行動を取るのかハラハラしていると、スライムから汁のようなものがどろりと流れ出てきた。
なに、それ……
なにだしてんだよそれ……
ベッドの上に乗り上げて、スライムから距離をとると、スライムは後退していき、扉の下の隙間からするりとスライムが出ていった。
部屋がびちゃびちゃだ……。
ぐちゅり……ぐちゅり……と扉の外側から音が聞こえてくる。
呆然と扉を見ていると、下の隙間からどんどんスライムの分泌物が出てくる。
「それ、止めてよ……」
懇願する気持ちと恐怖の気持ちで相反しつつお願いする。
くちゃりと音がすると、幼いころから何度も聞いてきた声が聞こえる。
「無理……っ……俺…………」
「登呂……?」
慣れ親しんだ声に、動揺する。
あの幼馴染なのか?本当に?
「俺……そんなに気持ちわるい……?」
「っ……!」
その悲痛な声を聞いて扉を開けようとドアノブに手をかける。
「開けるな!」
俺、四鷹にこれ以上嫌われたくないよ。
そう言った登呂の声は掠れていた。
あのクールとも評された登呂がこんな声を出すなんて。
「怖い……もう見ないで……。俺、四鷹に嫌われたら……」
「登呂……」
「……」
数秒の空白。きっとこの時間は俺にとっても、登呂にとっても大事な時間。慎重に推し進めていかないと。もう登呂には会えなくなる気がする。
登呂が傷つかない言葉を考えてみたが、何にも思いつかない。
ええい。もうヤケだ。いつも通り接してしまえ。
扉に体を預けて、口をゆっくりと開いた。
「登呂がスライムかぁ。スライムってことは、どんな姿にでもなれんの?」
「……なれる。けれど、なりたいものの構造を、隅から隅まで知り尽くさないと、体が崩れてしまう。それには知識がすごく必要なんだ」
「そっか、だから登呂は真面目なんだな。何の科目やるにしても貪欲に吸収しようとするもんな」
「……そうしないと、俺は、人間になれないから」
「でも、かっこいいと思うぞ。本来なら人間である俺たちが自分達のことを一番理解しなきゃならないのにさ。遊ぶのに夢中になって疎かになっちゃってるもん。そう考えるとさ、登呂がいれば俺の体のこと、安心して任せられるよな」
「俺に任せていいの。スライムなのに」
「あぁ。扉の向こうにいるスライムは俺をこの高校に合格させた逸材だからな」
「……俺、またそばにいていいの?」
「お前が必死に人間のことを理解しようとしてんのに、俺がスライムであるお前を理解しないのは不公平だろ……。でも、こんなこと言ってるけど、正直……お前のことは怖いと思っている。俺はビビリだから、お前のことすぐに受け入れられないかもしんない。けど、それでも、理解したいと思うよ」
「〜〜〜〜四鷹!!」
扉が開けられて、いつもの姿をした幼馴染がこちらに飛び込んできた。
当然服はないので、すっぽんぽんの真っ裸である。
「待て、近すぎ!」
「四鷹……好き」
「うっ、」
目の前にいるのは訳も分からぬ生物だというのに、人間の姿をしているというだけで、
しかもイケメンというだけで許せてしまう。世の中顔が大事だという人がいるが、あながち間違いではないかもしれない。
スライムを名乗る謎の生命体に何かを学んだ気でいると、登呂がこちらを見て静かに笑っている。
顔が良すぎる上に、羨ましい肉体をしている。腹割れてるし、顔良いし、身長あるし。
スライムずるくね???
そう言って思考を巡らせていると、登呂が必殺顎クイをくり出してきた。何でされているのか分からないまま目を見張る。
「ねぇ、四鷹。さっきした約束覚えてるよね?」
ー−−俺が本当にスライムだったら、孕ませていい?
ー−−分かったわ♡孕ませてダーリン♡
「あーあれか。はい。妊娠しましたー」
登呂の脱いだ服を自分の制服の中に詰め込んで、腹が膨らんだようにみせる。
「違う。それじゃ服を膨らませただけだ」
え、まさか、こいつ本気にしてるのか。
「妊娠って……冗談だろ?」
「……」
「女性と男性でしか子供はできないし、そもそも妊娠は女性がするんだぞ」
「……子作りの練習したい」
「……動画は?AV貸すぞ?」
「AVって子作りを記録している映像媒体のこと?それだと、感覚が分からないから練習しづらい」
「じゃあ、風俗があるだろ。お金払って…セ、……クスさせてもらえばいい」
「俺の正体がばれるかも。感情高ぶると変身崩れちゃうし」
「っぐ……」
「ねぇ、お願い。俺の相手してよ四鷹。男同士だと気持ちいいって言ってたよ」
「ちょ、ちょっと待てよ、女の姿になれないのか」
「なれない。男の体ばっかり調べてきちゃったから。女の子の体はよく知らないし、男の体のままで生きていこうと思ってる」
「なんでだよ、女になれるなんて羨ましいけどな。胸揉み放題じゃん」
「……四鷹といると楽しいから。女の子になっちゃったら、今までみたいにいられないと思うし」
「そうか」
確かに、登呂が女になったら、今までみたいに接しないな。
もっと素気なくなってしまうかも。
「賭け提案してきたのは、四鷹でしょ。それに、人間のこともっと理解したいから、お願い」
「ぐっ」
俺、こいつの顔弱いのかもしれない。顔近づけられたの初めてだから今知った。
「ね。やろ」
「ま、待て……挿れられるの俺?」
「うん。孕ませてって言ってたから、そうしようと思って」
「孕ませたいとか言うからだろ!!言っとくけど、俺男同士のやり方も知らないからなっ」
「いいよ、俺が知ってるから」
そっと俺の背中に手を差し込んで、お姫様抱っことかいうやつをされる。
「いや、待て待て、何をするんだよっ」
「ベッドでしないと、背骨悪くなっちゃうし、血行も悪くなっちゃうよ」
「そういう問題じゃないんだよ……」
いつも俺が寝ているベッドに降ろされると、
登呂が上に乗っかって首筋に顔を埋めてきた。
「はぁ……四鷹の匂い……」
「やめろ、くすぐったい」
「四鷹……」
登呂は何かスイッチが入ってしまったのか、エロい息をはきながら首筋を舐めた。
「ふ……ぅっ、待って、こんな感じですすめんの」
「ダメ?四鷹のおちんぽ、もう勃ってるけど」
「うぁ……うそ、やめ……さわんなぁっ、ふっく……」
おちんぽなんてエロい言葉、男が使っても気持ち悪いだけだと思ってたけど、こんなに興奮するのか……。
「四鷹も脱ごうね」
「自分で脱ぐからっ脱がせなくていいよッ」
「服脱がせるのってエッチな気分になるって言ってたよ」
そういいながら、全裸の男がボタンをはずしていく。
全て外し終え、服を脱がされる。
「毛、薄いんだね」
「言うなよ……地味にコンプレックスなんだからさ」
「俺はこういう毛ないよ?」
そういわれて、登呂の顔や脇を見ていくと確かに体毛がない。
眉毛とさらさらの髪の毛だけだ。
その下までじっと見ていくと……。待って、こいつでかすぎないか!
「おい、なんでこんなでっかいんだよ!」
「ん?同人誌で見たんだ。日本人はどんなサイズを望んでるのかなって。これぐらいのサイズが多かったから真似してみた」
「ひっ、そんなもん俺に挿れる気かよッ!もう少し小さくてもいいだろ」
「……ふーん。このまんまにしておこうかな」
「はぁ!?そこはゆずらねぇぞっ……っひ!?どこ触ってんだよっ」
「乳首。男でも気持ちよくなれるらしいよ」
「何処知識だよそれ」
「AV。女の人が舐めて、男の人が感じてた」
「そんな知識つけてくんな!いらないだろ!」
「いるよ、四鷹も俺も……気持ちよくなれるようにね」
乳首をきゅっと抓まれて、もう片方を舌でべろりと舐められる。
「ひっ……やめろよ……くすぐったい……やらなくていいからっ……」
「はぁ……可愛い……ここでも気持ちよくできるように頑張るね」
そういうと、抓んでいた方の手を陰茎に移す。
「ぅあ……ふぁあっ……」
「四鷹……」
目前に登呂の顔が映る。
「んっ……」
「口開けて、四鷹」
「挿れるだけなら、キスなんていらないだろ」
「……そう」
「ぃ゛っ!?やめ、急にはげしっ、ひぎっ……」
登呂は陰茎を上下に動かした。
「いたいっ、もっと緩めろっ登呂っ」
「キスさせてくれるならいいよ」
「していいから、ゆっくり……」
「うん。分かった」
登呂の陰茎に這わせた手から、じわりとぬめぬめしたものがでてきた。
とろついていて、尚且つあったかい。最強ローションだ。
「これなら痛くない?」
「痛く、ないな」
え、それ、体液じゃないの?大丈夫なの?と考えるよりも前に登呂がにこりと笑う。
「じゃあ大丈夫だね」
とろりっ……♥ぐちゅぐちゅぐちゅ♥ぐちゅぐちゅぐちゅ♥
とろついた手なのに、たまに起きる肌と肌の摩擦で体がぶるりと震える。
「ひぁあああ゛あ゛ッ♡はげししゅぎぃいい♡やめ、やめっ……んっ……あっ……ふぁあっ♡」
ちゅっちゅ♥
子供みたいなキスだ。表面の唇だけそっと触れるキス。
それなのに、俺、馬鹿みたいに感じてる。こんなのまるで女みたいだ。
「ビクビクしてる……きもちいいの?」
扱く手を止められて、優しい声で問い詰められる。
生殺しだ。さっさと動かしてほしいのに、敢えて止められている。
この幼馴染の性格を、段々と理解してきた俺は正直に答えた。
「……きもちい……っ……」
「そっか。良かった。イっていいよ」
ぐちぐち♥ぐりぃ♥
鈴口を手の平で乱暴にこねくり回される。
その後に指先で中心を押しつぶされた。
「ひんっ♡だめだめだめっ♡いくっいぐぅ♡いぐぅぅうう゛う゛♡」
ぴちゃっ、といつもオナニーしてるより少し多いくらいの精液が出た。
「俺の体液、四鷹の体液と混じってる♥」
ぬちゃぬちゃ、と、楽しそうに手のひらの中の精液を見ている。
四鷹……っ四鷹……と、エロい声で囁かれ、体はビクンと反応した。
おかしい。こんなんじゃ俺の体反応しなかったのに。