ツイログ

背中 / 永倉 新八


隣で眠る新八の剥き出しの胸や腹には、幾つもの傷痕が残っている。
その痕を埋めるように指でなぞっていると、くすぐったかったのか新八は小さく唸って寝返りを打った。
一転して傷一つない背中が現れる。
真っ直ぐ前を見据え、戦った証。
いつも護ってくれるその背中に、頬を寄せて目を瞑った。


秘密 / 藤堂 平助


今日も恋文が来なかったと落ち込む平助を励まそうと、私は声を掛ける。
「大丈夫。新八さんよりも一人分有利だから」
精一杯の笑顔で言えば、血走った目の平助に詰め寄られた。
「誰だ?!あの子か!?」
「ひみつ〜」
私を思い浮かべない平助に“好き”なんて絶対に言わないんだから。


三歩後ろを歩け / 斉藤 一


「ねぇねぇハジメ、このあいださ」
「なぁ、なんでお前隣に来るわけ?」
「え……ハジメと話そうと思って……」
「三歩後ろを歩けよ」
「……」
「俺が新撰組って知ってんだろ?襲われた時に間合いにいられちゃたまんねぇからな。三歩くらい後ろなら話もできんだろ」
「……うん!分かった!」


背丈 / 阿比留 鋭三郎


「元気ないね、鋭三郎」
「なんで俺だけ背低いんだろ……はぁ……」
「それなら私だって他の子よりも大きいし……気にしても仕方ないじゃない。私はそのままの鋭三郎が好きだなぁ」
「ば、好きとかおま、」
「ふふっ鋭三郎ったら顔真っ赤」
「うっせぇ!……お前もそのままで十分可愛いぜ」
「!!」


結ぶ縁 / 服部 武雄


どうしよう。鼻緒が切れてしまった。このままでは帰るに帰れない。
立ち尽くす私を見かねたのか、男性が来て、無言でしゃがみこむ。
彼は自分の手拭いを躊躇なく裂いて、即座に鼻緒のすげ替えをしてくれた。
立ち去ろうとする彼を呼び止めて名を尋ねた。

「服部武雄」

私と彼が初めて出会った日。


髪結い / 田中 新兵衛・岡田 以蔵


新兵衛の白黒の髪を結うのは、私の仕事だ。
白と黒が混ざらないように慎重に纏めていると、廊下から以蔵が顔を出す。
「また新兵衛さんの髪結うとるがか?」
「チッ……」
見られたくないのか機嫌が悪くなる新兵衛。
そんな彼をなだめ、腰を下ろした以蔵と他愛のない話をする。
私の一番大好きな時間。


義弟 / 新家 粂太郎


「いいなぁ高畠さまが兄で」
「本当に粂は兄様のこと好きなのね」
「当たり前だろ!かっけぇし、オレにもあんな兄が……あっ!」
「?」
「なぁなぁ、大人になったらさ、嫁に来てくれよ!」
「えっ……」
「そしたらオレ、高畠さまの弟になれる!!」
「……粂とは絶対結婚しない」
「えっ、何で?!」


縫合 / 新家 粂太郎・ムシクイ


「おい」
「また?」
「うるせぇ。さっさと縫え」
「はぁ……チクチクするけど我慢してね」
粂太郎の頭を膝に乗せ、私は針を手にする。
注意しても大口を開けて嘲笑うから、今日こそはお仕置きしなくちゃね。
私は紅色の糸を手に取った。
「ちょ、ブプッ…んん゛っ、お洒落でっせ!」
「うるせぇ!!」


七草粥 / ムシクイ


「おはようございます!ムシクイさん、今朝は七草粥ですよ〜!」
「粥ぅ?なんやしけとんなぁ」
「まぁまぁ、そう言わず…ムシクイさんが今年一年無病息災でありますようにって作ったんですから!」
「……!ふ、ふーん…そういうことなら食ったるわ…」

※いつか書きたいシリーズ『メシクイムシ』の一コマ的な。


まがいもの/???


『このヤマ終わったら一緒にならへん?』
そう尋ねてくる大好きな人の声。
私は頬を伝う涙もそのままに目の前の体にしがみついた。
彼はいつも通り、無言で返事を待つ。
私は財布からいくつかの金銭を掴んで彼の手に握らせた。
あの人とは違う匂いと体温で私を包んで、あの人の声でもっと愛を囁いて。