「おかあさん、変なおばちゃんが玄関にいるよ」
 思えば私は嫌な子供であった。
 生まれは神社、小さいがそれなりに地元では名の通った縁結びの神様を祀った社の長女としてこの世に生をうけた。
「またこの子はそんなことばっかり言ってやあねえほほほ」
「なんかね、ほこらをこわされて怒ってるんだって。なおしてっていってるの」
「やめろっつってんだろが」
神社の跡取りに嫁いだ母は、とりわけ幽霊という存在を信じない人間だった。幽霊のみならず、新興宗教、スピリチュアル、この世に蔓延る非現実的なあらゆるものを毛嫌いしていたため、いろんなものが「見えていた」私をとても奇異な目で見ていた。見えてしまうもの見えてしまう、仕方がない。だからといって母は特に私を見捨てるわけでもなく、母としての愛情は与えてくれたみたいだ。その証拠に私は完全母乳で育っている。
 今となっては申し訳ないと思っている。たかだか子供の言うことといえども、当時の母にとっては我が子がみょうちきりんなものを見えてしまうというのは耐え難いものであっただろう。元々見えてしまう体質の人間にとっては、そんなこと想像でしかないわけだが。



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Michele