「いつになったら元に戻るの?」
「……俺が聞きてーよ」

 突拍子もないことを聞いてきたわりに、当の本人であるナマエは興味無さげにあ、そ。とだけ告げて、飲みかけのココアを啜っている。

「あーあ!蘭かわいそー。こんな推理オタクに散々待たされてさー。蘭ならもっといい相手いるだろーに」
「るっせーな、俺だって好きで待たせてんじゃねーよ」
「お、待たせてる自覚はあるんだ?」

 腹が立つのを通り越して呆れて何も言えない。もちろん言えない相手はナマエではなく待たせっぱなしの俺の方だ。待たせてる自覚はある。でも俺が一番待ってて欲しいのは蘭じゃない。そんなことを知ってか知らずか、月に1度はこのネタでいじってくる。

「お前無自覚なのか?」
「なにが?」

 服部には手遅れになる前に言ってしまえと言われたけど、さすがにこれじゃあ見込みが無さ過ぎるだろ。以前より距離は近いのに報われないこの状況に、コーヒーの苦みだけが優しかった。(ああ、早く戻らねーとな。)


気休めの呪文がコーヒーを苦くした




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