ギルベルトさんの美味しいランチに舌鼓を打って満腹になれば、お昼寝したくなるのも仕方のないことだと思うの。私は午後の温もりと微睡みに任せてそっと目を瞑る。
ガチャン、と執務室に誰かが入ってきたことを知らせる音に誰だろう?と少しだけ瞼を開けそうになるけど、僅かに香った女物の香水でザップである事に気付いた。
あーこれは今起きたら昼飯をたかられるやつですね。面倒なので起きません。私は狸寝入りを決め込み、再び微睡みの誘いに従おうとした、まさにその時だった。
「……こんなとこで寝てんじゃねーよ」
「(………っ!)」
至近距離で吐き出されたザップの吐息、次いで唇に感じる乱暴な噛みつき。挙げ句の果てに舌まで入れてくるものだから、耐え切れずに両目を開けてしまった。そして凍りついたのは私の背筋。目の前には超絶ドヤ顔で「おはようハニー」なんて似合わない台詞を言うザップ。
「オメーが俺に狸寝入りなんざぁ10年早いんだよ」
「なっなんで分かったの?!」
「分かるさ、」
何回ナマエの寝顔を見てきたと思ってやがんだ。私の頬に手を滑らせながらザップが放ったそのセリフに、じわじわと紅潮していた私の頬は一気に朱色に染まって私に覆い被さるザップの胸元に押し付けて必死に隠す。
「誘ってんのか?」
「み、見ちゃやだ……」
ザップに片手で反発されてなによ、と文句のひとつでも言ってやろうと顔を再び上げると、僅かに赤みを持った頬で、熱を帯びた目で、ザップが愛おしげに私を見ているではないか。さっきのドヤ顔とのギャップで思わず抵抗を緩めてしまった。それが今日の私の運のツキだったんだ。唇を舐められたかと思えば突然襲う浮遊感。
「………うし、」
「え、ちょっと待ってなんで私の抱き抱えられてるの?馬鹿か?馬鹿なのか?」
「………誘ったオメーが悪い。」
「誘ってない!むしろ回避する為に寝てた!微睡みが私を待ってる!」
「うるせーヤリ部屋行くぞ」
「ぎゃーーー?!!」
結局その日の午後はザップに食され、翌日は腰の痛さにとても出勤出来なかった。もう二度と執務室でお昼寝しないわちくしょう。