「……レオぉ〜」
「うわっどうしたのびしょ濡れじゃん!!」
執務室にやって来たのは、びしょ濡れになってあられもない姿になったナマエだった。おおーっ!!と盛り上がってるSS先輩を蹴り飛ばして駆け寄る。どうやら通り雨にやられたらしい。僕はギルベルトさんからタオルを受け取ってナマエの身体から水分を優しく拭い取る。流石に冷え切った身体はどうしようもないので、シャワールームに促した。
「着替えは俺のを貸せば良くて……あ、ナマエのやつバスタオル持ってってないじゃん」
「……持ってってやるのか?」
「何ですかやぶからぼうに。そりゃ持っていくでしょ」
「壁一枚向こうに好きな女が全裸でいるのにか?それだけでいいのか?男としてやることがうぐあああああ止めろ犬女俺の手を踏むな踏むな!!!」
良い気味なザップさんを横目に俺はさっき彼女を拭いたバスタオルを手に取る。ふと雨のそれとは違う水分。
「………っ!!」
「どうした?レオ。……なんだよ真っ青な顔しやがって」
「ザップさんはギルベルトさんに言って救急箱の用意を!僕はナマエを連れてきますから!!」
使用済みの、それも何故か血の付いたバスタオルをザップさんに投げつけて、新しいタオルを手に僕はシャワールームに駆け込んだ。
「ナマエ!!」
「れ……お?」
目に飛び込んできたのは華奢なナマエの下着姿……じゃなくて!今はそうじゃなくて!一切血の気を感じさせない顔をしたナマエが、シャワールームでうずくまったまま視線だけこちらに向けていた。
服の上から拭いただけであれだけの量の血がタオルについていたのだから、かなりの大怪我をしていたのだと気付いたら案の定、肩から尾てい骨辺りにかけて大きな切り傷、それもかなりの深さだった。
雨に加えて大量の出血で、ナマエの身体はさっき以上に冷え切っていた。俺はバスタブに向けてシャワーとカランを向けてお湯を出した。湯気で多少は温かくなるだろう。気休めでも無いよりは全然いい。
「ごめんな、とりあえず立て……るわけないよな。多分すぐギルベルトさんが救急箱持ってくるだろうからさ、何があったかだけ聞いていいかな?……あっ言いたくなきゃいいんだ!!俺以外に言ってくれれば!!」
質問を聞いてビクリと震えた彼女に慌てて否定の言葉を付け加えた。相当怖い思いをしたのだろうか。俺はそれ以上なんて声をかけていいか分からなくて、ギルベルトさん早く、と祈った。
「……がいい」
「え?」
「話すなら、レオがいい……」
予想外の返答に、彼女の前では到底ちっぽけな僕の理性がぐらついた。ただ、流石に大怪我人にがっつけるほどイかれた野郎じゃないから、彼女の一瞬の隙をついてキスをするだけに留めた。
「……そんな驚いた顔しても君が悪いんだぞ」
間も無く来たザップさんに何が起こったのか気付かれて散々からかわれたけど、やっぱり僕は何も悪く無いと思うんだ。