※シュガソンネタ。
※feminine modesty=女性のしとやかさ、の意。
「あれ?ナマエはドレスじゃないの?」
一緒にステージに上がった私とチェインを交互に見てレオはふしぎそうに尋ねて来た。普段からパンツスタイルの私には、ドレスとスーツを渡されればスーツ一択でしかなかった。すでに離れていったチェインはザップさんと組まされて心底嫌そうで、折角の晴れ着と美人が台無しだ。ザップさんはザップさんでぎゃんぎゃんと指示を出したスティーブンさんに文句を垂れている。そんな二人を眺めていたら、私のペアであるレオがとんとん、と優しく肩を叩いて来た。ペアと言っても彼は殆ど一人で踊るし、私はボックスステップを教えるだけで、本来おしゃれ着を身に纏う必要なんてこれっぽっちも無かっのだけど。
「ナマエもドレス来ておいでよ」
「ボックスステップ教えるのにドレスじゃ足下が隠れて分かりにくいじゃない」
「そうだけど、さ、」
俺がみたいんだよ……と照れくさそうに言った彼をじっと見つめれば、私の視線から逃げるように帽子を深くかぶられてしまった。今なんて言った?なんて聞き返さなくても、一字一句漏らすこと無くすべて聞き取れた。私は特別何かを言い残すわけでもなく、控え室に猛ダッシュで向かった。着慣れないそれに手こずりながらもなんとか背中のチャックをしめてステージに再び上がる。K・Kでもない、チェインでもない、3つめのヒール音にレオが顔を上げないわけがなくて、息を切らした私が声をかけなくても視線がばちっと噛み合った。
「……やっぱ似合うね、ナマエ。」
「ほら、ボックスステップやるんでしょ!」
「照れてる?」
「照れてるわよ!もう!!」
普段から見た目も性格もボーイッシュな私なのに、どうして貴方は私をこんなにも大切に大切に、ガラスのように優しく、女の子として扱ってくれるの?私はふしぎでふしぎでたまらなかった。もしかしたら、貴方の前だけでは私も立派な一人の恋する女の子なのかもしれない、ね?