「重いよレオナルド」
「重くない重くない」

いや重いっつってんだろ。私の冷たい視線をなんてことなさげに、変わらず私にのし掛かって甘えてくるレオ。任務で何か嫌な目に遭ったことは容易に想像できたけどそれ以上は何も考えないし聞いたりもしない。きっとレオはそうされることを快く思ってないだろうから。ぐりぐりと私の胸元に顔を押し付けてくる彼の頭をゆるく撫でる。

「怒らないんだ?ナマエ」
「怒んないよ。分かってたでしょ?」
「えへへ、知ってた」
「うわーむかつくー。」

神の目を持ってしまったせいで彼は幾度となく生死の境目を駆け抜ける羽目になったんだから、たまには目一杯甘えたいのだろうと勝手に解釈しているけど果たして合っているのだろうか。

「……生きてるね、私たち」
「!……生きてるね、驚くことに」
「人間たくさん驚いた方が若くいられるらしいよ」
「どこ情報だよそれ……」
「ジャパンのゴールデン」
「うわぁ微妙な信憑性だなぁ……」



▽ ▽ ▽




任務でなかなかに厄介な魔術師と対面した。悪夢を見せられた。クラウスさんのおかげで悪夢からも任務からも解放された俺はまっしぐらにナマエの家へと駆け込んだ。今は君がいい。君じゃなきゃダメなんだ。とっくに解放されたはずの悪夢がまだ脳裏をちらつく。

「彼女の首吊りとかシャレになんないよホント……ッ」

僕らの立っている非日常的日常じゃ、いつ死んでもおかしくないんだ。そんな最中あんな夢を見せられるなんて、嫌がらせの極みでしかない。君じゃなきゃダメ、なんだ。君を失うなんて想像できない。考えたくもない。インターホンを押して出てきたナマエをその場で抱きしめて、触れるだけのキスをした。ああ今君はここにいるじゃないか。

「……生きてるね、私たち」
「!……生きてるね、驚くことに」

こんな死と常に背中合わせの街で、驚くことに僕も君も生きている。多分この先も何度も失いかけては存在を確認し合うことになるんだろう。それでもきっと僕たちは、この街で生きることをやめないんだろう。……せっかくの二人きりに野暮なことを考えるのはやめよう。思考をシャットダウンした僕は、君のことを引き寄せて、それから。


死んでもゆずれぬ




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