「びえっくし!!!」
「……君ねぇ、もう少し色気のあるくしゃみ出来ないわけ?」
「色気のあるくしゃみって何ですかスティーブンさん」
「君にしては正論だ」

小馬鹿にするような仕草をしたスティーブンさんを睨んでみるけど、天下の番頭にはこれっぽっちも痛くも痒くも無いのだろう。ははは、と笑い声が返ってくるだけだった。ていうかこのくしゃみの元凶貴方じゃないですか。なんで笑ってるんですか、ねえ。
ことの始まりはザップが二股した女のとばっちりをスティーブンさんが受けたことだった。……ごめん、始まりも何もこれで終わりだ。つまりそういうことだ。
今、スティーブンさんはとばっちりの所為で自身の力を上手くコントロール出来ない。一時的なものなようなので我慢する他ないのだが、ライブラの事務所の床一面雪景色、いや氷景色。これは寒い。寒すぎる。元より寒がりな私は思わず身震いしてしまう。かといって帰れるのかと言われれば、連日の(此処ではもはや恒例の)堕落王によるサプライズによって処理しなければならない報告書は山積みだった。くそう、堕落王め。許せん。
ふわり、と重みと共に感じた温もりに気づき顔を上げるなんとあのスティーブンさんが私を抱きしめてるではないか。

「………何してるんです?」
「ひどいなぁナマエ。そこらのレディなら嬉しい悲鳴だよ?」
「ただの悲鳴の間違いでは?」

けれど、満更ではないだろ?そう得意げに話すスティーブンさんを見て見ぬ振りして黙々とパソコンに向かい直す。一層私を閉じ込めんとする彼の腕に今にも倒れそうなのは、此処だけの話にしておこう。


はいダウト




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