「ナマエサンはさ、なんでいつもオレに冷たいの?」
「………え、」

 陽太郎を寝かしつけて各々の夜がやってきた。私はリビングルームで温かいミルクティでも飲みながら、久々のオフをゆったり過ごそうと思っていた。深く腰掛けたソファと片手にはなかなか読み終えるまでに至らない小説。ページを捲ろうとした手が中途半端に空を揺らいだ。
 私、遊真に冷たい、か?いやいやいや。玉駒第ニの面々はどの子も等しく可愛がっているつもりだ。なんなら一番手合わせしてるのは遊真ではなかろうか。一体全体何が原因で「冷たい」と感じさせてしまったのか、仮にも年上として僅かばかり申し訳なさが湧きだす。結局検討がつかずに本人にそんはつもりはなかったと伝える他なかった。

「遊真は何をもって冷たいと思ったの?」
「オレの質問にハッキリ答えてくれない」
「あー……んー、それは無意識」
「そんなに嫌?オレのサイドエフェクト」

 嘘を見抜く彼のサイドエフェクトは、なんだかんだで重宝されている。時折本部からお呼び出しがかかってはそのチカラを余すことなく発揮しているらしい。(修談)
 ではそんな彼の能力を私が嫌がっているか?答えはノーだ。むしろこれだけ多岐にわたって貢献する彼に尊敬こそすれ嫌がるなんて。じゃあなぜ彼の言葉に答えないのか。否、答えられないのである。真っ直ぐ向けられたまん丸な瞳に、感情の全てを取っ払ってこちらを探り伺うその視線に、全てを暴かれてしまうのが私は酷く恐ろしかった。

「つまんないウソつくね、ナマエさん」

 私は何も言っていないのに、まるで心を読んだかのような言葉に私は心拍が速まるのを悟った。ああ、だめ、これ以上は。

「ナマエさんスキだよ、ナマエは?」


ラッキーライラック




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