「ナマエちゃん、今何時だと思う?」
「じゅ、12時、です……」
みなさんこんにちは。ナマエです。開始早々アレなんですが、ピンチです。なんと、我らがアイドル吹雪くんとの初お買い物デートに遅刻も遅刻、大遅刻をしてしまいました。ちなみに今起きました。おはようございます。(もう昼ですけど!!)ちなみに彼からのモーニングコールで起きましたが、その声色から愛は全く感じられません。昨日私の部屋に招いた優しい彼とは違い、顔が見えなくても怒ってることが分かります。私は携帯を持つ手とは反対の手でなんとかワンピースを着始めました。電話口からは「とうとう時計すら読めなくなったんじゃないかって心配してたんだぁ。」って可愛らしい声で吹雪くんがおっしゃっている。絶対目が笑ってないやつだ……!!!
慌てて1階に向かうと、先ほど出かけた母に入れてもらったのか、玄関には吹雪君が私服姿で立っていた。
「……怒ってる、よね?」
「逆に2時間も待たされて怒ってないと思う?」
「すいませんでした!!!」
呆れた様子の吹雪君が、何かをひらめいた顔に変わってから数秒後、腕を引っ張られて私は彼の腕の中へ飛び込んだ。顔をあげるとあら、なんて悪い顔なんだ吹雪君!私は上目がちに「なあに吹雪君?」と尋ねた。そしたら彼の口からはとんでもない言葉が飛び出してきた。
「んー。ここでナマエちゃんからキスしてくれたら許してあげよっかなぁ?」
「……わお。」
キス?kiss。つまりそれはちゅーということでよろしいんでしょうか?確認を取ろうにも、早くしろよと目で訴えてくる吹雪くんがとっても怖いです!そもそも普段は吹雪くんからキスを迫られるし、突然すぎて自覚した頃には終わっている行為だから……自分から、しかもキスをすると分かっている状態でなんてとてもとても。でも今やらなければ吹雪くんの機嫌が治ることはまず無いし、せっかくの初お買い物デートをそんなお通夜ムードで過ごしたくない。
(ええいままよ!)私はぎゅっと目を瞑って吹雪君の柔らかいそれに自分の唇を押し当てた。マウストゥマウスだ。軽くつけて終わりにするつもりだったのに、一瞬で主導権を吹雪君に取られて、口内を好き勝手に犯される。しばらくして満足したのか、ごちそうさま!と満面の笑みで私を抱きしめてくれた。そんな彼の姿を見て、私も頑張った価値があったなぁ、と思った。彼の余計な一言を聞くまでは。
「まあ寝坊するように時計いじったの、昨日の僕なんだけどね!」
「ちっくしょおおおおおお!!!」
なんてことをしてくれたんだ!そんないじわるでどす黒い君でも大好きだばーか!
あの娘と心中:ユニ子さんへ