「……ザップさんどーしたんですかその紅葉」
「聞かなくても分かってるくせに聞くなクソチビ」
「チビじゃねーし。ナマエに何言ったんですか?」
「なんで俺がやったペアリング付けねーんだよクソアマって言った。あと腹いせにヤリ部屋行ってくるって言った」
「あんた本当に最低だな!!……付けてないけど持ってましたよ、大事な戦いの時に」
「あァ?どーいうことだ、よ……」
思い当たることがあったのか尻すぼみにザップさんの声が弱まる。僕はそのきょとんとした顔が可笑しくて爆笑しそうだけど我慢。
「もう分かったでしょ?ナマエは金具の仕込まれた手袋しちゃうから付けてられないんですよ」
腹が立ってザップに平手打ちをお見舞いした。やった側なのに私も痛かった。心も手のひらも。見える場所に付けられなかったのは悪かったけど、一応仕事だし、そもそも腹いせにヤリにいくってどういう神経してるんだSS野郎は!
買い物を済ませて家に戻ると、玄関口でザップが葉巻をふかしていた。
「………おう、おかえり」
「あれ、ヤリ部屋に行くんじゃなかったの?」
「るっせーな俺の勝手だろ」
「……あれ?なにそれ」
ん、と見せてきたのは、私とのペアリングが通されたネックレス。もちろん彼のリングが通っていて、彼の胸元に収まっていた。そして彼の手にはそれより幾分か短いチェーン。言われるがままに私の指輪を渡すと、ザップは満足げにそのネックレスに指輪を通した。
「ナマエ」
「なに?ん、」
突然降ってきた啄むようなたくさんのキスに、思わず荷物を落としそうになる。身体は密着てるのに、一向に背中に彼の手のひらを感じない。首の辺りを何度か掠めてくすぐったさに胸元を押した。すると今度は片手で腰回りを押さえつけられて、今度こそ身動きが取れなくなってしまった。
「おらよ。これで見える所に付けてられるだろ」
「……それだけ?」
「なんだよそれだけ?って。いーだろ気にしたって」
「気にするんだったら浮気なんかしてないで監視でもしてたらどう?」
「バァーカ、そうしなくて済ませるための、首輪だろ」
そう言って指先だけでネックレスを弄ぶ様は残念だけど私にはかっこよく映ってしまう。
まあ、今回はザップにしてはお高めのチェーンを頑張って買ってきてくれたわけだし、首についてる誰かのキスマークはもう一発平手打ちをするだけで見逃してあげよう!
(またナマエのこと怒らせたんですか?ザップさん)
(………うるせ。)
ジャムが足りない