ひとまず呼ばれた場所に急行しようとショートカットに裏道を使いながらするすると進んでいく。その考えがいけなかった。大通りに出た瞬間、大きな地響きに一瞬だけひるんで足が止まった。視界を覆ったのはかつてない規模のモンスタートラック。周囲の乗用車を喰らい潰しながら私をも食らわんと接近してくる。あ、これはやばい。

「馬鹿野郎さっさと逃げろ!!!」
「ザップ!!……ってなんで泣いてんの?」
「死んだレオから電話がかかってきてんだよおお……!!」
「………は?」

地響きに弄ばれて宙に浮いた身体は、モンスタートラックに噛み潰されることも、地面に叩きつけられることもなく、すっぽりと見慣れたランブレッタの後部座席に収まってしまった。しゅるりと脇をくすぐったのはこれまた見慣れた斗流の血液で、どうやら危機一髪ザップが助けてくれたらしい。しかし何があったのか、私の救世主は情けない泣き顔で私に携帯を押し付けてきた。混乱状態のザップにこれ以上聞いても無駄と考えて、受け取った携帯に話しかける。

「ハローレオ、何があったの?」
『ハァイナマエ、ラブラブしてるぅ〜?』

反射的に耳元から携帯を離して画面を見たが、何度見ても確かにレオナルド・ウォッチと表示されていた。にも関わらず、聞こえた声の主は偏執王アリギュラだった。そしてこの騒動の主もアリギュラだ。

「アリギュラ!!ちょっと!このトラック止めてよ!!」
『いやぁよぉ〜〜!私は〜、これからダーリンを迎えに行くんだからぁ!』

愛しい人を迎えに行く最中の彼女に口で言ったところでモンスタートラックを止めるわけがない。それ故に偏執王の名をもつのだから。分かっていてもため息が出てしまう。
アリギュラとの通話をブチ切って、そのままスティーブンに繋げる。すると、3コール鳴る前にレスポンスが来た。

『ウィ、スティーブン。どうしたザップ……いや、ナマエか』
「正解、近くにいるの?」
『追い越し車線の3台先を見てごらん』
「あ、本当だ、ってちょっえっ?!ハマーも一緒なの?!」
『あのまま刑務所に居たら囚人達が大量に脱獄しちゃうだろ。ナマエ、そっちの状況を』

私は先ほどまでに起こったことと得た情報を整理して、推測混じりに話し始めた。急いで伝えたいが、間違った報告が一番まずいのは重々理解の内だ。

「ザップ混乱中、レオはぐれた。恐らくモンスタートラックの中に……え?いやいや食べられてはいないよ。多分アリギュラと一緒だと思う。うん、彼女もあの中に居るよ。止める気は無いってさ」

お兄ちゃんやハマーたちと相談しているのか、遠目に話し声が聞こえてくる。今回のミッション長くなりそうだなー、なんて抜けたことを考えていると、視界の端から端を何かが遮った。いや、飛んで行った?瞬間聞こえたエイブラムスさんの怒号に、また身体が宙に浮くかと思った。
もう一度言う。今回のミッションすげー長くなりそうだ。

愛する誰かを探してみる?

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