『パンチは踏ん張りが基本だろうが!!』
「ごめんごめん」
『俺を「纏って」なかったらお前死んでたぞ!!全く……』
「そりゃまずい!それじゃ君も死んでたよデルドロ。……と、いうことで、ご無沙汰しております〜皆さん!」
「ドグ・ハマー、とりあえず立ちなよ」
「ナマエさん!それもそうですね。よいっしょ、っと……こうしてまた一緒に戦えるなんて嬉しいです」
「おう。しかし相変わらずだよねお前」
「いやあザップさんかたじけない」
いや褒めてねえんだけど。こいつが吹っ飛んだ後あのモンスタートラックは一時停止して、その隙に次の作戦の準備にかかるべくこの馬鹿を迎えにきたんだが、女犬共がでれでれしてんのがどーにも気にいらねぇ。ナマエのネックを引き寄せて頭をわしゃわしゃとかき回せば、不機嫌極まりないです!と全力で主張した顔でこちらをじろりと見て来た。シラネ。今のはおめーが悪ィ。
「可愛いとこあるじゃなーい、ザップっち」
「……なんスか姐さん」
「その気持ち、忘れちゃ駄目よ?女は簡単に他の男についていけるんだから」
「っるっせースよ。分かってるつもりっす」
「本当かしら?」
「なんスか。」
「見たわよ、さっきクラウスの指示した配置に噛み付いてたじゃない?まあ、ちゃんと任務は遂行するのよ!」
「………。」
旦那の作戦で俺におりた指示は、レオの落下点にネットを張り救助すること。まずあのクソ陰毛を助けるだけってのが気に喰わねぇ。挙句ドグ・ハマーとナマエが同じ配置だ。(ナマエがブラッディ・バンクで血液を補給するからだ)
「おいクソナマエ、コッチ来い」
「は?任務中なんですけど。しかも誰かさんより重役なんですけど。」
「るっせーな!!いいから来い!!」
「っち、何?」
おい仮にも彼氏様に対して舌打ちしてんじゃねーよ。苛立をなんとか抑えてナマエの後頭部を鷲掴みにして無理矢理深いキスをしてやった。離れた顔は予想以上に真っ赤になってて、本当に弄り甲斐があるとゆーか、見てて飽きねェ。任務中だから俺の血をどーこー出来ないのが悔しいのか「K・Kたちに言いつけてやるぅー!!!」と叫びながらダッシュで配置に戻ったアイツと、そんなアイツにゾッコンの俺。このトラブルの発起人と俺、やってることを除けば何も変わんねーんだろうなって思う。
馬鹿猿の相手をしたことを後悔しながら配置に戻ると、何もなかったかのように「どうしたの?ナマエさん」と聞いてくるハマーと、ニヤニヤしながら「若いねェ」と漏らすデルドロが迎えてくれた。ああもう百歩譲ってもなんで外でするかなぁ……!まだ残る唇の熱に、怒りとにやけが収まりそうにない。
「あ、駄目だこれ。デルドロ、この辺の血も拳に寄せ集めよう」
「ちょっと、ハマー何言って……!!」
このままじゃ打ち負ける。そう言ったドグ・ハマーの目はあまりにもまっすぐで、思わず言葉を続けるのを躊躇ってしまった。私の思いを代弁するかのように、デルドロが噛み付いてゆく。
『馬鹿言うな!!生身剥き出しでどうすんだコラ!!マジ死ぬぞお前!!!』
「いいから。時間ないよ?」
「っ、ハマー!!デルドロ!!!」
あの後、モンスタートラックはブローディ&ハマーによって核が破壊され、部品をまき散らしながら彼方へと崩壊しながら消えていった。ドグ・ハマーは生身剥き出しだったことにより大けがを負い、レオナルドはザップの怠慢(と言う名の悪意)で頭を5針縫った。その後アリギュラの行方は分かっていない。さて、そんな集結を迎えたモンスタートラック事件。え?今私がどこにいるかって?
「本っ当、ドグ・ハマー真面目ね」
「デルドロの刑期はまだたくさん残ってるからね。罪人は刑務所に!これが世の常でしょ?」
「はー…こんないい人がムショにいるなんて、外の女は泣いてるんじゃない?」
「やだなぁナマエさん。少なくとも貴方は泣いてくれないでしょ?」
付き合い始めたんだってね、おめでとう。誰から聞いたの?確認でクラウス兄ちゃんには聞いたけど、分かるよ雰囲気で。あーまああんなシーン見られちゃったもんね……。残念だな!ハマー、出所後の楽しみが減って。は?どういうこと?えーやだなぁナマエさん。そりゃあもちろん……
「僕もナマエさんに対してはアリギュラと大差ない、ってことさ!」
刑務所へブローディ&ハマーを送り届け終えて出て来た私に気づいて、葉巻を落としエンジンをふかし始めたザップが怪訝な顔でこちらを覗き込んで来た。なあに、と一言言えば、顔。と一言返って来た。
「顔がなに?」
「ンだよシケたツラしやがって。」
「……んーん、なんでもない」
「あ、もしかしてオメードグ・ハマーに告られでもしたか?」
「ばっ、かじゃないの?!!」
「図星かよ。お前反応がテンプレで分かりやす過ぎンだよ。おら早よ乗れ」
たんたんとゆるやかに発進したランブレッタに慌てて飛び乗る。いじわる。と漏らすとまーな。とだけしか返って来ない。本当はなんて言われたのか聞きたいんだ。でも、聞かないで、私のタイミングで話せるように待ってくれてるんだ。
「ザップありがと。」
「おー。」
ありがとう、でも今は言えないんだ。
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