「いやぁ、純愛っていいなぁ。」
「ったく趣味の悪ィことしやがるな、番頭も」
「別にこんな使い方をするつもりじゃなかったんだよ」
本当だよ?と飄々と言ってのけた番頭は、なかなか信用できない顔だった。何が趣味悪ィのかって?……レオに持たせてたGPS(盗聴器がついてるのは番頭しか知らないらしい)を何故かあの猿が持っているらしく、今しがた去ったばかりのナマエの声を盗聴しているってわけだ。(便乗して聞いてる俺も俺だが。)
こんな爆弾発言を聞いて無かったことに出来る程俺は出来た人間じゃねえ。でもアイツの心境を思うと動けねえし。なんでこんなもどかしい思いをしなきゃいけねーんだよ。
「……ナマエはね、君が女遊びを辞めたことすごく驚いてたよ」
「だからなんで俺の情報筒抜けなんすか番頭!」
「あはは!面白いからに決まってるじゃないか!」
この人相手にこの手の話は本当に調子が狂う。……そりゃあれだけ女遊びをしてるやつがこんだけ初心だったら面白くもなるのか。窓から見えるナマエの後ろ姿を目で追う。鈍くはないから、多分互いに両思いだって気づいてるんだろう。そこまで分かっててなお言葉にできないのは、俺もお前もわずかに臆病さを残してるからだ。
愛し合うには近すぎて、罵り合うには遠すぎた