予約
※原作の時系列間違ってるかもです、すいません。
初めて一緒に出かけた日、影山くんに対して家に来てもいいと不覚にも言ってしまった
しかしあれからしばらく経つが1度も影山くんが我が家を訪れることは無かった
まぁそれもそうか。彼は部活に忙しいし部活以外の時間もバレーボールに全てを注いでいる、それに学生なんだから勉強だってしないといけない。
そんな超多忙人間な彼が我が家を訪れてる暇なんて無いだろう。何期待してるんだ私は。そう思い込むことにした。
本音は胸の奥底に隠す。絶対に、見つからないように。
◇
今週は少し忙しくて中々烏野高校に来れていなかった。少し久々に感じる体育館に差し入れを片手に向かう。
…?あれ、女の子が増えてる。マネージャーさん増えたのだろうか
明るい髪色で目がくりくりっとした可愛らしい少女を見て固まってると
「苗字さん!」
「あ、影山くん、こんにちはぁ。」
「ちわっす!」
「あ、苗字さんじゃないっすか!ちわーっす!」
「田中くんちわーっす!」
「苗字さーん!!ちわっす!」
「ちわっす!日向くん」
「今日、来る日だったんですね。なんか最近来てない気がして影山が落ち込んでましたよ」
「えっそうなの?澤村くん。あ、これ差し入れ。皆でどうぞ」
「「「あざーっす!!」」」
「なんで今週平日来れなかったんですか?」
「ちょっと仕事が忙しくてねー…疲れちゃって直帰しちゃってた、ごめんね」
「いや…ただ1回来てくれないだけでもすげぇ会ってない気分になったんで家行こうか悩みました」
「いやいや。影山くんも疲れてるんだからおうちでゆっくり休んで。これからは出来るだけ来るようにするから」
「…嬉しいっすけど、無理はしないでくださいね」
「うん、勿論。ありがとう」
今日も絶好調にイケメンな影山くんとの会話はお肌の調子を良くしてくれる、気がする。
ときめく、とかよりは懐いてくれてて嬉しいって感じる時の方が多いがたまに大人顔負けなこと言ってきたりとんでもイケメンな顔してきたりするから侮れない。
「あ、あのっ…」
「あ!新しいマネージャーさん?」
「はい!谷地仁花と申します!!」
「よろしくお願いします!私は苗字名前と申します!!」
「よ、よろしくお願いします!!」
元気で可愛い女の子だ。清水さんとはまた違う感じの美少女。烏野高校バレー部のマネージャーは凄いって有名になれそう。
「私、あんなに影山くんが笑うの初めて見ました。」
「そうなの?」
「はい。影山くんを元気にさせる女の人だって苗字さんのことは皆さんに教わりました。その通りでした!」
目をキラキラと輝かせて言う谷地さん
私の紹介の仕方そんな感じなんだ…間違っては無いのかな…どうなんだろう…
「谷地さんは1年生?」
「仁花ちゃんは1年生なんです。仕事の受け継ぎ私もしないとなので。」
「そっかぁ、3年生だもんね。いつまで残れるの?」
「春高までです。秋から始まって、冬に全国大会があります。」
そっかそっか。でも秋からスタートって受験勉強との両立大変そうだなぁ
「部活もだけど、勉強も。未来の為に頑張ってね」
「…!ありがとうございます」
勉強しなさい。なんて言われ続けてるだろうから、部活も勉強も後悔しないよう、頑張って欲しいな。
思い出は作れる時にしか作れないし、そう大人ぶって言ったのだが、清水さんにふわりと笑われて全然向こうの方が大人だと感じたし、美人すぎて好きになっちゃうかと思った。
◇
部活終わり、帰ろうかな。なんて思っていたのだがいつもより皆が部室から出てこない。
どうしたのだろう?と思い、早めに出てきた澤村くんに聞くと、どうやら田中くん、西谷くん、影山くん、日向くんがテストで赤点の危機らしい。
影山くんとは仲良くさせてもらっているが成績の話は聞いたことがなかったので、その理由が発覚し笑ってしまった。それは確かに言い出せない。
どうやら赤点になると補習と東京遠征が被ってしまって行けないのだとか。彼らにとってはそれは地獄だろう。なんてったってバレー馬鹿さんしかいないし
「!!!苗字さん!!」
バーンっと部室の扉を開けて出てきたのは影山くん。
「どうしたの?」
「勉強教えてください!!」
「ごめんなさい」
「即答っすか!?」
「私はね…大学に行ってないのよ」
「知ってます!でも高校は卒業してるじゃないっすか」
「大学にはね頭の良さが必要だけど、就職にはね最低限の常識があれば割といけるもんなのよ」
「そしてなんて言ったって…高校の時にやった内容なんて忘れた!!!」
むしろこれが一番の理由。
「そ、そうなんすか…」
「断っといて正解ですよ、苗字さん。こいつらホントに教えるのしんど過ぎるんで」
ふふふっと、笑いながらツッキーが出てくる
ちなみにツッキーと呼び始めたのはちょっと前からだ。グッチー(山口くん)がツッキーと呼んでるのを聞いていいなー!って言ったら呼べばいいじゃないですか…ってジト目で言われたから呼ぶことにした
「ツッキーが教えてあげてるの?」
「一応。でもほんと頭の出来が酷すぎて教えてないも同然ですね」
「んだとお前!!」
ガーッと怒る影山くん。意外だ、そんなにだとは…
「…ちょっと復習して思い出す時間貰えるなら、私教えようか?大して分かりやすくは教えれないと思うけど…」
「いいんすか!!」
わぁっと嬉しそうな顔をする影山くん。今日も最高に可愛い。
「え!!!ずるいぞ影山!!苗字さん!俺も教えて!!」
「いい訳ねぇだろ、お前はダメだ」
なんでですか、影山くん。何故日向くんはダメなんですか。
「いいよ、日向くん。私の家でやろうか」
「いいんすか!苗字さん家初めてだ!!」
「じゃあ部活休みの日にやろうか!」
隣でずっと「なんで日向も一緒にやるんすか。」とでも言いたそうな影山くんをスルーして話を進める
大切な相棒さんなんだから仲良くしてください。それに遊びに来るんじゃなくて、勉強しに来るのだから1人でも2人でも同じでしょ!
◇
「お邪魔しまーす!!」
「お邪魔します」
「どうぞー!」
烏野高校のでこぼこコンビが我が家にやって来た。
「まずは範囲の所、教科書見せてもらってもいい?」
「うす、こっからここまでです」
うっわぁ…私解けるかな…2人とも危険な科目は英語と現代文と学生当時の私が割と得意だった科目なのでまだ助かった方だ。
「じゃあ頑張っていきましょう」
「「うす!!」」
◇
「日向くん、日向くん?元気?」
「苗字さん…月島よりずっと優しくて褒めてくれて俺頑張れるんですけど…」
「俺…お腹すいて…頭動かないっす…」
「あ!!」
時計を見ると12時が近かった。10時から開始して約2時間。2人ともよく頑張った。
しかしそもそもの予定では午前中で終わりにする事になっていたのだが、私の復習時間もあり、あまり進めていなかった
「2人とも、帰る?それとももうちょっとここで頑張る?」
「俺は、もう少しここでやっていきたいです。あんま進めてないんで」
「んじゃ俺も!!…あ、でもご飯だけ買ってきてもいいですか?」
「あーじゃあ…おにぎりとかで良ければ用意できるけど…それでもいいかな?」
「え!いいんすか!あざっす!!」
「すんません、助かります」
お昼ご飯は2人に振る舞う予定では無かったので大して材料が用意できていない。
米ならいつでもあるし、明日からの分冷凍保存しようと沢山炊いたので2人をお腹いっぱいには出来なくともそれなりに満たすことは出来るだろう
私が好きな具材と、一応無難な塩むすび、おにぎりだけでは寂しいので味噌汁とだし巻き玉子も用意する
「お待たせ、質素でごめんね」
「うわぁ!美味そう!!いただきます!!」
「いただきます」
「ん!?これ何入ってるんすか!?めっちゃ美味いっす!!」
「それは…塩昆布とチーズかな?」
「おにぎりにチーズ!?美味いけど変な組み合わせっすね…!」
「ん、これも美味い。これは何入ってるんすか?」
「それはー鮭フレークとごま油と醤油…かな。ごめん適当だから違うかも」
「適当でこんな美味いもん作れるんすか!!」
「いやいや、自分好みの味にしたから詳細な量覚えてないだけだよ…」
世の中の料理上手な奥様方はどんな複雑な料理でも適当と素晴らしい味覚で作り上げてしまうのだから凄い
それに比べて私はそもそもおにぎりだし。好きな味にするのに味見しては足して、を繰り返しただけ…過大評価…でもありがとう…!
「っはー味噌汁も卵焼きも美味いっす!苗字さん料理上手なんですね!」
「うん、苦手ではないかな。一人暮らしもそこそこ慣れてるし」
「これ、今度差し入れで持ってくることって出来ませんか?」
「あ!それいい!!皆喜びますよ!!」
「ええ?こんなんでいいの?…でもそんなに褒めて貰えたら自信ついた!今度沢山作って持ってくね」
「「あざっす!!」」
◇
「トイレ借ります」
「どうぞー」
「…苗字さん、影山のこと嫌いですか?」
「え!?なんで!?」
おもむろに日向くんにそう聞かれた。なんで、仲良くしてると思うし、むしろかっこよ過ぎてくらくらしてるくらいなんだけど
「だって、あいつ凄い正直にって言うか…全然隠さずに好きですー!って苗字さんに伝えてるし態度にも出してるじゃないっすか」
出してる。凄く。可愛い。
影山くんが告白したこと、そしてこれから口説き落としますと公言してることはすぐに部活内に広まった
なんでこんなすぐ広まったんだ!?と皆に冷やかされた時に考えたのだが分からず、影山くんに誰かにバレちゃったの?それで広まったの?と聞いたら
「いや、自分で言いました」なんて言いよった。言いよったよこのイケメン。
普通は恋心なんて1番隠したくなるものだと思ってたけど、私の普通は影山くんには当てはまらなかったらしい。
それもあり、周りも影山くんを冷やかしそれに影山くんがマジレスするというのが最近できたよくある光景だ
「なのに苗字さん全然意識してないみたいだし、付き合わないし…嫌いなのかなって、大人だから上手に隠してるのかなって思ったんすけど、違いますか?」
「ち、違う!!違うよ全然。ちゃんと意識してる。凄くしてるよ、だって影山くんかっこいいし、さっき言ってたみたいに正直過ぎるし…」
「言っちゃえばもう口説き落とされてるようなものだよ…でも私と影山くんには年齢の差が開きすぎてる」
「影山くんは大人になってもバレー頑張るんじゃないかな。そうなった時たぶん、私が1番結婚したい時と影山くんが1番バレーを頑張りたい時が被っちゃうんだと思う」
そうなると彼は、バレーを取るだろう。当たり前だそこまでの人生全てをかけてきたのだから。
その時残された私の未来はどうなるのだろう。彼を応援出来れば最善だ。だけどきっと、そんな綺麗な気持ちで応援出来ない。自分ばかりやりたいことやってなんで私は。そう考える
そうなってしまう自信すらある。私は結局自分が1番可愛いのだろう。
「それなら影山は結婚もするし、バレーも全力で頑張ればいいと思うんすけど…?」
当たり前じゃないですか、何言ってるんですかとでも言い出しそうな顔をして日向くんが言う
「バレーも家庭を持つことも片手間で出来ることじゃないでしょ、どちらか選ばないとどちらも中途半端になる」
「うーん…影山はムカつくけどすげぇからどっちもすんげぇ好きだし頑張れると思いますけど」
日向くんの言うことは言ってしまえば理想だ。私の理想。
だけど、あたかも当たり前かのように彼が言うものだから、もしかしたら。なんて考え出してしまう。
「トイレ借りました」
「あ、じゃあ次俺借りますね」
「…あの、話聞こえてました」
「…えっ」
「もう俺のこと好きなんすよね?」
「俺、どっちも大事にします。苗字さんも。バレーも。」
「絶対、苗字さんのせいでバレーを捨てるなんてことしません。」
言われて気づいた。
もしかして私が1番恐れていたのはこれでは無いかと。
バレーをやってる影山くんは輝いて見える。そんな彼を失いたくないのだろう。
例え私が彼の未来にいなくても、隣に立っていなくても影山くんが何より全力でバレーボールをしてくれれば良いと無意識のうちに考えていたみたいだ
「…ふふっ」
「?どうしました」
「よくわかったね、私が1番欲しかった言葉。自分でもわかってなかったのに」
自覚出来てなかったのに影山くんに見透かされたことに思わず笑えてくる
「…わかんないっすけど、苗字さんはそういう人だから」
「いつも、人の事ばっかり。自分のことは下に見すぎっす。もっと自信持ってほしいくらいです。でも自分のこと下に見るのはいいけど、他のことを下に見るのは嫌がるから、」
「たぶん、自分とバレーを選ぶなって言いたいのかなって思ったんす。バレーを選べって言われてるような感じでした。」
「…それいつ思ったの?」
「…よくわかんねぇっすけどここ最近ずっと。苗字さん自分が居なくてもいいみたいな顔するから。違うのに。」
悔しそうな顔をする影山くん
「…私って必要?」
「はい。もう俺の一部です。バレーも、苗字さんも俺の一部です、勝手にいなくなるとかやめてくださいね。」
なんか、泣きそうだなぁ。こんな素敵な人に好かれてること、必要だって言われること、贅沢すぎる。
「ありがとう、なんか嬉しい」
「…あの、それでも付き合って貰えないっすか」
「…うん」
「…そっすか」
「でも、」
「…?」
「影山くんのお嫁さんになることは諦めない」
「えっ、」
「影山くんが大人になるまで待つ。それまでは付き合わない」
「それって…どういうことっすか」
「ちゃんと待ってる。誰とも付き合わずに待ってる。だから安心して、勉強に部活に全力で頑張って。」
「…予約?」
「ふふっそう、予約済みの苗字です。」
「…抱きしめてもいいですか」
「な!?ダメだよ!!日向くん戻ってくる!!それに付き合ってないからまだ!!」
「…隙あらば狙いますから、覚悟しといてください」
「借りましたー!トイレまでめっちゃ綺麗っすね!?」
「あ、ありがとう」
「?なんか顔赤いっすよ、あー影山になんか言われました??」
ニヤニヤしながら聞いてくる日向くん。そうです、なんか言われました
◇
「「お邪魔しました!」」
「はい!勉強お疲れ様でした。」
色々あったが2人は夕方頃には満足いく量こなせた為帰ることになった
まずは家が近い影山くんから車で送る
「あざっした!これでテスト頑張ります」
「うん、頑張ってね、無事合宿に行けるように!」
「あざっした!!こんな山奥まですいません、車だとあっという間でした!」
「いやいや、逆に凄いねここから烏野高校まで来るの…」
「体力つくんでいいっすよ!俺もテスト頑張ります!あざっした!」
そう言っていた2人。
勉強中の集中力は素晴らしかったのでテストでも上手くやってくれるだろうと思ってたのだが、現実は甘くなかったようだ。
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