※若干原作改変してます

「すんません…苗字さん…」


「頑張ったんですけど…解答欄が…」


真っ白に燃え尽きてる日向くんと影山くん。比喩ではなく、真白に燃え尽きてる。


テストの返却日と聞いてた日に合わせて部活に顔を出したら既にこの状況だった。


よく聞けば2人とも1教科ずつ赤点を取ってしまったらしい


「あららら…惜しいなぁ2人とも」


なんと言えばいいのか、また合宿はあるさ!とか言ってもダメな気がするし、補習頑張ろう!ってバレー馬鹿さんには喧嘩売ってるよなぁ


「ちわっす、苗字さん」


「ちわっす、菅原くん」


「ちわぁぁぁっす!!苗字さぁぁん!」


「ちわーっす!!西谷くん!!」


…あれ、そう言えば田中くんと西谷くんは?


「2人はどうだったの?」


「俺と龍っすか?赤点回避出来ました!!俺たちやっぱやれば出来るんすよ」


全く出来が良くて困るぜ…とでも言いたげな西谷くんを冷めた目で見る菅原くん。


「影山と日向、見ました?」


「見た見た。もうなんて声をかければいいのかわからずそっとしといたよ」


「あいつらあれで合宿行くの諦めてないんですよ」


「え!?」


「走って行くかーっていやチャリだろーって!無茶すぎますよね」

そう言ってケタケタ笑う菅原くんはいつもより高校生らしく見えた。いつもは冷静で分析が細かく、わかりやすく説明してくれる為、頼れる先輩って感じだ。


「それは…無茶だねぇ」


確か宮城から東京は高速乗っても4時間半程度かかった気がする。それをチャリってとんでもねぇな!


「…苗字さん、あのお願いがあるんですけど」


「…なんかね、今菅原くんが何を言い出すのかわかる気がするよ」


「…無茶ですか?」


「…無茶だねぇ」


「ですよねぇぇ」


「…でも、頑張らせて頂こうかな」


「えっ?」


「幸い土日だから、私は泊まらずに帰ればまぁその日のうちには宮城まで帰って来れると思うし」


日曜日は死んだように眠ろう。9時間も運転したら次の日はきっと動けない。


「っ俺先生とコーチに言ってきます!!」


そう言って走り出した菅原くん


なんやかんや笑いつつも後輩の心配をしてくれるいい先輩だ。皆が懐くのもわかる気がする。







「ほ、本当にいいんですか苗字さん!?」


「東京だぞ、4時間以上かかるぞ片道」


「だってそれしか方法無いじゃないですか」


「そうですけど…苗字さんもせっかくの休みなのに、いいんですかほんとに?」


「大丈夫ですよ!それに、私皆のこと好きなんであの二人がいた方が皆が喜ぶでしょう」


「その顔想像しただけで、運転出来ますよ」


「…あんたいい姉ちゃんだなぁ」


「え!?あ、ありがとうございます」


「当日は午前中のみ補習になるので昼に学校まで迎えに来てもらってもいいですか?」


「わかりました!」






「2人とも頑張れよー」


先生の応援を背に走り出す


「校門に行けばいいんだよな!?」


「おう、そう言ってた」


補習になってしまった俺と日向に顧問の武田先生が「君たちを救ってくれる人が補習が終わるタイミングで校門にて待っててくれます。」と言ってた


俺はそれを聞いた時もしかして、と思ったがどうだろう。当たっていたらまたあの人に惚れ込んでしまう。


俺達は全力で走り、校門へ着いた


そこに待ってたのは赤の普通車。中から出てきたのは俺が世界で最も大事にしたい人。


「お疲れ様!東京行くよー!」


いつも俺は救われてる。苗字さんが俺を救ってくれる。




出来るだけ飛ばして高速を走る


「そういえば苗字さんも合宿参加するんですか?」


「いやいや、私は2人を降ろしたらすぐ宮城に帰ってくるよ」


「それなのに俺達送ってくれるんすか…!」


「うん、私頑張っちゃうよー!」


もう腹は括った。眠気覚ましのガムや飴も準備済みだ。これで私が帰り道に事故ったりしたら、送られた2人は後味悪すぎるだろう。


「東京の強い学校と練習試合するんだよね?楽しみ?」


「「楽しみっす!!」」


あはは、今日も元気にバレー馬鹿さんやってるなぁ


「しばらくかかるから寝てていいよ」


そう言って私は運転に集中した




「とうちゃーく!」


「「あざっした!!」」


「武田先生にはさっき連絡しといたから、たぶんこっち迎えに来てくれると思う」


「わかりました!とりあえず中入って先生探します!」


「ほんとにあざっした!!」そう言って日向くんは走っていってしまった。ちゃんと合流出来るといいけど。


私と影山くんも車から降りる。日向くんを追わなくていいのだろうか

「…苗字さん」


「ん?」


「ありがとうございます。」


「うん」


「好きです。やっぱり、好きです。」


「!知ってるよ…」

びっくりした。急にどうしたんだろう。


「他人のために、俺の為に頑張ってくれる苗字さんかっこいいし、スゲェって思うし好きだなって思います」

影山くんが私の手を握る

「でも、無茶はしないでください。片道でも凄い長い時間でした。絶対、事故らないでください。」


心配そうに、手を強く握りながら願うように言う影山くん


「忘れないでください、苗字さんは俺の1番大事なものです。バレーと同じくらい大事です。送ってもらった身なのにこんなこと言ってすんません。でも自分の身は大事にしてください。」


「ううん、ありがとう。影山くんにそう言ってもらわないと確かに私自分のこと後回しにしちゃうかも。私は、影山くんの一部だから。消えちゃいけないもんね」


そうだ、私はもう1人のものじゃない。彼と未来を約束してるのだ。予約、されてるのだから。


その事実の嬉しさから笑みが零れる


「!」


すると突然影山くんに腕を引かれた


「うわっ、」

バランスを保てなくなり、気づけば影山くんの腕の中に入っていた


そしてぎゅううっと強く抱きしめられる


「…ちゃんと、俺の一部なんだって自覚してくれてて、すげぇ嬉しいっす」


私の肩に顔を埋めながら言う影山くん


なんだか可愛くて頭を撫でてしまった


「!!…子供扱いしないでください」


「ち、違う!!…なんて言うか、可愛くて…」


「可愛いなんて男に言うもんじゃないっすよ」


そして更に強く抱きしめられる


こんなに近くに影山くんを感じるのは初めてで、顔は熱くなるし、力強い腕や逞しい胸板など男の人の部分を感じてしまって更に胸が高鳴る


「か、影山くん。もう行かないと。日向くん待ってるよたぶん」


「…そうっすね。行きます。帰り道絶対気をつけてくださいね」


「はい、了解しました。」


私は車に乗りこみ、影山くんは体育館へ向かう


「いってらっしゃい、影山くん」


「いってきます、苗字さん」


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