「ね、名前ちゃん。飛雄には話したかもしれないけど……どうして家に帰りたくないのか教えて貰える?」


「……はい」


私は飛雄さん(影山さんだとどっちも当てはまるので)に話した内容を美羽さんにも話した


すると、美羽さんは激昂した。


「なんなの、そいつ!!名前ちゃん、もう戻らなくていいわよ。飛雄の家に居候しな。」


「え!?そ、そこまでお世話になれないですよ!!」


「大丈夫、アイツ男だけどバレーの事以外なんも考えてないから、安心して」


「いやそこじゃなくて!!………バレー?」


バレーボールの事?


「あぁ、そうそう。飛雄はねバレーボール選手なの。日本代表にもなってる。」


!?!?


に、日本代表…………!?


「そんな凄い人に助けられたとは……」


「中身はだいぶ色々抜けてるから、そんな大したこと無いわよ。気にしないで。」


飛雄さんは中々よく分からない人だったけれど、美羽さんはハキハキサバサバしててかっこいい人だ。


「うーん?これくらい?他にいる物ある?」


「ないです!!すいません、お金……」


「大丈夫よ!飛雄に請求するから」


「え!?」


「あはは!!嘘嘘、ごめんね。名前ちゃん素直だからからかいたくなる。」


「そ、そうなんですか……」


綺麗な顔をくしゃくしゃにして笑う美羽さん。飛雄さんも笑ったらこんな感じなのだろうか。


「じゃあ、飛雄の家に行こうか」





「助かった」


「いいえ、とりあえずまた明日朝来るわ。………あんた、名前ちゃん可愛いからって襲っちゃ駄目よ?」


「はぁ!?んな事わかってる!!」


「あ、良かった。あんたもちゃんとオトコノコなのね。」


「何がだ!!」


「はいはい、名前ちゃん、こっちがリビングだよ」


「お、お邪魔します!!」


「おう」


2人に通されて入ると、一人暮らしとは到底思えない広さの部屋が待っていた。


そうだよね………日本代表だもんね………!


「はいこれ荷物、じゃあまた明日ね名前ちゃん!」


「は、はい!ありがとうございました!!」


「じゃあな」


美羽さんは帰られてしまった。


女の人がいないと、少し不安になる。


「とりあえず、風呂入るか。沸かしてあるから入ってこい」


「ありがとうございます……!」


「あと、」


「?」


「そんなオドオドするな、別に何もしねぇよ」


ムッとして言う飛雄さん。そんなつもりは無かったが、無意識の内に怯えてたらしい。申し訳ない。


「ごめんなさい!不快な思いさせて……」


「いや、んな事ねぇよ。……ほら、行ってこい」


「はい!」


美羽さんに買ってもらった服達を持ってお風呂場へ行く


ひっっっろ………………!


こんな大きなお風呂、生まれて初めて見た。


湯船も何人か入れそうなくらい大きい。凄い!!


お風呂から上がり、髪を乾かしてリビングへ行く


「お風呂ありがとうございました!」


「ん、」


ストレッチ中だったらしい飛雄さんが目線だけで返事をする


アスリートなんだなぁ、凄いなぁ


「……なんだ?」


「あっ……飛雄さんってバレーボール選手なんですね」


「おう、姉ちゃんから聞いたのか?」


「はい、凄いですね、日本代表にもなってるって」


「………あざっす」


少しだけ照れた様子の飛雄さんに、ちょっとびっくり。照れた顔は初めて見る。


「そろそろ寝ろ、これからの話は明日するぞ。……寝室こっちだ」


飛雄さんについて行くとこれまた広いベットが置いてあった


「俺はリビングで寝るから、ここで寝ろ」


「!?」


家主を差し置いてベットを使うなんて出来ない


「わ、わたしが!」


「おやすみ」


「飛雄さん!?」


私が言う事をわかっていたかのように無視する飛雄さん。あっさり部屋を出て行かれてしまった。


……いい人だけど、やり方が強引だ。


少しムムっとしながら、お言葉に甘えてベットに入る


知らない人の匂い、知らないベット。寝にくい環境ではあるが、あの家よりはずっと良い夢見られそう。


横になるとすぐに眠くなり、なんだかんだ疲れてたんだなぁと実感する。


これから、どうしよう。なんて不安に駆られながら眠りについた。
一時停止


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