「名前ちゃん!」
「美羽さん!お久しぶりです」
「うん、久しぶり。飛雄とは上手くやれてる?」
「はい、とっても楽しいです」
「なら良かった!あいつバレー以外は駄目なところ多いから、デリカシー無い事とか言われたりされたりしてないか心配だったんだ」
「そんな!いつも優しくしてもらえてます」
「それなら安心。飛雄も少しは大人になったのねぇ、姉としても安心したわ」
そう言って飛雄さんとよく似た笑顔を浮かべた美羽さん。改めてとんでも美人だ。姉弟2人とも美人となるとご両親のお顔も拝見したくなる。
「じゃあ行きましょうか!ふふ、楽しみ」
そう言って笑う美羽さんの後を追った。
◇
「うん!これも似合うわねぇ、名前ちゃんスタイル良いし可愛いから色んな服着せたくなるわ」
なんてモデルさんのように美人な美羽さんに言われても、苦笑いしか浮かべられない。どこからどう見てもその言葉は美羽さんにお似合いだ。私のようなちんちくりんには似合わない。
美羽さんの着せ替え人形になって早1時間。そろそろしんどくなってきたし、美羽さんの笑顔が怖くなってきた。
「あ、あの、美羽さん……もうそろそろ……」
「あ、疲れちゃった?じゃあ……そうねぇ……これとこれ、買っていくわ」
「かしこまりました」
美羽さんは私に着せた服を何着か選んで購入した。美羽さん自身は着なくて良かったのだろうか。
◇
「はい、これ。」
「えぇ!?」
カフェで休憩中、先程買った服達が入れられた紙袋を渡される。
「まだ服少ないでしょ?これ似合ってたから着て?」
「い、いや!最初に買ってもらった分で充分ですよ…!」
「いいのいいの!私がプレゼントしたいから!あんまり会いに行けてない分、こういう時に甘やかしたいのよ」
ね、いいでしょ?と言ってくる美羽さんはずるい。ずるいけど素敵な大人だ。とても憧れる。
「……ありがとうございます、必ず自立したら恩返しします!!」
影山さん姉弟には本当にお世話になり過ぎている。高校を卒業して就職したら、お二人ほど稼ぐ事は出来なくても何かしらの形で恩返しはしたい、と言うかする。必ず。
「そんな、大袈裟よ。それに名前ちゃん自立しちゃったら飛雄泣くんじゃない?」
「え!?」
泣く!?なんで。
「今仲良くやってるんでしょ?それに家事もやってもらっちゃって。この生活から名前ちゃんいなくなっちゃったら飛雄何も出来なくなるわよ」
そ、そういう事か……確かに……困ってしまうかもしれない
「で、でもいつかは……いつまでも私が飛雄さんの隣を陣取る訳には……彼女だって、いつか出来るかもですし……」
チクッと自分で言った言葉に痛む心。
「彼女?出来ないでしょ、もうバレーが彼女なんだから。名前ちゃんは好きなだけ飛雄の所にいたらいいわよ、飛雄が追い出す事なんて無いと思うし。」
「………いいんでしょうか、そしたら私ずっといるかもしれないですよ」
「え?」
「飛雄さんの隣を、離れられなくなります。……誰にも、渡したくなくなっちゃいます。」
「………名前ちゃん、飛雄の事好きなの?」
やっぱり、そうなんだ
どこかで薄々わかってた、私だって高校三年生。よっぽどわかる。
でも認めたくなかった、だって恩人に恋する事で自分の欲求を押し付けてしまいそうで、溢れてしまいそうで怖いから。
恋愛感情なんて無ければ、生まれなければ良かったのに。
気づけば私は泣いていた。
「え、ちょ、大丈夫……!?」
「……っごめん、なさ……」
「よしよし、……そっかぁ、飛雄の事好きなのかぁ」
「ごめんなさい………でも止められなくて……」
「え?なんで謝るの?いいじゃない、好きになったって。」
「………でも、ただの居候なのに。今でさえ数え切れないほどに助けてもらったのに、もっともっとって欲求が生まれちゃいます……」
「名前ちゃんを助けたのも、援助したのも飛雄が自分で選んだ事。いいのよ、それはもう。飛雄も名前ちゃんいてくれて助かってると思うし!」
にっこり綺麗に笑う美羽さん
「それに、飛雄だって名前ちゃんの事気に入ってるから今も一緒に住めてるのよ。全然チャンスあると思うわよ!むしろあのままだと独り身で生きていきそうだから助けてやって!!」
なんて今度はケラケラと笑いだした。そんな、飛雄さんなら引く手数多だ。よりによって私なんかを選ばないだろうに……。
「まぁた暗い顔になっちゃって。名前ちゃんは可愛いわ。私が保証する。だから自信持ちなさい!!」
肩をバシン!と叩かれる。い、痛い。でも少し目が覚めたような気がする
「ありがとうございます、美羽さん。……迷惑にならない程度に、頑張ってみようと思います。」
「えぇ!名前ちゃんが本当の妹になる日のこと楽しみにしてるわ!」
「そ、それは気が早すぎますよ!?」
「いいじゃない!」
きっとすぐに上手くいくわ。飛雄が名前ちゃんを見る目も名前ちゃんが飛雄を見る目も、同じなんだから。
なんて美羽さんが考えてるなんて知る由もない私は、改めて飛雄さんに恋していると自覚し、飛雄さんが帰ってくるまで緊張感に襲われていた。
ガールズトーク
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