初めまして
授業が終わり、部活に向かう
なんてったって、2ヶ月ぶりの部活だ。気分も上がる、それにまだ私は1年生に会ってない。入部した時私はまだ部活に出られなかったのだ。
ジャージに着替え、体育館の扉を開く。既に人の声やボールの音が聴こえるので、中に人がいるのだろう。
久しぶりに会える皆の顔を思い浮かべ、体育館の扉を開いた
「ちわーっす!!」
「「「!!苗字!」」」
「お久しぶりです!ご迷惑お掛けしました!」
「おぉー!苗字!!久しぶりじゃねぇか!元気だったか?」
「元気だよ!ノヤっさん!!部活出れなくて暇すぎたよぉ」
「おーい!苗字!!」
「田中ぁああ!!元気に坊主してるー?」
「元気に坊主ってなんだよ、復帰そうそう意味不明だな」
「急に冷静に扱われるとテンションが追いつかんよ、田中さん。」
「元気だなー苗字。西谷と苗字が戻ると急に騒がしくなる」
「そうなんだよな、まぁ元気なのは良い事だけど…」
「…あぁ、1年たちは初めてだな。マネージャーの苗字だ。2年だから先輩だな。」
「ま、マネージャー!もう1人いたんすね…!」
「……あ!!君たち1年生!?」
「「う、うす!!」」
「はい!」
「……はい」
「初めまして!!2年の苗字です!!マネージャーです!2ヶ月部活謹慎を受けてました!」
「き、謹慎…?」
「何したんすか」
「えっとね……え、君美形だね…?え?かっこよ…」
「うわぁ、出た……苗字の美形センサー」
「影山も引っかかっちゃったかぁ」
「ちょ、顔良く見せて」
「え、ちょ、あの、」
「ひゃー!肌綺麗!切れ長なおめめも素敵だね!!サラサラ黒髪ストレート!!紛うことなきイケメンだぁ!!」
ぺたぺたと1年美形くんの顔を触る。なんて触り心地がいいんだ!ニキビひとつ無いじゃないか
「顔も小さいし身長高くてモデルさんみたいだね!?……え?腰ここ?」
「え、ちょ、…はい」
「たっかぁ!!!脚長ァ!!!」
「はいはいそろそろ辞めようねー」
「可愛くて仕方ない1年生だとしても、勝手に体まさぐるのは犯罪だぞー」
スガさんと大地さんに止められる。犯罪って!1歳しか変わらないだろう
ふと、こちらを冷えきった目で見てくるメガネ男子を見つける
ん?んんん??
「え?待って??彼も美形だね??なんで自分は関係ないって顔してるの??ん?」
「うわ、ちょ辞めてください。近い。」
「うわ!!君もニキビなんて知らない顔してるね!?はーー羨ましい。ちょ、よく見えないから屈んで」
「嫌ですよ。」
「塩対応。冷めきった視線。……それもいいっ!!清子さん路線だね?把握把握。」
「…あの、この人何言ってるんですか」
「すまんな、月島……俺達には理解もできないし止められない。」
「下手に止めると、腕持ってかれるぞ」
「!?」
「こらこら、苗字。いい加減にしなさい。」
「ちょ、腰の場所だけ教えて?」
「いや、なんでですか?」
「それだけ知れたら夜寝れるから」
「知らないと寝れないんですか」
あからさまに引いているメガネ男子はしぶしぶ、腰骨ここですって教えてくれた。君も脚長いね!?なんなの、黒髪ストレートと言い、メガネくんと言い、豊作か??今年はイケメン豊作か??
「……まぁ、苗字はこういうやつだ、気をつけてくれ」
気をつけてくれ???
「特に、影山と月島な。こいつイケメンに目がねぇから」
「う、うす……その、苗字さんって何者なんすか」
「…まぁ、かろうじて人だな」
かろうじて???
ふざけたことを言う田中を見る。お前今日帰り道背後に気をつけろよ。
「ね、私のことより皆のこと聞きたい!腰骨の位置は知ったけど、名前知らないし!」
「名前知るより先に腰骨の位置知るっておかしいだろ」
「はっはっは!流石苗字!!ぶっ飛んでんな!!」
「……ほら、もう自己紹介したくなくなってるじゃん。特に月島が。日向なんてこんなに怯えて。」
ぷるぷると黒髪ストレートくんに隠れながらこちらの様子を見る彼
ん?んんん?
「ちょっと君」
「ひぇぇえ!!す、すいません!!俺は脚も長くないしイケメンじゃないです!!」
「違う、身長何センチ?」
「ひゃ、163cmです…?」
「……?ポジションは?」
「MBですけど…」
MB!?この身長でか。少しびっくりしてしまう。リベロならまだしもブロック出来るのだろうか
ほえぇと彼をまじまじと見る。よく見ると可愛らしい顔つきをしているな
「名前、教えてくれる?」
「は、はい!日向翔陽です!!よろしくお願いします!…あ、あの、苗字さんって身長何センチですか?」
「私?145cm!!小さいでしょ?存分に見下ろして?」
あははと笑う。彼の身長では日頃見下ろされてばかりだろう。生憎私は身長低くても特に悔しくは無いので、存分に有効活用してもらえれば、と思う。
「あ、ありがとうございます!!」
「何お礼言ってんだ、失礼だろボケェ」
「……美人な顔しといて口はワイルドなんだね。うんうん、性癖に刺さるよ。」
「ちょっと黙っとけ苗字」
なんで?
「ほら、ほかの3人も自己紹介しとけ」
「か、影山飛雄です。ポジションセッターです、よろしくお願いします。」
「よろしくね!影山くん!」
「山口忠です、今はまだレギュラーに入れてなくて…これから頑張ります!」
「おう!頑張れ山口くん!!全力でサポート致します!」
「……月島蛍です。よろしくお願いします。」
「なんで?なんで一瞬足りとも目を合わせないの?月島くん??」
「やめろ苗字!!あいつはお前みたいなやつと相性最悪なんだよ!」
「?相性の壁なんて超えてみせるけど?」
「何言ってんだお前。あとその顔腹立つ。」
女の子にその顔腹立つとか言っちゃうあたりモテないんだよなぁ田中はぁ
「!!潔子さん!」
「!?なんだと!?」
「…あ、名前ちゃん。おかえり。」
にこっ
「…!!おい!苗字!大丈夫か!!……!!!ノヤっさんこいつ息してない…!」
「なんだと!?おい、苗字!!…クソっ2ヶ月ぶりの潔子さんは刺激的すぎたか…!」
「……あの、アレ誰が止めるんですか?」
「うーん…自然消滅を待つかな」
「苗字は割と頭おかしいし、うるさいし今の所お前らの中ではヤバい奴だと思うんだけど、」
「マネージャーとしての仕事はきっちりやるし、あの威勢の良さだ。見ていて思った事は直ぐに教えてくれる。それに応援にも気合い入れてくれて、清水とはまた違って頼りがいのある奴だよ」
「そうそう。それに根っからいいやつだからな、お前らも頼りにしてみるといいべ。必ず応えてくれるから……あ、でもロックオンされたお前らは気をつけろよ?気づけば身体触られてるかもしれないから。」
「「!?」」
「すいません、潔子さん。今日もお綺麗で何よりです」
「名前ちゃんもいつも通りだね。…私一人の時出来なかった分仕事残ってるから、手伝ってくれる?」
「当たり前です!本当、ご迷惑をおかけしました。」
深く頭を下げる、私のせいで潔子さんは大量の仕事に見舞われてしまったのだ。
「よし、苗字の紹介も済んだし、練習始めるぞ!」
「「「あす!!」」」
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