アオハルしとけ


「苗字さんって料理上手ですよね」


「え!?!?!ツッキーが!??私を!?ほ、ほめ」


「なんでもないです、さようなら」


「待っで!!!待っでよォ!!!」


「うるさ」


「……うわぁ苗字さんツッキーの片足にしがみついてる……そして泣いてる……」


「な、なんでそう思ってくれだの!?」


「……いつも土日の練習の時のお弁当、凄いから。自分で作ってるんですよね?確か」


「うん!!そう!!ありがとう!!!」


「うるさ。……料理の腕も凄いけど、胃袋も凄いですよね、お重って。3段1人で食べるってやばすぎ」


「ありがとう!!!」


「褒めてないけど?」


あれ?違った?


「苗字のブラックホール胃袋は1年の時からだよなぁ」


「その時はお重でも毎日弁当自分で作ってるって聞いて、女子力たけぇー!!ってなったなぁ」


「え!そんな風に思ってくれてたの、ノヤっさん!」


「おう!でもその内な、コイツ食べすぎじゃね?って気づいたんだよな!!はっはっは!!」


「そうそう!!お重全部胃袋に入ってくからな!!それでこの身長かよってな!!」


「だまらっしゃぁああああい!!!」


「なんでっ……俺だけっ……!?」


「た、田中さん!!!」


「……翔陽?いい?よく聞いておいて?女の子に対して食べ過ぎじゃない?とか言っちゃダメだからね?」


「えっ!?あ、はい!!」


「言ったら、こんな風に締めあげられちゃうからね?」


仁花ちゃんはこんな事しないと思うけど


「……そう言えば、苗字さん影山と付き合ってるんですか?」


「「「は!?」」」


「え!?!?」


な、何故バレた……!?いや付き合ってないけど!!


「……(なんか面白そうな予感。)この間ぁ、見ちゃったんですよ、苗字さんと影山が一緒に家帰るの」


「な、ちょ、おま、マジか!?」


「ちちちちちちちちがう!!!」


「嘘つけぇ!?そんなバレバレな隠し方あるか!?」


「あと影山が苗字さんが作る夕飯いつも美味いって言ってましたよ」


「あ!それ俺も聞いた!」


「あ、私も…!」


おい飛雄ちゃんやい。おめぇやりおったな??やっちまってるな?


「あ、おい影山!!」


「ちわっす、うぐぅっ!?」


「飛雄ちゃん……バレてるよ……付き合ってんのかって聞かれたよ……」


「え?そうなんすか?……じゃあまぁバレたら仕方ないっすね、俺と付き合ってください」


「え?何あれ?影山苗字背中に引っつけたまま告らなかったか?」


「ムードもへったくれも無い……」


「ごめんなじゃい!!!無理!!!」


「あ、フラれた」


「揉めてる……」





「………って事にしたんすよ」


「なるほどな、卒業したら付き合うなんていい考えだ。なんて言いたいが先が長すぎるよなぁ?」


「そうっすよ、長すぎます。」


「じゃあ付き合う?飛雄ちゃんと私が面と向かって抱き合えるようになるのが先か、私が鼻血による出血多量で死ぬのが先かのレースになるけど??」


「流石に死なれたら困るんで……やめときます」


「「「(死ぬ以外なら付き合うんだな…)」」」



「まぁでも俺たちにバレたもんはもう仕方ねぇだろ!イチャイチャしとけ!!」


「うす!!」


「いやうすじゃねーよ!?」


「いいじゃねぇか、苗字!!青春しとけよ!」


「いやいやノヤっさん。私部活での公私混同はしたくないよ!?」


「影山だぞ?大丈夫だろ!……それに、日向とやっちゃんも付き合ってんだろ?」


「「え!?」」


え!?


「あー……あははは、はい」


「う、うえええいつから気づいてたんですか!」


「割と前からだぞ?微妙にイチャついてたからな!!」


「マジか……全然気づかなかった…」


「苗字さんはそういうとこっすよ」


「何が!?」


「恋愛に疎すぎます。鈍感すぎ」


「しょうがないじゃん!?純情乙女だから!!」


「乙女……」


「乙女ぇ!?」


「乙女(笑)」


「て、め、ぇ、らぁあああ!?」


「まぁまぁ落ち着け苗字!!翔陽達も自由にしてればいいし!お前らも周りなんて気にせず青春しろ!」


今だけだぞ!なんて言うノヤっさんこそ青春したらいいのに


まだ付き合える段階にいない私は、飛雄ちゃんに慣れなければ。彼がずっと待っていてくれる保証なんて無いんだし。


「飛雄ちゃん、」


「?なんすか」


「私頑張るから。特訓、今日もお願いします!」


「……こちらこそおねしゃす!」

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