やられっ放しではいられない
※少し性表現があります。飛ばしても平気です。苦手な方は飛ばしてください。
これまた2度目ましてな飛雄くん家のお風呂を借りる
まだこの広さのお風呂には慣れそうもない……体が大きい飛雄くんにも丁度いいだろう、私には大きすぎるが。
化粧を落とし、髪と体を洗う。その際に顔にアザなどは出来てないか一応確認した。良かった、顔面に支障はない。
この年齢で顔に傷というのは治りにくそうで嫌になる。変わらず可も不可もない顔面に安心するような、悲しくなるような。
お風呂から出て、タオルを借りる。体を拭いて髪を乾かした。
そう言えば、飛雄くんの前ですっぴんで何度も歩き回っているが何か言われた事ないな。もしかして化粧してる事に気づかれてない……!?
とても有り得る推測をして、それだ、絶対それだ。と確信する。自分の化粧スキルの低さのせいか、はたまた飛雄くんの鈍感スキルの高さゆえか。恐らくどちらもだろう。
まぁ顔が違う!と言われる程に化粧は濃くないと思っているが、それでも多少は……と信じたい。評価とは相手にされるものだから自分では何とも言えない。
鏡の前で溜息を1つつき、飛雄くんを待たせているため足早に寝室へと向かった。
◇
「お待たせ、待ちくたびれた?」
「いや、大丈夫。寝るか。」
「うん、明日も練習だもんね」
「おう」
そう言いながらベットに入る、既に飛雄くんが入っているためもう温もりがある。
もふもふの布団に包まれ、幸福感に浸る。今日はなんだかんだ疲れてしまった。東京に来て早々鍵が無いというハプニング(自業自得)が起こるし、治くんには本当に助けられたけど、顔面にボールだし、知らない人いっぱいだし。
今日の出来事を思い出し、私よ頑張った。と労う。日常はここまでの出来事は早々起こらない。それに対して今日一日で色々あり過ぎた……。
「疲れたか?」
「うん……ちょっとね、でも結果として今飛雄くんと一緒にいられてるからもういいかな」
4時間半かけてでも来たかいがあった、この素敵すぎる彼氏に会えるなら。
「……あんまり、煽るな」
「…へ。」
「一応我慢してるから、あんまり煽らないでくれ。その……理性無くなると傷つける自信しかない」
そう、少しだけ怯える様にして言う飛雄くん。しかし私としてはびっくりはすると思うけれど、傷つく程では無いと思っている。
彼は少し私に対して慎重になり過ぎている、そうさせたのはきっとこの6年という長すぎる空白。
私だってもう失いたくないと強く思う。でも怯えられる関係なんて嫌だ。もっと飛雄くんの本当の気持ちだって見せて欲しい。
私は、怯えないで。と言う意味を込め、自分から彼の唇に自分の唇を押し付けた。
「!?」
薄目を開き、彼が驚くのを確認する。うんうん、驚くだろう、いつもやられっぱなしな私では無いぞ。
そう少し優越感に浸りながら、何度も角度を変えてキスをする
彼にされっ放しでドキドキさせられっぱなしなことが多いが、経験は話を聞く限り、私の方が豊富だろう。豊富というほど交際の経験は無いが。
きっと通用するのは最初だけだから、存分に彼をびっくりさせたい。そう思い私の知り得るちゅーの全てを彼に実践する。
「……っは、名前っ……!」
苦しくなった飛雄くんが名前を呼ぶ
い、色気が……!!
なんだかやってはいけないことをしているような気持ちになったが、いやいや彼はもう立派な大人の男だ。と思い、少し開いた口に舌をねじ込む
「!?」
強ばり、引こうとする頭を両手で抑える。ごめんね、逃げないで。
そのまま彼の口内を荒らす。舌を絡め、歯列を舌でなぞり、そのまま彼の舌を吸い上げる。
「……んっ……はっ、んんっ……」
飛雄くんが声を漏らす。か、可愛い……あまりの可愛さに歯止めが効かなくなり、更に深く口付ける
ど、どうだ……!これぐらいしか私には出来ない。やった本人である私自身も多少息が上がりながら、唇を離す。
「……は、……はぁっ……なに、すんすか…」
思わず敬語に戻りながら言う飛雄くん
少し涙目になり、息をあがらせた飛雄くんは色気の塊だった。あまりのえろさに直視出来ない。なんか、私の方が止まらなくなりそう。
「……ごめん、急に。その、これくらいは私も飛雄くんとしたいって考えてるよって伝えたくて。飛雄くん私には嫌われないようにし過ぎて怯えてるから。」
「…!……ごめん、嫌がる事絶対したく無かったから」
「うん、私の事を思ってくれてるのは充分わかってるよ。ありがとう。」
そう言って彼に抱きつく。優しい優しい彼だからこそ、怯えてしまうのだ。
「……でも、今すごいちゅーされてもう遠慮はいらないんだって気づいた。だから、覚悟しとけよ。」
そうギラギラとした顔で言う飛雄くん。ちゅーなんて言い方可愛いな。なんて思ったのに。あれ、なんか、やばいかもしれない。
「そもそもなんだよあれ、ケイケンホウフなんですかコラ。」
「ち、違うよ!!その……経験なんてそんなに無いけど、その少ない経験からの産物です。」
産物て、なんだその言い方。
「……なんか、やられっ放しは嫌だ。」
「い、いつもは私がやられっ放しだから!!」
「そうか?」
「そうだよ!飛雄くんいつも急だから!……仕返ししたくなったのもある」
「……じゃあ、今度はまた俺の番だな」
そう言うや否や彼に唇を寄せられる
ちょっと待って、なんて言葉は彼の唇に吸い込まれた。
先程私がしたように何度も角度を変えてキスする飛雄くん。
ちょ、ちょっと待ってよ。なんでこんなすぐ出来ちゃうの。
動揺し、思わず少しだけ口を開いてしまう
その瞬間を見逃さない飛雄くんは舌をねじ込み、私の口内を優しく暴れる。
「……ん、……と、とびお…くん、……んぅ…」
頭がぼーっとする、ま、まずい。と頭が警鐘を鳴らす。
逃げようと頭を引くが、彼は私とは違い大きな片手で私の後頭部を抑える。
そして更に深く口付けられ、私はくたくたと身体を支えていた腕から力が抜け、思わずベットに横たわる。
「……はっ、…は、……も、もう満足でしょ…」
上がった息とぼーっとする頭。
私をこんなにした本人である飛雄くんは未だベットから起き上がった状態で、私の事を見下ろしている。
微動だにしない肩から、私だけが息をあがらせていると理解する。何故、アスリートは違うのか。それともまだ2回しか深いちゅーしてないのにもう慣れたのか。
「……名前」
「な、なに……?」
「もっかい。」
そう言うと私に覆い被さる飛雄くん
だ、だめと言う前に私は彼に口付けられた。
ベットに両手を押さえつけられ、ひたすらキスされる。
少しだけ慣れからか余裕が出来、デリカシーが無いが飛雄くんを薄目で見る
すると彼も目を開いていて、ギラギラとした目でこちらを見ていた。
まさかずっと見られていたのだろうか。なんて思い、恥ずかしさからまた顔に熱が集まる
も、もうやめて。と腕を動かそうとするが、全く動かない。当たり前か、彼と私では力の差が大きすぎる。
すると突然彼は私の腕を離し、自由にした。良かった!と思った刹那私の顔を大きな飛雄くんの両手が包み込む
え!?逃げれないじゃん、と動揺したのが伝わったのか、キスしながらでも彼が少し笑ったのが目から伝わる。な、いつからこんな生意気になったんだ……!
その後も私は彼にされるがままで、飛雄くんが満足し口を話す時には息も絶え絶え、意識は朦朧としていた。も、もう無理……。
「俺の愛、伝わったか」
「……はぁ、はぁ、……伝わり過ぎた」
「ははっ、やり過ぎたか?」
「やり過ぎ!!」
そう怒るが、彼はあははと余裕そうだ。こっちは意識すら持ってかれそうだったというのに。
「ほら!!もう寝るよ!!寝なさい!!」
「そんな怒らないでくれ」
出た、しょんぼり顔だ。わかっててやってるだろう、この生意気な飛雄くんめ。
「……寝よう?」
そしてそれにしっかりやられて、優しく言ってしまうのは私の飛雄くんへの防御力が低すぎるからだろう。まぁずっと前から分かっていたことだが。
「おう、……おやすみ、名前」
そう言っておでこにちゅーする飛雄くん。い、イケメンかよ……
「お、おやすみ。飛雄くん。」
そう言って2度目の飛雄くん家で過ごす夜は幕を閉じた。
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