スケールの違う奴ら

「…ぶ、……え?ぶ、ぶらじる……ブラジルぅ!?」


「あはははははは!!!!……こんなにびっくりしてくれるとは…ぶふっ…。」


楽しそうに笑う親友に、私は聞き返す。


「卒業したら、ブラジル行くの!?」


「すぐじゃねぇよ?ちょっと準備期間で日本にはいるけど、その後!」


「え、えぇ、ええええ。」


「あはははははは!!!!」


も、もう頭が追いつかない。卒業したらバラバラになるだろうとは思ってたけど、まさか日本からいなくなってしまうなんて。


いつの間にこんなスケールのでかい男になったんだ、お日様よ。


「も、もう帰ってこないの……?」


「帰ってくる!向こうでビーチやり切って、日本でまたバレーやる!!」


「そ、そかそか……。」


突然の告白に、動揺してしまう。それであの発言か、どこにいても、メールするって。いやそれにしても遠すぎだろ、裏側だぞ、おい。


「なんだ?寂しいのか?苗字。」


にやにや笑って私の方を見ている日向。


「………そりゃ、寂しいに決まってんじゃん。」


それに対して正直に吐露する私。毎日顔見てるんだ。


それが地球の裏側に行ってしまうなんて、時差だってあるし、簡単にはそりゃ会えない。


移動手段は飛行機?え?乗ったことないんだけど。


「…………………可愛いなぁ、苗字は。」


「ちょっと、子供扱いしないでよ。夏ちゃんじゃないんだから。」


キッ!と睨みつけるとまたカラカラと笑う日向。何がそんなに面白いんだ!


「そう言えば、影山の進路は聞いた?」


「え?聞いてない。ま、まさか影山くんまで国外に…!?」


「違う違う!あいつは日本にいるよ!……あ、戻ってきた。影山ー!」


「あ?」


「返事の第一声が、あ?って辞めた方がいいと思うぞお前。」


「安心しろ、お前だけだ。」


「んだとぉ!?」


「ちょ、ちょっと待って、喧嘩の前に聞かせて、」


「何を?」


「あ、そうそう。影山、苗字に進路の話してないんだろ?」


「あぁ……Vリーグに行く。」


「ぶいりーぐ?」


「まぁ要するに、プロのバレーボール選手になるって事!」


「…………はぇ。」


「……っははは、なんだよ今の声。」


「間抜けな顔してんぞ!苗字!!」


ケラケラと2人に笑われてるが、それどころじゃ無い。


え?もうプロの世界に入るの?え?同じクラスの影山くんが?今現在高校生やってる影山くんが?えぇ……。


「……2人ともスケールが違うねぇ。」


「苗字は?地元残るのか?」


「うん、宮城の大学に行くつもり…。」


割と真っ当な進路だが、2人の後に言ってしまうとなんとも小ぢんまりした進路なのだろうか。と感じてしまう。


「俺、1週間に1回はメールするからな!!」


「いやだから、彼女かよって。そんなにいらないよ、あとアプリ使ってよスマホにしたんだから。」


「そうだな!メッセージ3日に1回は送るな!」


「なんで増えたの…。」


「じゃあ俺は2日に1回はメッセージ送る。」


「影山くんまで!?」


「んだと!?じゃあ俺は毎日!!」


「じゃあ俺は半日に1回。」


「ちょっと!?」


止まらぬ言い合い。これ止めないといつか毎分メッセージ送るとか言い出しそうで怖い。2人とも暇じゃないでしょ、たぶん1番暇なの私でしょ。

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