そんな気がした
「……あれ?」
あそこに立っているのは、影山くんでは無かろうか。
近づくとより分かる。高過ぎる身長と、形の良い頭。うん、やっぱりそうだ。
それにしても何しているんだろう?夕日が逆光となって眩しい。今日は学校お休みだったけれど。
確か、……お葬式?だったかな。
見慣れた学ランを着て、ただただ佇む影山くん。
話しかけようか悩んだが、仮にもクラスメイト。そしてお隣さん。多少怖い人だけど、悪い人じゃない。うん、無視は良くない。
「影山くん。」
「っ!?」
ちょっとの勇気を振り絞り、大きな大きな彼に声をかけた。
すると跳ね上がった肩。びっくりさせてしまったみたい。
「ご、ごめんね。何してるのかと思って。」
「……そうか、学校終わった時間か。」
「うん。……お葬式、行ってきたの?」
「……………おう。」
あれ、
もしかして、凄く聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもしれない。
泣きそうに歪んだ影山くんの顔を見てやっと察した。
たぶん、大事な人が亡くなったんだ、絶対そうだ、だってあの顔…………。
うわあ、やってしまった!!
「ご、ごめん。影山くんの気持ち考えずに、ほんと、ごめん!」
「……いや、別に。……外の空気吸ってただけだ。」
「そ、そっか。……それじゃあ私は帰るね。」
「おう。」
「………影山くんも、ちゃんとお家帰ってね。」
「…………おう。」
大して親しくもない私はなんと声をかけたら良いのかなんてわからず、早々に立ち去ろうとする。
しかし、このまま影山くんがずーっとここにいるような気がして、そんな言葉をかけてしまった。
何言ってんだ、家になんて帰るに決まってるのに。
でも、そう声をかけた時の影山くんは、少しだけ目尻が下がっていたような気がした。
……気がしただけかなぁ。