強気な私達
開いた口が塞がらない。
呆気に取られて、身動きが取れず、ふかふか柔らか過ぎるソファーから落っこちた。
「いっ!?」
「お、おい。大丈夫か。」
心配してくれる影山くん。しかしその顔は少々赤らんでいる。
そして思わぬ告白をされてしまった私の心臓は忙しなく動き、彼に負けずとも劣らぬほど顔が赤い自信さえあった。
「あ、あの、………えっと……、」
「……急にそんな事言われても困るよな。」
困ったように笑う影山くん。違う、困ってる訳じゃない。
「返事は、いらねぇから。」
なんで。まるで振られるって分かってるみたいな言い方、
「だから今まで通り友達でいて欲しい。」
「………嫌。」
思わず口から出た言葉。ハッとして影山くんを見ると、目を大きく見開いていた。
「……好きだって言われて、友達のままとか、……無理なのか。」
なら言わない方が良かったな。そう目を伏せる彼に、私は今まで感じたことの無い感情の流れに身を任せて、お腹から叫んでいた。
「違う!!!」
「……っ、ど、どうしたんだよ、苗字、」
「違う、全部違う。なんでそんな事、そんな顔するの。」
私の感情を知ったかぶりしないで。
勝手に伝えて勝手に悲しんでいる影山くんを見て、なんだか凄く腹が立った。凄く苛立つ。
「……苗字?」
困惑した表情を浮かべる彼の顔を両手で掴む。少し強い力だった為か、彼の綺麗な顔からパァン!!と音を鳴らしてしまう。
「勝手に、私の気持ちまで決めないでよ。」
「……でもお前、人のこと好きになったことないって、」
自分でそう言った。そう言ったのに、影山くんが私に対する感情を諦めそうになり、酷く腹が立った。
そして痛いくらいに感じる、激しい感情から気づいたんだ。
「…、私は、影山くんの事が好きみたい。」
「……は?」
「今気づいた。影山くんに言われて、影山くんが勝手に悲しむのを見て。腹立った。私の気持ちは聞かないのかって。」
ぽかん、口を開けたままの彼に向かって気持ちを伝える。
「だから、諦めないで。辞めないで。私の事好きでいること。」
綺麗な吸い込まれそうな瞳。それが少しだけ、揺らめく。
「……俺と、付き合ってください。」
零れたように音になった影山くんからの告白。
……しかし、ちょっとだけ、脅迫されて言わされた感があって笑ってしまう。
「おい、何笑ってんだ。」
「いや……この構図だと私が言わせてるみたいで…ふふっ。」
「………じゃあ、」
影山くんの顔を掴んだ手を掴まれ、そのまま後ろに押される。
「う、わ、わぁっ!?」
先程落っこちたソファーに上半身が雪崩込み、ぼす、という音ともに影山くんを見上げる。
「…か、影山くん?」
「俺と付き合え、苗字。」
先程よりずっとずっと強気な彼に、ときめく私の心臓。
「…………ひゃい。」
なんとか絞り出した言葉は不格好で、んだよその声。と笑われるまであと数秒。