これが私達の在り方だ
「日向!!」
「苗字!!やっぱ見に来て…………お前ええぇぇええええ!!!!」
「うぇ!?」
久しぶりに会った親友に、みんなと共に駆け寄ったら急に肩を掴み、怒り出した。なんで!?
「お、おい!?どうしたんだよ日向!?」
慌てて澤村さんが間に入ってくれる。本当にどうした。
「お前!!俺に言うことあんだろ!!」
「え!?……………おめでとう?」
「ありがとう!!じゃない!!」
「おかえり?」
「ただいま!!じゃない!!」
なんか懐かしいなこのやり取り。
「他に!!……って何笑ってんだ!」
「いやぁ、高校の時こんなやり取りばっかりしてたなぁって思って…。」
「………確かに。」
ぷっ、と吹き出して笑いあってしまう。
ついさっきまで声を荒らげていたのに、もう笑いあってる私達に周りの人々は混乱していた。
「……え?結局何を言って欲しいんだ?日向は。」
東峰さんに言われてハッ!と向き直る日向。
「お前、影山と付き合ってんだろ!?」
「え、」
それ聞いたんだ。と言うかいつ聞いたんだ。試合今終わったところでしょ。……もしかしてまさかとは思うけど試合前にわざわざ言ったのか影山くん。
「……う、うん、付き合ってマス。」
「うがあああああ!!!」
「えっ………影山に彼女……?」
「苗字さんと影山くんが付き合ってる…!?」
「「「ええええええええ!!?」」」
日向単体でも予想通りうるさかったのに、こっちはこっちで阿鼻叫喚だ。なんで。
「お前ええ!!なんで俺に言わなかったんだよ!!影山に言うなって言われても!!俺には言えよ!!」
「ええ?別に良いじゃん、日本に帰ってきたら言うつもりだって影山くん言ってたし。」
「だからって!!アイツは!!試合前にわざわざ言ってくる奴なんです!!」
「それは……まぁ…………ごめんとしか……。」
私とも影山くんとも深い関係にある日向が、付き合っていることをわざわざ隠されていたなんて事実を、試合前に告げるなんて中々どうかしてるぞ影山くん。
「ちょ、ちょっと苗字ちゃん!?詳しい話をお兄さん達に教えてみ??」
ガシィ!!と菅原さんに肩を掴まれる。怖いんですけど、小学生泣いて逃げ出しそうな程興奮してる菅原さんに震える。
「おいスガ…」
「あの、」
肩を掴まれている手が離れる。
「苗字に何か用ですか?」
「「「影山!!」」」
「?」
「今お前らの話してたんだよ!!苗字ちゃんと付き合ってんだって!?」
「あ、はい。俺の彼女です。」
肩を抱かれて彼女アピール。凄く恥ずかしいんだけど…。とりあえずぺこりと頭を下げた。
「それならそうと言ってくれよ!!」
「そ、そうだよ!教えて欲しかった!!」
「それにしても影山に彼女が……成長したなぁ……。」
「影山と付き合うなんて、相当物好きだね。」
それぞれがそれぞれの反応を示すバレー部OB達。個性豊か過ぎんか。
「か、影山くん。わざわざ試合前に言ったの?」
「?あぁ。会ったからな。」
会ったからなって。
「くっそ………本当に日本帰ってきたら居場所無くされた……。」
「……日向の親友は辞めるつもり無いけど?」
私が影山くんと付き合ったら、日向は友達じゃ無くなるのだろうか。そんなに嫌か。
「………………………俺!だって!!大好きだぞ苗字!!」
ハグを求めてやって来る日向。いつもの様に受けようとすると阻む人の壁。
「おい何やってんだ、俺の彼女だぞ。」
「い、いいじゃんか!!付き合う前から俺たちはハグぐらい簡単にしちゃう関係なんですー!」
「じゃあもう辞めろ。苗字も。」
むっ、と唇を突き出す影山くん。ちょっとご機嫌斜めだ。
「影山くんが嫌なら、わかった。」
「おい!?いつの間にそんな影山優先するようになったんだよ!?」
「俺の彼女になった瞬間からだな。」
「うがあああああ!!!」
◇
「…………今日だけだぞ。」
「えぇ?たまには3人もいいと思うけど。」
「俺は苗字と2人が良い。」
「うっ………今日も良いストレートですね。」
「?あざっす。」
「お待たせー!!」
駆けてくる日向。
「おっせぇぞ。」
「よし、ご飯いこっか。どこが良い?」
「「肉!!」」
「いや店の名前言ってよ…。」
つい呆れながらも笑ってしまう。
そしてこの瞬間も言い合っている2人を見て、また笑ってしまう。
楽しいなぁ、楽しいなぁ。
大好きな親友と大好きな彼氏。両方あってこそ、この幸せだ。
「良いから、」
「うがっ!?」
「黙って、」
「んぉ!?」
言い合ってる2人をひっぺ剥がして、間を陣取る。
「肉食べに行くぞー!」
驚いてる2人と手を繋いで歩き出す。
片方は親愛、片方は愛情を込めて。
fin.