お日様との出会い

え?


「え?」


大きな大きな体の上に乗った小さなお顔。


3年間同じクラスで、ちょっとかっこいいよなぁ、なんて思っていた影山くんがいた。


ここ、烏野高校に。


え、なんでここ?ここもバレー部強いのか?


中学生3年生の時、何回か隣の席になった程度なのでお互いの進路なんて知らない。


影山くんに至っては私の名前を覚えているのかでさえ怪しい。


しかし私からしたら強烈な印象のある影山くんを忘れる事なんて出来なくて、彼を見た時に驚いてしまった。


また同じクラスになったら、それなりに仲良くしてもらおう。そう思って見たクラス表。


しかし私と影山くんの名前は別々のクラスに書いてあって、少しだけ落ち込む。


あんまり同じ中学の友達、いないんだよなぁ。


大体青葉城西に行ってしまうので、私は軽くぼっちだ。


影山くんでもいてくれるだけマシだったのに、とあんなに怖い人相手にマシとかやばいだろ、とセルフツッコミ。





入学式が終わり、週明け。


お昼ご飯の時間を迎えて、私は挙動不審となっていた。


だ、誰か一緒に食べてくれる子いないかな…。


そう思って周りを見回しても、皆同じ中学生だった子同士で固まっているか、一人で食べると決め込んでいる子しかいなくて、


私も一人で食べるかぁ、と諦めかけた時、


「あ、えっと、苗字、さん?」


名前を呼ばれて振り返る。


そこにいたのは困ったように笑ったオレンジ色が特徴的な髪の男の子。


「前の席借りても良い?俺の席貸しちゃって。」


「ぜ、全然良いよ。私の席じゃないし…。」


「ほんと?ありがとう!」


今度は人懐っこい笑顔を見せた彼は誰だったか。必死に昨日の自己紹介を思い出す。


……あ、確か、日向くんだ。


「苗字さんも1人?」


悪意のない言葉にうっ、と声が漏れる。そうです、ぼっち飯をキメようとしてました。


「うん。……日向くんも?」


あは、あははは。と笑いながら聞いてみる、彼も誰かと一緒にいる訳では無いし、仲間だろうか?


「日向で良いよ!そう。俺結構遠いとこから来てて、同じ中学の奴とかいないんだよね。」


「そうなんだ……良かったら、一緒に食べない?」


「え!いいの?ありがとう!!」


馴れ馴れしいだろうか、と思った提案はあっさり飲まれて、ぺかーっ!と太陽のように眩しい笑顔を向けられた。





「日向は、なんで烏野高校に?」


「男子バレー部に入るため!昔小さな巨人って呼ばれてた選手がここにいたんだ!!」


「へぇ……。」


男子バレー部。


と言えば、


「もう入部届けとか出したの?」


「出した、けど……。」


「けど?」


「…追い出された。」


「え!?」


男子バレー部と言えば影山くん。もう面識あるかな、とか思ったけれどまさか追い出されていたとは。何したの!?


「俺と、もう1人。……ムカつく奴がいてさ?そいつと言い争って、キャプテンの言うこと無視しちゃってそれで…。」


「あ、あらら…。」


なんと声をかけたら良いのか。


日向は人が良さそうなのに、そんな事してしまうのか。と少し意外だと感じる。


「それで、今度3対3をやって、勝てたら部活に戻してもらえる!そいつもセッターやりたいって言ってて、勝ったらやらせて貰えるんだと!」


「そ、そうなんだ。……頑張って!」


「おう!」


にかっ!と笑った日向。


名前からしてと言うか、本当に太陽のような人だなぁ。

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