その後のことは、あまり覚えていない。


なんかその後も度々手を触れられた気がするが、全然覚えてない。あれ、手汗大丈夫だったかな。大洪水だった気がするんだけど。


何より衝撃的だった、顔をほんのり赤くさせた影山選手。


恋愛経験が少ない私でもなんとなくわかる、人間頬を赤く染める時は熱がある時か、……照れている時だ。


影山選手が自分の体調管理出来てないなんて有り得ないし。うんうん。


……。


ええええええええええ!!?!?!!


待て待て待て、まぁ待て。待て待て、落ち着け。な?落ち着こう。とりあえず、茶でも飲んで。


家の中で暴れ倒して、とりあえずお茶をゆっくりと喉に通した。


ふぅ……、浅はかな推測はよそう。だって、影山選手だよ?そんな近い存在だといつから錯覚した??


思い出せ!!!私が魅了された影山選手を!!


勢いのままに、今まで溜め込んできた影山選手の試合映像や、雑誌の切り抜きなどを引っ張り出す。


見る。


………………。


泣いた。


無理…………かっこよすぎ…………好き………………まじ推せる………………ちょっと天然なのも可愛い……好き…………。


静かに涙を零し、ティッシュで鼻をかもうと手を伸ばした時。


目に入った自分の手。


それを握った大きな大きな綺麗な手。


どんどん脈が早まり、顔に熱が集まる。


それに連なって思い出されるのは、頬を赤く染めた影山選手。


…………それだけじゃない。


恥ずかしそうに、目を逸らしていて。もごもごと口元を動かしていた。


何も言わない、言えなかった私に、変なこと言ってすんません。そう言った。


……忘れてくださいとは、言えません。そう言った。


じゃああの言葉はなんの間違いでも無くて。


私自身からも好かれたい。


ファンとしてじゃない、私。…………それって、


………………ちょっと待て、今自惚れたな?


ゴンッ。机に頭突きした。


「いっっ!!?」


思っていたよりも勢いがあったようで、痛みから悶える。


もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。


なんとなく、影山選手が言いたい事がわかってしまった気がする。


でも、私の中での概念がそれを許さない。


だって影山選手は私の光、希望、神様。


そんな人と、…………恋するなんて。


罰が当たるし、…………それに、私の感情は恋なのかどうかわからない。


確かに影山選手のことは大好きだ、かっこよすぎて泣くぐらいには。


でもそれは、…………一緒にいたいことと繋がるのかなぁ。


わからない。わからない、何もかも。


そもそも影山選手は何がどうなって、私にこんなアプローチをする事になったんだ。…………え?もしかして罰ゲーム!?


そんなわけないか、影山選手がそんな人の心を弄ぶような…………。


そんな影山選手も美味しい。そう思ってしまうのはファンのオタクの性なのだろう、ごめんなさい、不純な妄想してごめんなさい影山選手。


影山選手の発した言葉は捉え方によっては、親愛の方でもとることが出来る。


しかしながら、私に衝撃を与えた影山選手の赤くなった頬。


それが私の頭の中を引っ掻き回してぐちゃぐちゃにして。


次の試合、どんな顔して見に行ったら良いんだ……。そう頭を抱えさせた。