「うわ!?どうしたのさ苗字!?」
「ちょっとガラスを突き破って空の旅を……。」
「どういうこと!?」
A組の寮へ足を踏み入れると、こちらに気付いたのは耳郎さん。私が情けなく血を流しているのを見てぎょっとしてしまっている。
「悪ぃ、耳郎。救急箱持ってきてくれねぇか。」
「りょ、了解!!」
「うわぁ!?どうしたんだよ苗字!?」
「痛そうだな?実験に失敗でもしたのか?」
するとどんどん人が集まってきて、切島くん達にも聞かれて答えるが話せば長くなるので省略して、
「爆発事故してガラスを突き破ってパラシュートしまして……。」
「「どういう意味だよ!?」」
すいません……これで納得してください……。
「ここ座れ、苗字。」
「は、はい。」
促された通り座ると、轟くんは手慣れた動きで消毒を始める。
「慣れてるんですね……?」
「……まぁ、ヒーロー科だしな。怪我はよくするから。毎回リカバリーガールの世話になってる訳でもねぇ。」
「へぇ!」
それは知らなかった新事実。ある程度は自分たちで処置してるのかぁ、そうだよなぁ。ヒーローは怪我した民間人の処置に当たったりとかもするもんな。
……やはり、自分に持ってないもの自分が上手く出来ないことを出来る、と言うのはかっこいいな!
「お前もちゃんと処置出来るようになれよ、よく絆創膏やらガーゼやら貼り付けてるけど、いつも適当だから。」
「え!?そんなとこまで見てたんですか!?」
「……まぁ。」
は、恥ずかしいな……ただえさえ常に機械油まみれの格好で会っているというのに、雑な手当てまで見られていたとは……。
「お、お恥ずかしい限りです……。」
「適当に処置すると後から化膿したりするから、これを機に覚えてくれ。」
「りょ、了解しました!」
そこからは彼がテキパキと手当てしていく様子を眺めた。
彼の大きな手が私の腕に触れたり、その綺麗な瞳で患部を見つめられるのは少しばかり恥ずかしかったが、
もう恥ずかしい処置をしない為にも、彼の一挙一動をインプットするべく静かに見つめた。
◇
「すいません、お手数お掛けしました!」
「いや……発目はどうすんだ?」
「なんかまだ起きないみたいなので、起きたら緑谷くんが寮まで運んでくれるそうです!」
本当に親切な方だ。私ひとりで明ちゃん抱えて寮に帰るのは難しかっただろう。
「そうか、……じゃあまたな。」
「はい!今日は散々ごめいわくを、」
「迷惑とかじゃねぇ。」
「へ。」
「ただ……危ないことはあんまりすんなよ、俺たちみたいに鍛えてる訳じゃねぇんだから。」
「はい!それは勿論、ベイビー達を使ってちゃんと防御した上で、」
「そうじゃなくて。」
そうじゃなくて?
ではどういう、と思っているとむにゅ。と頬をその大きな手によって唇を突き出すようにして摘まれる。
「自分を大事にしろ、って言ってんだ。」
「………………ふぁい。」
送られているのは呆れたような視線だと言うのに。優しさが無いと生まれない言葉から摘まれた頬が熱くなる。
かっこいいのに優しくて。ずるいなぁ轟くんは。
………個性が無くてもかっこいいなんて、本当にずるい。