「うーん、なんででしょう。採寸時より爆豪くん足短くなりました?」
「あぁ!!?喧嘩売っとんのかテメェ!?」
おかしいな……実際にベイビーをつけてグラウンドにて使用してもらったが、どうにも採寸時よりも下に来てしまって左右のアームに当たりやすくて使いづらそうだ。
緩んでる……?激しい動きに耐えられてない?
「おい!!聞いてんのかテメェ!?」
「すいません、ちょっと触りますね。」
「おい!!」
膝立ちになって爆豪くんの腰元へ抱きつくようにして、ベイビーの固定具合を確認する。
……やっぱり。さっき少し動いてもらっただけでもかなり激しい動きだった。耐えられてないんだ。
「……ベイビー、改善の余地あり!!すいません爆豪くん、改良点が出ましたので出直します。」
「……あ?どうしたんだよ。」
彼の腰元からベルト式のベイビーを取り外しながら、
「爆豪くんの激しい動きに耐えられなかったようで、段々とずり落ちて来てしまっていました。固定が甘かったようです。もっとガッチリ固定出来るよう、固定の仕方から考え直します!」
「おぉ……わかった。」
「では私は工房に……ってまた爆豪くんも来るんですか!?」
「あぁ!?行っちゃ悪ぃかよ!!」
「本当に組み立て見るの好きなんですね……。」
まぁ良いけども……彼の鋭い瞳で静かに、それはもう静かにじーっと見られるのは少しだけ緊張する。
だがまぁ、本人が見たいというのだから仕方が無い。私は爆豪くんと共に工房へと戻った。
◇
「…………。」
「あれ?轟くん!どうしたの?」
「……緑谷。」
「え!?何!?何かあったの!?」
「なんでわかったんだ。」
「顔が死にそうだよ!!」
「…………今、俺の担当してくれてるサポート科の奴待ってて。」
「待ち合わせってこと?うん。」
「そしたら、ここで俺が来るより前から苗字と爆豪がいて。」
「あ、さっき僕もすれ違ったな。」
「それで……苗字が……爆豪の腰に……抱きついて……。」
「はい!!?」
「いや、わかる。わかるんだ、たぶんだけど製作中のサポートアイテムがベルトとか、腰関係のものなんだろう。それは見ててわかった……けど……。」
尻すぼみになっていく声。それは……中々ショッキングな場面を見てしまったようで……。
轟くんは、いつの間にか苗字さんを目で追うようになっていた。
それこそ本当にいつの間にか。気づけば工房へ会いに行く回数も上がっていたし、その分彼女に作ってもらったサポートアイテムも増えていった。
それらを嬉しそうに大事そうに身につけている様子は、正直男の僕からしてもドキドキするほど、綺麗な表情で笑っていた。なので勿論僕だけではなくクラスのほぼ全員に彼の思いはもれなくバレた。
そしてそんな中始まったこの課題。轟くんはてっきり苗字さんと……と思っていたのだが、まさかの裏切り。
しかも相手がかっちゃんと来た。それだけでも衝撃的なのに、今さっき彼は愛しの苗字さんがかっちゃんの腰元へ抱き着いたのを目撃。なんと言う負のコンボ。
「だ、大丈夫……?」
「……あんま、大丈夫じゃねぇ。」
「早くこの課題終わると良いね……。」
「……俺も早く、爆豪みてぇに苗字と話してぇ。」
これまでいくつもサポートアイテムを作ってもらった関係上、彼の数倍は話してると思うけど……なんて言葉は、
苗字さんに恋してやまない轟くんには届かない事だろう。