「ふふふ…………今年は活躍して、デッカイ企業に見てもらうと決めてるんです!!」
「そうか。」
「なので!!私はあなたに挑戦しますよ!轟くん!!」
「あぁ、俺も負けねぇ。」
雄英体育祭。主にヒーロー科が活躍するイベントである。
しかしながらサポート科としても、企業が見に来るので是非とも活躍したい場でもある。
昨年の体育祭は、努力も虚しく障害物競走で姿を消す事となってしまった。
しかし!!今年の私は違うぞ!!
昨年たんまりと作り上げた愛しのベイビー達を駆使して、なんと決勝トーナメントまで勝ち進めた!!
初戦から轟くんと言うのは、いささか…………否、かなり運が悪い。挑戦する!と言っているが正直負ける気しかしない。
だが私にとってそこは重要じゃないのだ、大事なのは勝ち負けでは無く、ここへ立ち続ける時間。
少しでも長く実力者である轟くんの猛攻に耐える。それが出来る私のベイビー!!を見てもらうのだ!!
「2人とも準備は良いかぁ?……スタート!!」
「安心しろ、すぐ終わらせてやる。」
そう言って轟くんが放った氷結。しかし、
「その低温は、知ってる!!」
懐から出したシールドによって防ぎつつ、割りながら前進する。
「……じゃあ、こっちは?」
今度は炎が放たれるが、それもシールドで迎え撃つ。
「昨年使ったシールドとは別物!!耐久度も温度設計も考え直したニューベイビー!!更に耐久度上げれたので、今度轟くんのバングルも改良しますね!!」
「あぁ、頼む。……けど、」
ぶわっ、巻き上がる熱。
……えっ、
「……昨年から、成長してない。訳ねぇんだ俺も。」
「…………と、轟くん……?」
「悪ぃな、昨年の俺は越えさせてもらう。」
その熱は氷をも溶かして空気が膨張。そして、
Booom!!!
「ぎゃっ!!」
ベイビー達を駆使して直撃は免れたが、ベイビー達は大破、そして私自身は空へと身を投げ、
ぼすっ。
下で待ち受けていた轟くんに、抱き留められる。
そしてそのまま轟くんは私を場外へゆっくり降ろした。
「苗字さん場外!轟くん2回戦進出!!」
く……悔しい……何も出来なかった…………。
「悪ぃな、吹っ飛ばして。」
場外で座り込んだままの私に、しゃがみこんで同じ目線へなった轟くんが謝る。
「ぐぬぬ…………悔しいです……こんなんじゃ企業の目にも留まらない……プロヒーローの目にもつかない……将来顧客ゼロ…………。」
なんとも虚しい未来が見える。こんな機会、そう無いって言うのに。こんな、こんな決勝トーナメントまで残れるだなんて。企業に見てもらえる機会なんて。
「………………悔しい。」
ぐっ、と握った拳を中々解けない。昂った感情が消えない。
「……顧客ゼロ、はねぇよ。」
顔を上げると、思ったより近くにあった轟くんの顔。
「俺はお前に頼むから。」
「…………本当ですか?」
「あぁ。」
「プロになっても?」
「なっても。」
「事務所お抱えの企業じゃなくても?」
「個人的に、お前に頼むよ。」
そう言って優しく笑った轟くん。
「だから、これからも俺の面倒見てくれ。」
「……ふふ、轟くんの面倒じゃなくてサポートアイテムの管理、ですよ。」
「……そうとも言うな。」
むしろそうとしか言わないだろう、おかしな人だ。
負けたと言うのに、まだステージから去ってもいないのに私は、気づけば彼と笑いあっていた。