特別だけを残して

「名前?なんですかそれ。」


「うんー?ちょっと暇だから……遊んでて……。」


よし!


「完成!!センサー搭載戦闘訓練ベイビー!!」


「ほう!!戦闘訓練用……って事ですか?」


「そう!普段はこうやって小さくまとまるんだけど……。」


ひゅ、と手をかざすとガシャガシャ音を立ててアームが沢山出てくる。


それらの先にはマーカーペンがついていて、素早く動くベイビーから受けた傷としてペンで印をつけられる代物。


「面白そうなベイビーですね!……でもここにあっても真価を発揮出来ないし…………そうだ!」


「うん?」


アームが伸びたベイビーのボタンを押して、再度収納させる。


「もうすぐ冬休みじゃないですか、ヒーロー科の誰かに持って帰って貰って使って頂くなんてどうですか?」


「あ、いいね!!面白そう!!」





「轟くーん!!いますか?」


A組の扉を開けると、皆さんがこちらに目を向ける。


「おっ、苗字じゃん?」


「轟?ならあっちに……。」


「どうした?」


「こんにちは、轟くん!」


「こんにちは、苗字。」


「これ、良かったら使って頂けませんか?」


「…………これなんだ?」


「戦闘訓練に使える、センサー付きのベイビーです!」


「戦闘訓練……。」


「もうすぐ冬休みで帰省しますよね?その間のトレーニングにでも使って頂けませんか?年明けにでも感想教えて頂きたいのです!」


駄目ですかね?と彼に首を傾げる。


轟くんはじー……っとベイビーを見つめ、そして私に問う。


「これ……俺だけか?」


「はい!暇だったので作っただけでして……1つじゃ足りないですか?」


一体どれほどトレーニングするつもりなんだ、少しだけ驚きながら聞けば彼はふるふると首を横に振る。


「いや、足りる。ありがとな。」


なんとも満足気に微笑んだ轟くんは今日も美形で反応に困ってしまう、顔が赤いの気づいてないと良いけれど。





それではー!と去っていった苗字さん。


俺だけか?と聞かれて特に気にしない辺り鈍感と言うかなんと言うか……。


「やったね轟!!苗字からのプレゼントじゃん!」


「しかもお前だけだってな!」


「特別じゃねぇか!」


特別。彼女がそれを意識して轟くんに渡したのかどうかは定かでないが、轟くんは喜んで良い事だと思う。


「…………あぁ。」


くるりと振り返った轟くんは、なんとも嬉しそうに微笑んでいる。まるで宝物を手にした子供のように。


その表情は流石イケメンと言うべきか。彼を見守っていたクラスメイト達を男女関係なく魅了して、


「や、やべぇなイケメン……。」


「苗字逆になんで気づかねぇんだよ……?」


「苗字ちゃん鈍感過ぎるやろ……。」


赤面させながら、彼女の鈍感さを痛感するばかりだった。

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