「苗字さん!ショート来ましたよ!」
「今行きます!」
データの入ったタブレット、資料にスマホ。ペンとか色々引っ掴んで会議室へ。
「お待たせしました!」
「ん、おはよう。」
「おはようございます!」
被っていた帽子を脱ぎ、マスクを外した轟くん。今日も今日とて拝みたくなるほどの美形だ。
「昨日は災難でしたね、報道。」
「あぁ……誤報だからな、あれ。」
「ふふ、何度も聞きましたよ。」
「護衛対象だったんだ、……熱愛報道になんのは大体そういうの。」
「公にはできないですもんね。」
「あぁ、だから恋人のフリをするとかもある。……だからって撮らなくても。」
む。と唇を尖らせて拗ねている轟くんは可愛らしくて笑ってしまった。
「記者からしたら、ショートの熱愛なんて美味しすぎるネタなんでしょう。」
「……そんなの見て誰が面白ぇんだ。」
「面白い……と言うよりはファンからの悲鳴が聞こえてきそうですけど……ほら、ショートをボーイフレンドにしたい、なんて芸能人も沢山いるらしいじゃないですか!」
冗談7割本気3割……4割……ぐらいの勢いでよく女優やアイドルが話してるのを見る。
「見た目やステータスに惹かれる女性は多いんです、どちらに転んでも世間からの注目度は高いことでしょう。」
「…………ステータス、か。」
はぁ。と疲れたように溜息をついた轟くん。その横顔でさえ美しい。
高校生より成長してしっかりと大人の男性となった轟くんは、なんとも色気が溢れて、伏せた瞳も長いまつ毛も。当時と変わらぬ綺麗なオッドアイもより魅力的に成長してしまっている。
だから見た目。……それに加えて激強で、優秀なヒーロー。
そりゃあボーイフレンドにしたくもなりますよねお姉様方…………。
「でも、ショートの見た目やステータスだけ見て好きになるなんて勿体ないですね。」
「勿体ない?」
「はい。ショートは……轟くんは中身だって素晴らしい人です。とっても優しくて穏やかで。外見も中身も全部引っ括めて惹かれるのなら分かりますけど。」
お、あったあった。ショートと作成途中だった設計図を引っ張り出しながら続ける。
「だから是非とも轟くんと添い遂げる方には轟くんの中身まで余すこと無く知って頂き…………え?」
向かい合った机の向こう。轟くんは口から鼻にかけて手で顔を多いながらそっぽ向いてしまっている。
しかしながら隠しきれていない頬と耳が赤く染まってしまっていて…………照れ隠しにまで至っていなくて笑ってしまった。
「あははは!!」
「…………笑うな。」
「だって、轟くん真っ赤じゃないですか!もう。私が轟くん褒めるのなんて何度目ですか、何十回目ですか!?」
高校生の頃から轟くんは素晴らしい人だと思っていた。そう感じる都度私は彼にその気持ちを伝えてきたつもりだ。
なので今初めて、なんてことは全然無くて。なのに今日もしっかりと照れる轟くんは可愛いことこの上ない。
「ははは!!……ふふ、お腹痛い。」
「笑うな、お前がすぐ褒めるのが悪い。」
「褒めちゃ駄目なんですか?」
「………………駄目じゃない。」
あぁもう愛おしいな。私が絶世の美女なら。私がボンッキュッボンッな出るとこちゃんと出てるお姉さんなら。今すぐ彼を誘惑して頭から丸呑みしちゃうのに。
残念ながら彼の目の前に座る私は、平々凡々な顔で平ぺったい体。
…………さーて、仕事しますか。