「あ、轟くんは相談終わった?」
「……あぁ、とりあえず。」
「そっか!僕も今終わったんだ!教室戻ろっか。」
◇
「……なぁ、緑谷。」
「うん?」
「あの……苗字ってどんな奴だ。」
「苗字さん?うーん……僕も数回程度しか話したことないけど……発目さんと同じく発明大好きで、いつも工房にいるみたい。でも……」
「でも?」
「…………発目さんよりは、話しやすいと言うか。じょ、常識が通じるというか……?」
「……そうか。」
発目、と言う奴が中々やばい。と言うのは色んなやつから聞いた話だ。なので苗字に頼むことを推された。
今現在麗日や上鳴、耳郎や切島などは苗字にサポートアイテムやコスチュームを見てもらってるらしい。
それらの改良を授業等で間近で見ても、中々良い物を用意して貰えているようで、俺も苗字に頼むこととした。
「……でもあいつそんなに常識人にも見えないぞ。」
「えぇ?そうかな?どの辺りが?」
聞かれて、先程の出来事が思い出される。
「…………話す距離が近過ぎる。」
きらきらと輝いた瞳。それを至近距離で見てしまって、思わず動揺した。
自分にもこんな感情があった事にも驚きだが、あの距離感は常識の範囲から逸脱してる。近過ぎるだろ。
「えぇ?そうなの?……僕はそんなのは感じた事ないな……相談とかした事ないからかな?」
「……そうかもしれねぇな。なんか話してる途中から段々興奮してたし。」
「そうなの!?」
「どんどん何言ってるのかわからなくなって、どんどん近づいてくるし触られるし…………思考が追いつかなかった。」
「……なんか、お、お疲れ様……。」
驚くことばかりだったし、決して素人に優しくない説明だったけれども、
あのきらきらとした瞳を向けられるのは、なんと言うか、なんとも言えないが、
「…………あぁ、でも……悪くねぇ。」
自然と口角が上がる、どんなものを作ってくれるのだろうか。またきらきらと瞳を輝かせて説明されるのであろうか。
きっとまた楽しそうにサポートアイテムについて話してくれるのだろう、俺の要望に応えたサポートアイテムについて。
…………それは、少し楽しみかもしれねぇ。
緑谷がこちらを不思議そうに見ているなんて気づかないまま、俺は来る1週間後に思いを馳せた。