あの子

「あ、轟くんは相談終わった?」


「……あぁ、とりあえず。」


「そっか!僕も今終わったんだ!教室戻ろっか。」





「……なぁ、緑谷。」


「うん?」


「あの……苗字ってどんな奴だ。」


「苗字さん?うーん……僕も数回程度しか話したことないけど……発目さんと同じく発明大好きで、いつも工房にいるみたい。でも……」


「でも?」


「…………発目さんよりは、話しやすいと言うか。じょ、常識が通じるというか……?」


「……そうか。」


発目、と言う奴が中々やばい。と言うのは色んなやつから聞いた話だ。なので苗字に頼むことを推された。


今現在麗日や上鳴、耳郎や切島などは苗字にサポートアイテムやコスチュームを見てもらってるらしい。


それらの改良を授業等で間近で見ても、中々良い物を用意して貰えているようで、俺も苗字に頼むこととした。


「……でもあいつそんなに常識人にも見えないぞ。」


「えぇ?そうかな?どの辺りが?」


聞かれて、先程の出来事が思い出される。


「…………話す距離が近過ぎる。」


きらきらと輝いた瞳。それを至近距離で見てしまって、思わず動揺した。


自分にもこんな感情があった事にも驚きだが、あの距離感は常識の範囲から逸脱してる。近過ぎるだろ。


「えぇ?そうなの?……僕はそんなのは感じた事ないな……相談とかした事ないからかな?」


「……そうかもしれねぇな。なんか話してる途中から段々興奮してたし。」


「そうなの!?」


「どんどん何言ってるのかわからなくなって、どんどん近づいてくるし触られるし…………思考が追いつかなかった。」


「……なんか、お、お疲れ様……。」


驚くことばかりだったし、決して素人に優しくない説明だったけれども、


あのきらきらとした瞳を向けられるのは、なんと言うか、なんとも言えないが、


「…………あぁ、でも……悪くねぇ。」


自然と口角が上がる、どんなものを作ってくれるのだろうか。またきらきらと瞳を輝かせて説明されるのであろうか。


きっとまた楽しそうにサポートアイテムについて話してくれるのだろう、俺の要望に応えたサポートアイテムについて。


…………それは、少し楽しみかもしれねぇ。


緑谷がこちらを不思議そうに見ているなんて気づかないまま、俺は来る1週間後に思いを馳せた。

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