知りたいと言うけれど

「………………良いのでは?」


「何がですか?」


「うぉ、明ちゃん。……これ、轟くんのバングルなんだけど、ビジュアル面をコスチューム寄りにしてみたんだけど……良くない?」


「ふむふむ…………確かに!シンプルで色味としても目立ち過ぎない感じで良いと思いますよ!」


「だよね!!よし、届けに行ってくる!」


「明日でも良いのでは?」


ベイビー片手に工房を飛び出そうとしたところを、明ちゃんに止められる。


既に放課後。きっと轟くんも寮へ戻ってしまった事だろう。


「うーん……でも、すぐにでも見せたいからなぁ。」


「ふふ、わかりますよ。自分のどっ可愛いベイビーですものね!!早くお披露目したくなりますよね!ならば寮へ行く他ありませんよ!」


「そうだよね!いってく……」


「……名前?」


「…………流石にこの格好で行くのは辞めた方が良いよね?」


所々に機械油をつけ、至る所がほつれにほつれ、穴だって開いてる作業着。


「……そうですね!!」


私は今日の作業はここで切り上げ、制服に着替え直してA組の寮へと向かった。





リンゴーン、とチャイムを鳴らす。轟くん戻ってきてると良いけど……。


「はーい……って苗字さん!?」


「緑谷くん!丁度良かった!轟くん知りませんか?」


出てきたのは緑谷くん、偶然にも轟くんと仲良しな人が出てきてくれた。


「轟くん?……なら、今さっきお風呂に行っちゃったけど……?」


「………………なんですと。」


「何か用事でもあった?」


お風呂。……お風呂かぁ、どれほどで戻ってくるだろう。


「はい、預かっていたサポートアイテムの改良が終わったので、すぐにでも見ていただきたくて持ってきたんですけど……取り込み中なら仕方ないですね。」


明日出直そう……そう思っていると、


「あれ?苗字さん?」


「お、本当だ!苗字ー?何してんだー?」


聞き慣れた声に緑谷くんの後ろを覗き込めば、こちらへ手を振る麗日さんと切島くん。


「こんにちは!お二人共。」


「苗字さん、轟くんに用事あるみたいなんだけどさっきお風呂に行っちゃったから……。」


「そうなんか!……じゃあさ、轟くん戻ってくるまでここで一緒にお話しない?」


「えっ?」


「お、良いじゃねぇか!苗字とはサポートアイテムの事しか話したことねぇし、もっと色々話してみてぇ!」


「えぇっ!?」


私の大半はサポートアイテムについてで出来てしまっている、それ以外の話なんて……何か出来ただろうか……。


「そういう事ならウチらも話したいな。」


「うんうん!いつも世話になってるし、あんまり世間話とかする機会無いから、実際どんな子なのか知りたいし!」


そう言ってずずい、と近づいてきた上鳴くんと後ろで楽しそうに笑った耳郎さん。


「え、えぇ…………なら、遠慮無く。」


正直楽しくお話出来るようなネタは持っていないが、轟くんは待ちたい。


なので彼女達のお言葉に甘えて、未だ知らぬ方々もいるA組の寮へと足を踏み入れた。

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