林間合宿

「クッソ、マジでキリがねぇな!!」


「ちょっと切島!!あんた怪我凄いじゃん!苗字に治してもらいな!!」


「っわりぃ!!行ってくる!!」


「いやでもほんと、苗字いなかったらここらで全員ボコボコにのされてたかもな……。」


「ほんとに!!ほんと雄英ってこういうとこある!!」





「苗字ー!!わりぃ!!治してくれ!!」


「はい!!ちょっと待ってね、緑谷くん終わったらすぐやるから!!」


「ごめんね苗字さん……土魔獣一体一体は大したこと無いけど、数多すぎるよ……。」


「気にしないで、私は大丈夫。むしろ皆にお任せしてしまって申し訳ない……!」


私はまた一段とコントロールに集中し、皮膚が裂けてしまっている緑谷の腕を治療した。


林間合宿。に、来たはずなのだが、


途中で下ろされ、プッシーキャッツの個性で崖から落とされ森の中。


そして現れた土魔獣達を倒しながら合宿所を目指すが、マジで、ほんと、全然進まない。


少し進めば大量の土魔獣。それらを倒して皆満身創痍。


私はと言うと、生きているもの以外には通用しない個性なので、今回ばかりは足でまといにならないよう治療に専念している。


「はい、終わり!!行ってらっしゃい!」


「ありがとう!!い、行ってきます……。」


「いっぱい倒してきてね!!ボロボロになっても治すから大丈夫だよ!!」


「苗字…………中々言ってること鬼畜だってわかってるか……?」


わかってる、けれど彼には頑張ってもらわなければ。うちの主戦力の1人なのだし。


「次、切島くん。…………うわぁ、中々酷くやられてるね……。」


ざっくり。足に入った傷を見て唸ってしまう。急いで手を当てて集中。


…………だいぶ疲れてきたな、個性も無限じゃない。でも、集中しないと。


扱っているのは人の体。大切な友達の体。


「おぉ……やっぱすげぇなこれ。」


切島くんが塞がりつつある傷口を見て褒めてくれる。


「ふふ、ありが」


お礼を言おうと彼の方を見た時、切島くんの背後から土魔獣。


「っやばい!!」


急いで切島くんの手を引き、こちらへ引き寄せるが間に合わな……!!


パキィン!!


「大丈夫か!!」


「…………と、」


「轟!!わりぃ、助かった!!」


へたり、座り込んでしまって轟くんが駆け寄ってくる。


「大丈夫か?悪ぃ、遅くなっちまって。」


「い、いや…………ありがとう。今本当に丸腰だから助かった。」


「……苗字の周りはガード硬くしておかねぇと。治療に専念出来ねぇよな。」


そう言って、再び治療を開始した私と切島くんを守るように轟くんが周囲を警戒してくれた。


そんなこんなで少しずつ少しずつ進んで行った結果。


「お!!やぁっと来たねー!」


全員ボロボロ。重傷者のみ最後の力を振り絞って治したが、完全に私もガス欠。


ぐったりとして、ろくに歩けなくなった私に轟くんが肩を貸してくれて、なんとか引きずられるようにして森を抜けた。


何が昼までに、だ。もう日も傾いている。


ぐったりと意識が今にも落ちそうな状態の中、先生に促されバスへ荷物を取りに行った。





「土鍋ですかあああ!!?」


とんでもないハイテンション。わかる気もしないでもない。けど、


「も、……だめ、……だ…………。」


「あぁー!!ちょっと!!名前!!落ちるな!!」


ゴンッ。机に頭を打ち付けながら目を閉じかける。お皿の隙間を縫っただけでも褒めて欲しいな、響香ちゃん。


「ちょ、大丈夫!?苗字さん!!」


「眠たいのかい!?」


「ねむ…………たい…………。」


「さっき森から肩貸してた時も、眠そうだったよな。」


轟くんの言葉に力無く頷く。なんでこんなに眠いんだ……。


「あれかな?名前ちゃんの個性も、八百万さんみたいに何かを消費するとか。眠気だから…………活力!とか?」


お茶子ちゃんの言葉に、確かにそれは有り得るな。と考える。でも、


「こんなに…………個性使ったのなんて…………。」


昔。父親に殴られ続けたあの頃以来。


「っ!!」


「うお。」


「あ、起きた。」


あの頃より強くならなければ。あの頃より長く個性を!


「……ご飯、食べる!!」


勢いよく箸を持ち、美味しそうなおかずへ手を伸ばすが


やはり襲ってくる鈍い重さの眠気。


「………………………………やっぱ……無理だぁ……!」


「あ、ちょ!!」


「危ねぇ!」


勢いよく起き上がって、そしてそのまま後ろに下がっていった私を、両隣にいた響香ちゃんと轟くんが支えてくれる。


「ごめ…………も…………むり…………。」


「ちょ!!お風呂入ってないって!!」


「私の…………屍を…………えて…………け……。 」


「苗字!?」


慌てる響香ちゃんと轟くんの声を遠くに聞きながら、私の意識は落ちていった。

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