肝試し
「さぁ!くじを引いて!!ペアを決めるよ!」
今日も一日個性伸ばしに奮闘したが、少しずつ体も慣れてきたのか。眠気は昨日より少しだけマシになっていた。
だがしかし、眠くないといえば嘘になる。
ピクシーボブに渡されたくじを引き、重たい瞼をなんとか開いたままペアを探すと、
「…………お、苗字。俺と同じじゃねぇか?」
「………………ほんとだ。」
一気に目ぇ覚めた。ありがとう神様……!!!轟くんと一緒に肝試し出来るなんて!!
あれか?よく少女漫画で見るような、怖くてボディタッチしちまったとか言うあれか!?やって良いチャンス!?!?
「それじゃあ順番通りに始めて行くよ!!」
◇
「…………案外、……雰囲気あるね……。」
数刻前まで調子に乗っていた訳だが、いざ夜の森にほっぽり出されるとなんだろう、なんか、吐きそう。
「大丈夫か?」
「……………………うん。」
あんまり大丈夫じゃない、けど。今にも吐きそうなんだ。って言うのはちょっと違う気がする。
「……手繋いどくか?」
「え!!」
小首を傾げながら、私の前に大きな手を差し出す轟くん。
い、良いんですか……?緊急事態でも無いのに、助けて貰っても良いんですか……?
「それじゃあ……遠慮なく……!」
足を進めながら嬉々として彼の手に自分の手を乗せようとした時。
にゅ。
「おっ。」
「ひ、……………………ひぎゃあああ!!!」
「おおっ。」
生首生首!!!!え!!?なに!?!?どうなってんのあれ、なに、ちょ、こわ!!!
勢い余って手どころじゃなく、轟くん自身に抱きついてしまったが、それどころじゃない。ちょ、なんで、なんで動かないの、ちょ、え!!!
「ちょ、落ち着け苗字。」
「むりむりむりむり!!!み、見れない!!生首!!生首!!!!」
「ちょ、……わかったから。」
轟くんの肩に頭を押し付けるようにして縋りついてると、轟くんは私の体を掬いあげ、抱き上げた。
「見なくて良いからこのまま進むぞ。」
「びゃ…………。」
好き、かっこいい、優しい、好き。と言う感情と、生首生首いいいい!!と言う感情がてんやわんやでえらいこっちゃ。
◇
「あれは、恐らく骨抜の個性だろ。」
「骨抜………………あぁ!!」
柔化か!!それなら痛くもなく埋まることができ……
「にしてもやり過ぎじゃないかなぁ!?!?」
「っふふ、苗字のビビり方やばかったもんな。」
「と……轟くんはビビらなさすぎだよ。」
私はあやうく色んなものを出してしまいそうだったって言うのに。上からも下からも。
「ほら、もうすぐ中間地点だぞ。」
「あ、ほんとだ…………ってかごめん!!重いよね、降ろして大丈夫だよ!」
「もうビビってねぇのか?大丈夫か?」
「ちょ、馬鹿にし過ぎ!」
「ふふ、あははは!!」
声を上げて笑っている轟くんに降ろしてもらう。もう、私だってヒーロー志望だぞ、生首では流石にびっくりしたけど…………そんな生半可なものではもうビビったりなんか
「やぁ!!中間地点だよ!!」
「ヒュッ。」
「おっ。」