襲撃

『かっちゃんは戦闘を避けて逃げて!!』


「じゃあ爆豪を連れて施設に戻るのが最優先だな。」


「戦えって言ったり戦うなって言ったり……どっちなんだよ!!」


「とりあえず爆豪くんは施設戻ろ!!」


「うるせぇんだよ!!細胞野郎!!」


細胞野郎。野郎じゃないんだけどな……。


未だに周囲の状況はわかっていないが、恐らくヴィランの襲撃。


プロヒーロー達が応戦中だが、何故か狙いは爆豪くんとの事。


そしてその爆豪くんと今合流したが、ペアだったはずの緑谷くんの姿が見えない。


「み、緑谷くんは?」


「あいつは勝手にどっか行った。」


なんで…………状況が伝わってない?いや、テレパスで伝わってるはずだ。この状況で単独行動は危なすぎる。


…………でも、今は施設に戻ることが最優先。


「とにかく、施設を目指すぞ。」


「うん!!」





「……よし。」


「ありがとう、名前ちゃん。」


「ううん、それより……。」


走りながら梅雨ちゃんの舌を治して、爆豪くんや常闇くんを連れ去ったヴィランを追いかける。


しかしながら、どうしたって捕まえられない。どうしたら。


その時緑谷くんが作戦を提案する。


下手したら全員やられるけれど、やらない訳にもいかなかった。


「苗字さんは……。」


「……私も行くよ。」


「でも、」


「大丈夫、足は引っ張らない。」


お願い。私だって爆豪くん達を救いたい。


そんな意思を込めて緑谷くんを見つめると、彼は頷いた。





ヴィラン達に囲まれてしまって、足が震える。


「…………ん?あれ、そいつ治癒系じゃねぇ?」


「え?……ほんとだ!!ちげぇよ!!ほんとだ!!」


ヴィランの1人に指を指されて周りの奴らもざわめき出す。


「弔くんから言われてましたね、治癒系の個性は珍しいから、」


「回収してこい、てな。」


「っ苗字さん!!」


「逃げろ苗字!!」


……え、?


言われるがまま足を動かす、なんで、私も助けに来たのになんで私も狙われて、


せまる仮面。


「悪いね、こっちも仕事なんだ。」


伸ばされる手。やめて、触るな、触るな!!!


伸ばされた手をこちらから握り返し、


「っふぐぅ!!」


「っはぁ、はぁ……。」


危なかった、危なかった……!!


腕をだらん、と垂らした仮面を尻目にその場から逃げ出すが、


「おい、お前治癒系だろ?何攻撃してんだよ。」


見下ろす静かな青い瞳。


「ひっ……。」


「……まぁいいや、じゃあな雄英生。」


腕を掴まれ、個性を出そうとしたが恐怖から体が動かない。


爆豪くん、爆豪くんは、


周囲を見渡すと、彼もまた拘束されたままで。


助けに、来たのに……!!


なんで私、連れ去られ、


「苗字!!」


必死にこちらへ手を伸ばす轟くん。その手を掴みたくて、掴みたくて伸ばすが


「お前は俺と、な。」


その手を継ぎ接ぎの青い目に取られ、景色は黒に染った。

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