襲撃
『かっちゃんは戦闘を避けて逃げて!!』
「じゃあ爆豪を連れて施設に戻るのが最優先だな。」
「戦えって言ったり戦うなって言ったり……どっちなんだよ!!」
「とりあえず爆豪くんは施設戻ろ!!」
「うるせぇんだよ!!細胞野郎!!」
細胞野郎。野郎じゃないんだけどな……。
未だに周囲の状況はわかっていないが、恐らくヴィランの襲撃。
プロヒーロー達が応戦中だが、何故か狙いは爆豪くんとの事。
そしてその爆豪くんと今合流したが、ペアだったはずの緑谷くんの姿が見えない。
「み、緑谷くんは?」
「あいつは勝手にどっか行った。」
なんで…………状況が伝わってない?いや、テレパスで伝わってるはずだ。この状況で単独行動は危なすぎる。
…………でも、今は施設に戻ることが最優先。
「とにかく、施設を目指すぞ。」
「うん!!」
◇
「……よし。」
「ありがとう、名前ちゃん。」
「ううん、それより……。」
走りながら梅雨ちゃんの舌を治して、爆豪くんや常闇くんを連れ去ったヴィランを追いかける。
しかしながら、どうしたって捕まえられない。どうしたら。
その時緑谷くんが作戦を提案する。
下手したら全員やられるけれど、やらない訳にもいかなかった。
「苗字さんは……。」
「……私も行くよ。」
「でも、」
「大丈夫、足は引っ張らない。」
お願い。私だって爆豪くん達を救いたい。
そんな意思を込めて緑谷くんを見つめると、彼は頷いた。
◇
ヴィラン達に囲まれてしまって、足が震える。
「…………ん?あれ、そいつ治癒系じゃねぇ?」
「え?……ほんとだ!!ちげぇよ!!ほんとだ!!」
ヴィランの1人に指を指されて周りの奴らもざわめき出す。
「弔くんから言われてましたね、治癒系の個性は珍しいから、」
「回収してこい、てな。」
「っ苗字さん!!」
「逃げろ苗字!!」
……え、?
言われるがまま足を動かす、なんで、私も助けに来たのになんで私も狙われて、
せまる仮面。
「悪いね、こっちも仕事なんだ。」
伸ばされる手。やめて、触るな、触るな!!!
伸ばされた手をこちらから握り返し、
「っふぐぅ!!」
「っはぁ、はぁ……。」
危なかった、危なかった……!!
腕をだらん、と垂らした仮面を尻目にその場から逃げ出すが、
「おい、お前治癒系だろ?何攻撃してんだよ。」
見下ろす静かな青い瞳。
「ひっ……。」
「……まぁいいや、じゃあな雄英生。」
腕を掴まれ、個性を出そうとしたが恐怖から体が動かない。
爆豪くん、爆豪くんは、
周囲を見渡すと、彼もまた拘束されたままで。
助けに、来たのに……!!
なんで私、連れ去られ、
「苗字!!」
必死にこちらへ手を伸ばす轟くん。その手を掴みたくて、掴みたくて伸ばすが
「お前は俺と、な。」
その手を継ぎ接ぎの青い目に取られ、景色は黒に染った。