二次試験
ポインターに促されるまま、1次試験通過者が集まる場所へと行くと、
「うぉ……。」
既に多くの人がいて、もしかして私結構ギリギリだったのでは?と冷や汗をかく。
「苗字!!」
呼ばれて振り返ると、駆けてくる轟くん。
「轟くん!」
「良かった、通過出来たんだな。」
「うん、轟くんも。……もう結構皆通過してる?さっき爆豪くん達も見えたし……。」
「いや、それぐらいだ。……たぶん固まってた奴らは苦戦してんじゃねぇか。」
「そっか……。」
大丈夫かな、私みたいに個性知られてない訳じゃないんだから、きっと大変だろう。
……そう考えると、個性ガンガン体育祭で使ってきた轟くんや爆豪くんたちは私なんかより早く通過してて。相変わらず凄いな……。
「大丈夫だったか?怪我とか。」
「うん、なんとか。珍しくちゃんと体が動いてね、無傷で倒せた!」
「そっか……良かった。」
◇
「響香ちゃん!」
「名前!!良かった、先に来てたんだね。」
「うん、なんとか通過出来て…………良かった、皆も無事で。」
周りを見渡して、クラスメイト全員が通過出来た事実に喜ぶ。私たち優秀なのでは?…………いや、優秀なのは体育祭で個性バレてたのに通過出来た皆だな。私はなんかせこい感じだ。
「でも次の試験も難しいそうだよねぇ……。」
「うん…………でも、私は得意分野かも。」
「あ、確かに!!」
救助、救護。特に救護は大得意だ、ずっとずっと鍛錬してきた細胞操作が役に立つだろう。
「1次試験みたいなのよりは、こっちの方が私はマシかな……。」
「そうだよねぇ、でも皆は逆でしょ。救助訓練とか、戦闘訓練の方がよっぽどやってるし。」
「確かに。…………誰も落ちずに仮免受かりたいね。」
「……うん、気張ってこ!!」
「おー!!」
◇
試験が始まり、皆で駆けていくが視界の端で瓦礫やものが吹き飛んでいくのが見える。
…………何より最初に行うべきは、避難場所を作ること。
「私、あっちに行ってくる!!」
「え!?苗字さんどうして、」
「たぶん、避難場所作ってるんだと思う。私は、救助より…………救護に使える個性だから!」
実際には怪我なんてしていないだろう、だがしかし訓練と思わずやっていかないと。私は、治療が出来るのだ。ならばいるべき場所はここじゃない。
「そうか……!!わかった、行ってらっしゃい!!」
「頑張っといでよ、名前!!」
「救助したらそっち行くからな!」
「うん!待ってるね!!」
皆と別れて走り出す。大丈夫、実際に個性が使えなくても私には。私には恩師から頂いた沢山の知識がある。
試験じゃなくても救けるんだ。私の力と知識で。
◇
「君は雄英の……。」
「苗字です!個性細胞操作で、治療が出来ます!」
「!!珍しい、治癒系個性か、ならばここは頼んでも良いか?」
「はい!」
士傑高校の人に声をかけ、続々とやってくる救助者の対応にあたる。
勿論実際に怪我は負ってないが、
「足が……!足が痛くて……。」
「すいません、少し動かしますね?腕をここにして、楽にしてください。」
痛む部位に合わせて楽になるよう体を動かす。大丈夫、覚えてる。ちゃんと私の知識になってる!!
大丈夫、大丈夫。クラスメイトの皆もどんどん救助者を運んできていて、減点対象ではないだろう。
これならきっと、
そう思ったのに。響いたアナウンス、悠々と立つその姿。
な、なんで……
「なんでギャングオルカがここに……!?」
ヴィランに見えるからって、本当にヴィラン役をやるなんて……。