違う道
「り、リカバリーガール!!なんかとんでもない事に!!」
火の海になってますが!!これ大丈夫!?
……って言うか、その渦中にいる人物を見て驚いてしまう。
「と、轟くん……。」
燃え盛る炎。その姿はまるでエンデヴァー。
いつの間にこんなに炎熱を扱えるように。だがしかし、どこからどう見ても人が長く生きていられる環境では無い。
「……B組の鉄哲。恐らく全身火傷で来るよ、準備しときな。」
え!?戦ってるの鉄哲くんなの!?
燃え盛る炎のせいでまるで見えない。こんな中轟くんに立ち向かうなんて勇気あり過ぎでは。
とりあえず私はベッドの準備と、恐らく個性を大いに使う考えられるので、カロリーバーを齧った。
◇
「……ふぅ。」
「悪ぃな、苗字!!」
「いえいえ。……もう痛くない?」
「あぁ!!完治した!!」
「い、いや完治はしてないから……ちゃんと塗り薬は塗ってね。」
「わかった!!」
本当かな……元気に保健室を出ていった鉄哲くんが心配になる。
あとは……
「リカバリーガール、鉄哲くん終わりましたけど、」
「あぁ、じゃあこっち手伝って貰えるかい?」
そう言って横たわった轟くんを指すリカバリーガール。
「気絶してるからね……とりあえず外傷の治療頼んだよ、頭部や腹部に打撲、左腕も多少は火傷してるから。」
「わかりました!」
轟くんのコスチュームを開けさせて貰って、腹部に手を当てる。
普段なら絶対こんな姿見てられないが、今は治療が大前提。それに実際ぼろぼろになっている彼を見ていると、そんな浮ついた気持ちはどこかへ消える。
…………かっこよかったな、轟くん。
どんどん強くなるなぁ、……やっぱり焦るなぁ。
こうして強くなりゆく皆を見ていると、とても焦る。
私は、皆のように強くなくて。たぶんまだ今はヴィランから人々を守ることは出来ない。
ただ出来るのは、こうしてぼろぼろになった彼らを治療する事。
…………こんな役目、やっぱり辛いかもしれないな。
頭部や腕も治して、未だに目を覚まさない轟くんを見つめる。
圧倒的格上、圧倒的強者。
とてもとても手の届かないように見えるけど、…………見えるけど、手を伸ばすことは辞めたくない。
「……負けないよ。」
せめて、あなたに手を伸ばしても恥ずかしくない人間ぐらいにはなりたい。
◇
「……んっ…………?」
「あ、おはよう轟くん。」
聞こえた声に顔を向けると苗字。
じゃあ……保健室か。
「轟くん!大丈夫かい?」
「飯田…………試合は、」
「引き分けだ。……僕がもっと速く駆けつけていれば、勝てたかもしれなかった。」
「……いや。」
右で攻めるのが癖になっている、相手にも読まれやすい。最初にミスしたのは俺だ。
反省を口にすると、驚いたように目を丸くした飯田。
すると飯田も思うところがあったらしく話し始めたが、
「…………っでも!!2人とも凄かったよ!!」
「え、……。」
「苗字くん?」
「あんなの知らなかった、びっくりした!だから、反省は放っておいてもするからさ、今は自分を少しぐらい褒めてあげても良いと思うんだ!?」
ね!?と熱弁する苗字。
それがなんだか面白くて、俺と飯田は吹き出してしまう。
「っふふ……あぁ、そうだな。」
「ははは!!……わかった、自分のことを褒めることにするよ!」
「ほらあんたら!!元気になったんなら戻りな!!もう次が来るんだよ!!」
「え!?もう第4試合終わっちゃったんですか!?」
「あぁ。速すぎるよ。とりあえず全員爆破食らってるから、割と重症だよ。準備しな。」
「りょ、了解です……!!それじゃあ2人ともまた後でね!」
「あぁ、頑張れよ。」
「また後でな!苗字くん!」
バタバタと忙しなく薬品やらベッドの準備やらに追われた苗字。
……あいつはやっぱり、こう言った道を選ぶのかな。
きっと俺とは違う世界。でも、怪我をしたら会えるかもしれない存在。
どこか細い繋がりでも良いから、繋がっていたい。
リカバリーガールと共に怪我人の対応に入る苗字を見ていると、そう感じた。