違う道

「り、リカバリーガール!!なんかとんでもない事に!!」


火の海になってますが!!これ大丈夫!?


……って言うか、その渦中にいる人物を見て驚いてしまう。


「と、轟くん……。」


燃え盛る炎。その姿はまるでエンデヴァー。


いつの間にこんなに炎熱を扱えるように。だがしかし、どこからどう見ても人が長く生きていられる環境では無い。


「……B組の鉄哲。恐らく全身火傷で来るよ、準備しときな。」


え!?戦ってるの鉄哲くんなの!?


燃え盛る炎のせいでまるで見えない。こんな中轟くんに立ち向かうなんて勇気あり過ぎでは。


とりあえず私はベッドの準備と、恐らく個性を大いに使う考えられるので、カロリーバーを齧った。





「……ふぅ。」


「悪ぃな、苗字!!」


「いえいえ。……もう痛くない?」


「あぁ!!完治した!!」


「い、いや完治はしてないから……ちゃんと塗り薬は塗ってね。」


「わかった!!」


本当かな……元気に保健室を出ていった鉄哲くんが心配になる。


あとは……


「リカバリーガール、鉄哲くん終わりましたけど、」


「あぁ、じゃあこっち手伝って貰えるかい?」


そう言って横たわった轟くんを指すリカバリーガール。


「気絶してるからね……とりあえず外傷の治療頼んだよ、頭部や腹部に打撲、左腕も多少は火傷してるから。」


「わかりました!」


轟くんのコスチュームを開けさせて貰って、腹部に手を当てる。


普段なら絶対こんな姿見てられないが、今は治療が大前提。それに実際ぼろぼろになっている彼を見ていると、そんな浮ついた気持ちはどこかへ消える。


…………かっこよかったな、轟くん。


どんどん強くなるなぁ、……やっぱり焦るなぁ。


こうして強くなりゆく皆を見ていると、とても焦る。


私は、皆のように強くなくて。たぶんまだ今はヴィランから人々を守ることは出来ない。


ただ出来るのは、こうしてぼろぼろになった彼らを治療する事。


…………こんな役目、やっぱり辛いかもしれないな。


頭部や腕も治して、未だに目を覚まさない轟くんを見つめる。


圧倒的格上、圧倒的強者。


とてもとても手の届かないように見えるけど、…………見えるけど、手を伸ばすことは辞めたくない。


「……負けないよ。」


せめて、あなたに手を伸ばしても恥ずかしくない人間ぐらいにはなりたい。





「……んっ…………?」


「あ、おはよう轟くん。」


聞こえた声に顔を向けると苗字。


じゃあ……保健室か。


「轟くん!大丈夫かい?」


「飯田…………試合は、」


「引き分けだ。……僕がもっと速く駆けつけていれば、勝てたかもしれなかった。」


「……いや。」


右で攻めるのが癖になっている、相手にも読まれやすい。最初にミスしたのは俺だ。


反省を口にすると、驚いたように目を丸くした飯田。


すると飯田も思うところがあったらしく話し始めたが、


「…………っでも!!2人とも凄かったよ!!」


「え、……。」


「苗字くん?」


「あんなの知らなかった、びっくりした!だから、反省は放っておいてもするからさ、今は自分を少しぐらい褒めてあげても良いと思うんだ!?」


ね!?と熱弁する苗字。


それがなんだか面白くて、俺と飯田は吹き出してしまう。


「っふふ……あぁ、そうだな。」


「ははは!!……わかった、自分のことを褒めることにするよ!」


「ほらあんたら!!元気になったんなら戻りな!!もう次が来るんだよ!!」


「え!?もう第4試合終わっちゃったんですか!?」


「あぁ。速すぎるよ。とりあえず全員爆破食らってるから、割と重症だよ。準備しな。」


「りょ、了解です……!!それじゃあ2人ともまた後でね!」


「あぁ、頑張れよ。」


「また後でな!苗字くん!」


バタバタと忙しなく薬品やらベッドの準備やらに追われた苗字。


……あいつはやっぱり、こう言った道を選ぶのかな。


きっと俺とは違う世界。でも、怪我をしたら会えるかもしれない存在。


どこか細い繋がりでも良いから、繋がっていたい。


リカバリーガールと共に怪我人の対応に入る苗字を見ていると、そう感じた。

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