重ねる日々
今日も今日とて綺麗なお顔。
だがしかし、その顔面目掛けて蹴りを繰り出すが、即座に現れた氷の壁に弾き飛ばされる。
……やっぱり強い。接近戦に持ち込むだけで精一杯だ。
でも、必ず隙は生まれる。離れたままだと炎熱で攻撃される。
足は常に動かして、付け入る隙を狙って。
氷結の壁をすり抜けて、なんとか彼の側へ。
拳を握り、改良したグローブでその右腕を殴りつける。
破壊を瞬時に!!
痛みを起こすと同時に、患部を殴りつける。
ただ細胞破壊するよりも、ずっとずっと
「っつぅ…………。」
余裕の崩れた表情にぞくぞくする。
通用してる、私の力が轟くんに届いてる!!
このままの勢いでもう片腕も……!と思い近づくと
「っえ……!?」
長い長い足で肩を押されて、そのまま氷結。
や、やらかした………………。
反省してももう遅い。私の体は氷漬けにされ、戦闘不能となってしまった。
◇
「………………1回ぐらい轟くんに勝つ。」
「お。……宣戦布告か?」
「宣戦布告!卒業するまでに1回ぐらい勝つ!!」
思っていたより悔しくて。彼の腕を治療しながら、宣戦布告してみる。
「っふふ、……負けねぇよ。」
「次こそは………………いや、次の次……いや更に次……。」
「ははは!!どれだけ負ける予定なんだよ。」
「だ、だって!!轟くんに簡単に勝てるなんて思えない。何度も何度も負けてから、……1回ぐらい勝ちたい。」
その1回だけでも、きっと私の自信に繋がるだろうから。
◇
なーんていって話していたのに。
「…………また勝てなかった……っ!!」
「また勝っちまった。」
グラウンドに足元を氷漬けにされたまま大の字で転がる。
待て待て待て、もうだいぶ時間無いんだけどな。
「……轟くん、今って何月だっけ。」
「10月。」
「ひゃあ…………あと半年ぐらいで卒業じゃん……!!」
「ふふ、間に合うか?」
今日も私を負かして楽しそうに笑っている轟くん。
私も胡座をかいてる訳じゃないのにな。私が頑張っても、その分。いや更に轟くんは努力していて差が縮まらない。
「……轟くんが強いのは充分にわかったけど、…………1回ぐらい勝って自信つけて卒業したいのに……!」
「……お前だって強いよ。」
「……………………1回も負けてないくせによく言うよ。」
「っふふ、拗ねんなよ。」
轟くんは私の足の氷を溶かしながら、私は彼の傷を治しながら言葉を交わす。
いつもの事だ、こうして手を合わせてからはお互い労いながら、話をする。
「でも、本当に強い。……いや、強くなったと思うぞ苗字。」
「…………本当?」
「あぁ。最初こそ戦うことにトラウマを抱えていて、守ってやらねぇと。なんて思ってた。でも、ちゃんとお前は向き合って、…………どんどん強くなって。今日だってもう片足やられてたら負けてた。」
「だから、強くなった。…………毎回今回こそ負けるかもしれねぇ。と思わされる。」
「……ふふ。次こそは絶対勝つよ。」
「……負けねぇ。」
いつから彼に向かってこんな大口叩けるようになったのか。それとも自分に対する鼓舞なのか。
でも好きだったんだ。普段の轟くんも好きだけど、こうして私が挑戦する時の顔が。
どうかその瞳の中にいつまでもいさせて欲しくて。あなたの視界に入っていたくて、今日もまた手を伸ばす。