現場
「きゃああああ!!!デク!!ほんもの!!」
「ショートやっぱかっこいい……!!つら!!顔面強……。」
「ダイナマイトかっけえええ!!!雄英最高過ぎだろ!!」
「うっせぇんだよガキ共ぉ!!」
「きゃあああ!!ダイナマイト怒ったああ!!」
「かっこいいいい!!!」
「怒られて喜んでんじゃねぇよ!!気持ち悪ぃ!!!」
「ちょ、だ、ダイナマイト……!!君も簡単に怒らないで、」
「そうだぞ爆豪。大人気ねぇ。」
「……お前は、いつになったら、ヒーロー名を覚えんだコラァア!!!」
「お、悪ぃ。ダイナマイト。」
なんだこの阿鼻叫喚は。
……………………ちょっと何かに巻き込まれそうだから、保健室戻ろうかな。
あれから度々怪我の問題児を見に、戦闘訓練へ顔を出していて、今日もそのつもりでやって来たが。
来てみたら、見覚えのあり過ぎる元同級生達が3人もいて。決して円満な空気感でもないし……。抜き足差し足…………。
「おい。」
がし。肩を掴まれる。声からして誰なのか察してしまって、心の中で涙を流した。
「……な、何かな。ダイナマイトくん。」
「てめぇも訓練に参加すんだよなぁ……?」
「……………………いやいやいやいや、私は見学で、」
「えー、今日は特別講師として元雄英ビッグ3の3人に来てもらった。まぁ全員有名だから知ってるな?」
「知らない人なんていないでしょー!!!」
「3人とも超有名だもんね!!」
「じゃあ自己紹介はいらねぇな。あと、ついでにヒーロー名にも戦闘訓練に参加してもらうので、プロヒーロー4人からボコボコにされてこい。以上。」
以上。
………………………………?
「あ、相澤先生!?」
「以上だ。」
「い、いや!!質問が!!私は見学で、怪我人が出た場合の処置のために、」
「もしも怪我人が出た場合は授業から抜けてもらって良い。だが、そうならない限りはこの3人と共に生徒たちを見てくれ。頼んだぞ。」
そういう事は、先に、言っておいてくださいよ!!うわ!!楽しそうに笑ってる!!くそ!!
「え?相澤先生ー、ヒーロー名って戦えるんですか?」
「保健室の先生だから、治療しか出来ないと思ってたんですけど……?」
「…………皆ヒーロー名の戦うところ見たことないんだね。」
デクくんが目を丸くして、そして細くした。
「それだけ、力を出さなくても平和が守れてるってことかぁ。良い事だね!」
「…………うん、本当に。」
私達の頃のように、何度もヴィランに襲われるようなことは無い。私も個性を使うのは皆の傷を癒すだけに留まっている。
それが、今も尚私が戦うことに違和感を覚える彼らに示されている。
「ヒーロー名は強ぇぞ。俺は負けた事がある。」
「……………………は?え、しょ、ショートに!?」
「あ、いや、1回だけだし、そんな、」
「……俺ァまだテメェに負けた事忘れてねぇからな。」
「………………え、私爆豪くんに勝ったことあったっけ。」
「あぁ!!?忘れてんじゃねぇよ!!あと大・爆・殺・神ダイナマイトだぁ!!!」
「ご、ごめんごめん……。」
ところでいつだ、ショートくんに対してはしつこい程に手合わせを頼んで来たけれど。彼に対しては……。
まけて、ねぇよ!!
思い出された私の足元で転がりながら叫ぶ爆豪くん。………………え、もしかしてあれの事を……。
「…………もしかして、1年の対人演習での事を言ってる?」
「それ以外に何があんだよ細胞野郎!!!」
ガーッ!!キレすぎではないかな、怖すぎるよ。大人になっても変わらず怖すぎ。
「ダイナマイトにも勝ったことあるとか…………すげぇえええ!!!」
「ヒーロー名なんでそんなの黙ってたのさー!」
「あ、いや、黙ってたとかじゃなくて。今は絶対勝てないだろうし、」
「なんでだ?」
「んでだよ。」
「…………お?」
首を傾げる元ツートップ達。
「いや、だって。私あんまり現場とか出てないし、」
「でも個性は毎日使ってんだろ。」
「まぁヒーロー科は毎日のように怪我してくるからね……。」
「それがおめぇの現場だろ。言い訳してんじゃねぇよカス!!」
なんだそりゃ。……でも言いたいことはわかった。
そして少しだけ私も興味が湧いた、今の自分が彼らにどこまで手が届くのか。
仕方ないなぁ。なんて雰囲気を出しつつ白衣を脱いで、私は彼らと同じ、プロヒーローとして生徒に向き合った。