期末テスト
「轟くん!!!」
「お、どうだった。」
「良い感じ!!さっぱり分からないのは少なかった!!」
「……でもあったんだな。」
その言葉にうぐっ、と詰まるが事実、手応えありだ。赤点まではいかないだろうし、そこそこの順位までは取れるのでは無いだろうか。
「あとは実技かぁ…………。」
「……結局駄目だったんだっけか。」
「うん。相澤先生に平等なテストをしなければならないからそれは受け付けられない、って。」
「……ある意味不平等にも見えるけどな。」
「……………………ほんとにね。」
人を治す力で入学したのに、この力で突破出来ないテストとは。
まだ始まってもいないテストに対して想像しては、項垂れた。
◇
「あ!!響香ちゃん!!おかえり、大丈夫!?!?」
「大丈夫大丈夫!ちょっと耳から血出ただけで、もう止まったよ。」
モニター越しに見ていて慌ててしまった。けれど結果として口田くんと響香ちゃんのペアはテストを突破出来ていて、安堵した。
「あんたの番はまだ先だっけ?」
「うん、最後から2番目だから……。」
「そっか……頑張りなよ、ペアに恵まれてるんだからさ。轟とならなんとかなりそうじゃん?」
「どうだろう…………私が本当に何も出来なさすぎて、駄目かも……。」
今回のテストは2人1組。しかしながら21人いるうちのクラスは、1人だけ2回テストを受けて全員2人1組でやるとの事だった。
そしてその2回やる役に選ばれたのは、優秀な轟くん。爆豪くんが何やら怒っていたが、怖すぎて聞いてない。
しかし轟くんの成績は、どんな結果であろうと1回目の方で判断するとの事。轟くんの1回目は既に八百万さんと合格出来ているので、彼の成績に傷をつけなくて済む、それだけがせめてもの救いだった。
「轟くんの成績にならないとは言え……勉強教えてもらったのに…………その恩を仇で返すような恥を…………なんなら本当に何も出来なさすぎて呆れられ……勉強なんか教えるんじゃなかったとか………………。」
「こらこらこら!!ネガティブ過ぎ!!」
ぐい。俯いていた顔を響香ちゃんに上を向かされる。
「下向いてたら、どんどん暗い方向にしか考えられないよ!!もうテスト受けるのは仕方ないんだからさ、少しでもポジティブに行くしかないって!!」
ぐっ。と歯を食いしばる。でも、だって。と言いたくなるが、意思の強い響香ちゃんの瞳に見つめられそんな言葉は今はいらないのだと喉に押し込む。
こんな時、響香ちゃんがそばに居てくれるのは凄く助かる。すぐにネガティブになってしまう私のおしりを叩いてくれる存在。
「…………ありがとう、響香ちゃん。」
「うん、頑張れ!!」
「………………頑張るけど、補習になったら慰めて……?」
「勿論!!」
◇
「苗字。」
「と、轟くん。」
「……緊張、してるよな。」
「そりゃ、うん、まぁ、そう、だね。」
「っふふ、ちゃんと話せよ。」
「ぐぅっ…………だって、相手は相澤先生だし、轟くんに迷惑かけちゃうだろうし、」
あ、また下向いてる。
ぐいっと頭を上げてくれる響香ちゃんはもうここにはいない。
下を向いて、言い訳を、駄目な自分を吐き出したい。だけど。ぐい、自分で俯いた顔を起こす。
「っそれでも頑張るから!!お願いします!!」
そう伝えると、目を丸くして驚いている轟くん。
「……あぁ、よろしくな。お前の成績かかってんだ、俺も足引っ張らねぇよう頑張る。」
そう言ってくれた轟くんと共に、アナウンスの鳴る会場へと足を踏み入れた。