殴り合い
生徒に教えて、元同級生達とも個性で殴り合って。
その結果、無事でいられるはずもなく。私はグラウンドの床で屍となっていた。
とは言え、轟くんや爆豪くん、緑谷くんだって膝に手をついていたり、ぜぇぜぇ息切れはしている。生徒達は貴重なプロヒーロー同士の手合わせに大興奮したままだ。
「……っ何が、……現場とか出てない、だよ…………。」
顎まで伝った汗を拭いながら轟くんは笑った。
「いや…………私も、ここまで動けるとは……思ってなくて…………。」
彼らと対峙して、私の体は筋肉はあの頃の動きを思い出してくれた。
そして彼らと組手をする中でそれらはどんどん思い出され、あの頃のわくわくや成長する喜びを思い出し、夢中になってしまった。
自分の衰えた筋力や体を忘れて。その結果これである、生徒に大きな口を叩いておいてなんとも恥ずかしい。
「……ぜぇ、……俺の、……勝ちだからな……!!」
「それはもう…………譲りますよ、……全然……。」
「あぁ!!?譲るじゃねぇ、俺が完璧な勝利を収めたんだ!!」
「…………………………爆豪くんは、変わらないね。」
「っどーういう意味だそりゃ!!あと大・爆・殺・神ダイナマイトだっつってんだろ!!」
ごめんごめん、と笑いながら手を貸してくれる緑谷くんに引き上げられるようにして立ち上がる。
「あの、ヒーロー名……治療って可能かな……?」
「……うん、それぐらいの体力は……そんな派手な怪我でもした?」
緑谷くんの体を一通り見るが、別段大きな怪我は無いように見えるけど……?
「あ、その…………ヒーロー名にやられた傷が中々、痛くて。」
「……俺もだ。」
「俺は痛くねぇ!!」
そ、そういう事か!!確かに加減なんてあんまりしてなかった、彼らはタフだと知っていたから、
爆豪くんは痛くないって言ってるけど、歯を食いしばってるのバレてるからね、なんで強がるの!?
「ご、ごめん!!すぐ治す!!」
「…………なんかあーゆーの見てるとさ、」
「何?」
「先生って本当にあの3人と同級生だったんだなぁって思う。」
「わかる、距離感がね、あれだもんね。デクとウラビティとかフロッピーとかと一緒にだもんね。」
「それな。…………今更ながらにすごい人に治して貰ってたんだなぁ。……ちょっと得した気分かも。」
「なんやそれ。」
「わからんけど、なんかそんな気がした。」
遠くで聞こえた笑い声にかまけている暇もなく、私はただただ治療に専念した。