未熟者
「今日は対人演習を行う。2人1組。1組だけ3人な。」
対人演習……………………。
期末テストから数日後、ヒーロー基礎学での授業中。相澤先生はそう言った。
期末テストの帰り、轟くんに私の過去を聞いてもらって、彼は思っていた通りの言葉を放った。
俺と、似てるな。と。
私も思ったんだ、詳細は知らなかったが体育祭でのエンデヴァーの様子や、頑なに左を使わなかった轟くんの様子を見ていて。
だから、彼は人一倍私の気持ちを理解してくれて、自分の過去も話してくれた。
俺もまだ制御も下手で、まだまだあいつへの恨みは消えない。でも、努力していこうと思ってる。だから、
一緒に頑張っていこう。そう言って笑ってくれた轟くんを、きっと私は忘れない。
実の父親に化け物だと言われた、父親を攻撃した、腕を壊した私へ、軽蔑もしない。可哀想だとも言わない。それはきっと、私の気持ちをわかってくれるから。
だから私も頷いた。逃げ出さないように、怖くてもこの力と向き合って行くために。彼と一緒に頑張るために。
…………なん、だけ、ども。
いざこうして授業の一環とはいえ、戦闘訓練がやって来るとビビってしまう。
なんなら今まではほぼ戦力外として扱われてきて、こうして2人組の時は、必ず3人枠だった。
でも、今回は。
「組み合わせを発表する。」
そう言って映し出されたモニターに目を滑らせていくと、
耳郎 苗字
きょ、響香ちゃんだ……。
と言うかやはり、3人枠は卒業か…………緊張感が増す。
「順番は次の通りだ、さっさとコスチュームに着替えて準備しろ。」
◇
「よろしくね、名前!あんた期末テストで凄かったし期待してるよ!」
「うっ…………あ、あれはマグレって言うか。」
響香ちゃんにも、私の話は話してある。期末テストの後、どうしても。どうしてもクラスで仲良くしている響香ちゃんには伝えておきたくて。
彼女もまた、全ては理解してあげられないけれど、力と向き合う私を応援する。と言ってくれた。
「大丈夫、うちも索敵と攻撃。両方頑張るからさ、名前のミスをカバーする!とまでいかないけど…………お互い未熟者なりに頑張ろ!」
今日も意思の強い瞳でそう伝えてくる響香ちゃんは、やっぱりかっこいい。
そんな彼女に対して、私は今日もでも、とだって、が止まらないが無理やり飲み込みコスチュームへ袖を通した。