演習
「………………え?」
「………………マジ?」
『悪いな、お前らの相手だった尾白と峰田だが、峰田が腹下してて今来れない。だから繰り上げて、』
ギギギ……と言う音を立てながら、響香ちゃんと前方を見る。
「よぉ……お前の個性、ちゃんと見せろや。その上で俺がぶっ殺してやる!!」
「や、辞めなよ爆豪くん!!もー今日も口が悪いんやから……。」
『爆豪と麗日が相手だ、それじゃあ始めるぞ。』
「ちょちょちょ!!!」
「あー………………まぁ、頑張ろ、名前。」
「響香ちゃん!!焦点が!!目の焦点がぁ!!」
どこ見てんの!?と言うぐらい遠くを見ている響香ちゃん。現実逃避しないでよぉ!!私だってしたいよ!!
『5秒前。4…………3…………』
「…………とりあえず、隠れるよ名前!」
そう言われ腕を引かれる。いや、今ここから離れたところで!
『2…………1……。…………スタート!』
「おっせぇんだよ!!耳野郎!!」
「ぎゃあああ!!来てるよ!!」
「わかってる!!耳塞いでな!!」
ハートビートサラウンド!!!
案の定追ってきた爆豪くんに直撃。だが彼は、
「……っうっせぇんだよぉ!!」
距離を詰めてきて目の前に。
「響香ちゃん!!」
急いで抱えて進行方向から外れる。
「…………意外とすばしっこいじゃねぇか、なんで今までは隠してた?あ?」
にやぁり。面白いものでも見つけたかのような顔をしている爆豪くん。見られている私は恐らく産まれたての小鹿。
「おら!!さっさとテストのやつ出してみろや!!」
そう言ってまたも距離を詰められて、とりあえず響香ちゃんを遠くへ放る。
「っ名前!!」
「つっても触らせなければ、こっちのもんだけどな!」
私の目の前で手の中で散っている火花をこちらに向ける。
や、やば…………!!と思うが、勇気を出せ私。私が頑張らないと、響香ちゃんが!!
先生の言葉を思い出す。
お前は、轟が死んでも良いのか?
震えるな!!怖がるな!!
自分で自分の尻を叩かないと進めない未熟者。でも!!
空中にいる彼の足へ抱きつく。
「ッチ!!」
私だってヒーローになるんだ!!友達1人救えなくて、何がヒーローだよ!!
触れた足へ個性を使い、痛みを与える程度に破壊。
「ぐぁっ……!」
そのままバランスを崩したところを、肩や腕に触れて全て壊す。
そして飛んでいられなくなった所を極めつけに鳩尾を蹴り飛ばして、地面に転がす。
「っはぁ……っはぁ…………。」
「名前!!…………凄いじゃん!!爆豪倒して!!」
「う、うん………………こわ、かった。」
ふるふる震える自分の両手。
「まけて、ねぇよ!!」
そう言いつつ思ったように体が動かせないのであろう、彼は芋虫のようになりながら怒っている。
「あとは麗日だね!!行こ!」
「うん!」
「むし、すんなぁああ!!」
◇
「…………え!?爆豪くん!?」
「テメェ丸顔…………あいつらぶちのめせ……。」
「いや何してんの!?と言うかやられたん!?」
「うっせぇんだよ!!さっさと、」
近づく瞬間、爆豪くんが気づいたがもう遅い。
「お茶子ちゃん!!……ごめんね。」
「えっ、」
後ろから抱きついて、腕を重点的に痛みを。
「うぐぅあっ!?」
そして力が抜けて地面に膝を着いたところを、
「響香ちゃん!」
耳を塞ぎながら、合図を出して、ハートビートサラウンド。
耳を塞げない2人にそれはそれは効果抜群で、音が止んだ後に2人を見ると、
『……爆豪、麗日気絶。耳郎、苗字の勝利。訓練終了だ。』
「「やったぁ!!」」
ハイタッチして、ハグをする。勿論手にはグローブをつけて。
「凄いよ名前!!」
「いやいや、響香ちゃんこそ!!」
お互い褒めあって、もう一度ハグをした。
嬉しい、嬉しい!!友達も守れて、相手を倒せた。
未熟者にしては頑張ったのでは無かろうか。
…………私、頑張ったよ。頑張ったよ轟くん!!
見ててくれただろうか、見ててくれたといいな。