あれから私は吹っ切れて、午後の部もしっかりと楽しんだ。
そして帰り間際、変な空気にしてしまってごめんなさい。そうあの場にいた皆さんに頭を下げて回った。
すると皆さん凄く優しくて、皆''何か変なことを言ってしまったようだけど、ごめんね。''そう言った。私は首を振って笑った。
いつか轟くんの事も心の底からお友達、そう思える日が来るといいな、それが無理なら良い思い出でも良い。
私はこの辛過ぎる恋に蓋をすると決めて、前を向き歩き始めた。
これで体育祭でのモヤモヤは万事解決!!そう思ったのだが、
「…………まぁ?言い訳ぐらいは?聞いてやらんことも?無いって言うか?」
「まぁ??轟くんとの繋がりを黙っていた罪は??重過ぎるって言うか??」
あ、…………あ――…………。
「いやあの、これは、」
完全に忘れてた、あの体育祭が全国区で放送されていた事。
そのせいで今私は、教室の椅子に座らされ友人たちに囲まれる。マジでリンチされる5秒前だ。
「単刀直入に聞こう、…………彼氏?」
「違う!!それは本当に違う!!」
「ほう?…………じゃあまずは出会いから聞かせてもらおうか?」
「出会い!?」
はよせんか、そんな視線に堪えられず私は話し出した。
飼っている猫の名前を優しく撫でる轟くんとの日々を。憂いを帯びた瞳をしていながらも、私と飼っている猫の名前に対する言葉や仕草は本当に優しくて、あの頃からかっこいいのに優しいなんて凄いなぁと思っていた。
そして轟くんに距離を置かれた時。道端で泣くほどに辛かった。優しい優しい轟くんに突き放されたことが本当に辛くて、胸が張り裂けそうだった。
けれど、轟くんが頭を下げてまた仲良くして欲しい、そう話してきた時、私は嬉しくて夢かと思った。あの日から今も夢が続いているかのような感覚。
そしてまた仲良くしている内に、彼が寮へ入ってしまって。寂しく感じているうちに手紙や電話から彼の優しさを受け取って。
そして、そして。気づけば恋に落ちていた。
好きで好きで、笑顔を見れるだけで泣けてくるほどに大好きで。
それでも、私じゃ駄目だと気づいた。
「…………名前、もう大丈夫だよ、」
「…………え、でもまだ全部は、」
「…………………………泣いてるじゃん。」
そう言ってハンカチを顔に押し当ててくれた友人。湿った感覚に、駄目だな全然前向けてないじゃん。と呆れてしまう。
「……そんなになるほど、轟くんの事が好きなんだね。」
「……………………うん、でも、もう辛いから。」
辞めたいんだ、この片想い。そう呟くと友人は私の肩を抱くようにして腕を回した。
「うん、それは仕方ない!!轟くんはちょっとハードル高過ぎる。まともに追いかけてたら、心ボロボロになっちゃうよ。」
次の出会い探してこ!!そう言って励ましてくれた友人達には頭が上がらない。彼との関係を黙っていたのは私なのに。
こうして私は、周りの友人達に協力してもらいながら轟くんへの片想いを辞められるよう動き始めた。
◇
「やっぱり新しい出会いじゃね?」
「いやそれより先に轟くんでしょ、手紙とか電話とか。その辺先に辞めとくべき。」
「確かに…………もし新しい出会いあっても、轟くんとの繋がり合ったら逃げちゃうよね。」
「なるほど…………。」
確かにな、と友人達の言葉に頷く。やはり恋人でも無いのに手紙のやり取りはおかしいもんね、…………でも、
「なんて切り出して辞めたら良いんだ……。」
「そうだよねぇ、轟くんからしたら急に!ってなると不自然だし。」
「別に接点を減らせれば良いだけだからなぁ。」
「変に嫌われるような行動するのも駄目だもんなぁ。」
うーーん。皆で考える。
「…………なら、とりあえず少しずつやめていったら?」
「少しずつ?」
「うん、手紙もそんなにすぐ返事しないで期間置いてお返しするとか。それで手紙の頻度を減らしてく。」
「なるほど!!」
それなら自然だ。返事が遅いって言われても忙しくてって返せば良いし。
「とりあえずそれでやってみる!」
「おお!頑張れ!!」
「脱、轟くんへの片想い!!」
辞めよう、辞めるんだこの恋は。
自分が彼との格差に滅多打ちにされる前に。
私の心がボロボロになる前に。