VS魔獣
期末テストも終えて、夏休み!!の、はずなのだが。
「ま、魔獣じゃねぇかあああああ!!!!」
私たちは一体何をしてるんだ……?
林間合宿へと向かってたバスを途中下車させられ、始まった突然の魔獣との戦い。
「雄英ってこう言うの多いよね……。」
「本当にね……。」
麗日さんの言葉に深く頷く、なんで何も教えてくれないのか。
現れた魔獣は生き物を操る口田くんに従わず、誰かによって作られた存在だったのだ。
恐らく、ピクシーボブの個性だろう。と緑谷くんは推測していて、彼は本当にヒーローに詳しいなぁ。なんて場違いに感心してしまった。
峯田くんの前に現れた魔獣を緑谷くん達が倒し、
「さ、流石だなぁ……?」
正直びっくりして腰を抜かしていただけの私は心の中で拍手を送った、す、凄い。
皆も彼らを賞賛していると、次々に現れた魔獣達。
その中の一体が麗日さんに襲いかかる。
「!!お茶子ちゃん、」
梅雨ちゃんが気づくが間に合いそうもなく、私は急いで氷を地面に広げ足元を狂わせた。
その隙に拳に鉤爪を纏わせ、頭を殴り飛ばす。
「あ、ありがとう!!苗字さん!!」
「いえいえ!!怪我してなくて良かった!!」
◇
やはり苗字さんの動きは違う。
「…………緑谷?」
「え、ど、どしたの轟くん。」
「ぼーっとしてたぞ、目の前の敵に集中しろ。」
「ごめん……ちょっと苗字さんの事が気になって。」
「…………動き、すげぇよな。戦い慣れてるみたいだ。」
「そう!!僕もそう思ったんだ、僕達と同じ1年生なのになんでここまで差があるんだろうって……。」
「……でもあいつ、誰にも期待されてないって言ってたぞ。」
「……え?」
「………………過去に、何かあったのかもな。」
そう言い残して轟くんは先へ行ってしまった。……過去、かぁ。
轟くんのように家族との確執があったりするのだろうか、個性は親から受け継がれるって言うし。
「緑谷くん!!」
え、と振り返った時には、目の前にいた魔獣の頭が氷漬けにされていた。
「きき、気をつけて!?私轟くんみたいに高火力マシーンじゃないから全部凍らすとか無理だから!!」
そう言いながら苗字さんは胴体を殴りつけて破壊していた。
轟くんもマシーンでは無いよ、苗字さん……。
「ごめん、ありがとう!苗字さん!!」
「いえいえ!!それにしても多すぎるよ……すぐ疲れちゃう……。」
そう言って隣に立った苗字さんは、僕や他の人よりずっと息切れしているように見えた。
もしかしてあの造形する氷を放出するのは、八百万さんのように脂質や体力を要するのか?
「大丈夫!?無理しないで、」
と言って前方を見た時には複数の魔獣がこちらへ向かってきていた。
後方は未だ他の人達が応戦中で後ろへは行かせられない。
しかしあの数をどう一気に倒したら……、
「う、うわああ!!や、やばいよ緑谷くん!!」
「わ、わ、わかってるよ苗字さん!!」
「ば、爆豪くんとかは!?軽々倒せそうじゃん!!」
「か、かっちゃんは随分前に先行して行っちゃったよ!!」
「な、なんて言うことだ……!!」
そう言って冷や汗をだらだら流す苗字さんは、正直とてもじゃないが推薦入学者に見えない、ごめんね苗字さん。
とにかくここは狼狽えてる苗字さんは頼れない、僕がなんとか、
「どうしよう、どうし…………あ、と、轟くん!!」
「あ!?どうした!!」
「複数体こちらに向かってきてる!!援護して欲しい!!」
「わかった!……って言っても多すぎんだろ、後ろはつっかえてるし……」
駆けつけてくれた轟くんとも頭を抱える、どうしよう、ここをどう切り抜けるべきか、
「と、轟くん!!」
すると狼狽えていた苗字さんが声を上げた。
「どうした。」
「氷、出して貰えないかな!?」
「……自分でも出せるだろ。」
「そうじゃなくて!!お願い、早く、」
そう轟くんに泣きつきながら急かす苗字さん、ど、どうしたんだ。
轟くんは要望通り周辺を氷結させた。すると
「ありがとう!!」
感謝を述べた苗字さんは、出来上がった氷山の一角にかぶりつき……
かぶりつき!?
「ちょ!?お前何して!?」
「うわあああ!!?苗字さん!?口の中怪我するよ!?カチカチでしょ!?」
ガリゴリ、大きな音を立てながら氷山を食べていく……食べてるのか?わからないけどかぶりついていく苗字さん。
「らいひょーふ!!」
ぐっ、親指をこちらに立ててくるが、全然安心出来ない。あまりの危機に頭をやられてしまったとしか思えない。
「と、轟くん。もう苗字さんは放っとこう!!」
「あぁ、たぶんもう手遅れだな。」
酷い!!轟くん僕はそこまで言ってないのに!!サラッと言ってしまった!!
そんな事してる間にも近づいてる魔獣の群れ。
とにかく食い止めなければ、そう思いワンフォーオールを発動させ、轟くんも氷結の準備をした、が
「ありがとう、充電できた!!」
そう言いながら僕たちの間を割り込んできた苗字さんは
「一掃します、」
そう言って
辺り一面真っ白になった。