私の個性
「さ、寒……!!」
あまりの寒さにそう叫ぶ、何が起きたんだ。皆は、轟くん、苗字さん、
「轟くん!!苗字さん!!」
「緑谷、」
「轟くん!?」
声のする方へ振り向くと、先程と変わらぬ位置に佇んでいる轟くん。どうやら僕達は吹き飛ばされた訳では無さそうだった。
徐々に白いモヤは晴れて、状況が見えてくる。
すると群れは全て粉々に粉砕されていて、僕達の前には苗字さんが立っていた。が、
苗字さんの口からはフーッフーッと先程辺り一面を覆った、白い雪のようなものが呼吸の度に舞っていて、
「……っ!!」
剥き出しになっている腕や足はヒビ割れ、そこからも雪のようなものが溢れていた。
「苗字さん!!」
「……緑谷くん、ぶ、無事ですか。」
「無事だよ!!君が守ってくれたから……その、だ、大丈夫?ヒビとか、その雪みたいな蒸気みたいなやつは……。」
◇
「……震えてんぞ、苗字。」
そう言って駆け寄ってきてくれた轟くんは、私の体を抱き込んだ。
…………抱き込んだ?
「う、うおおおおお!!?」
「う、うわあああ!!?と、轟くん、そ、それはちょっと、」
あわあわあわあわあわと慌てる私と緑谷くん、もも、もしかしてこれ恋愛経験の乏しさを露呈してる!?
「だって震えてるだろ……それに体すげぇつめてぇ。」
「そそ、それは!!今!!吹雪を起こした訳なので!!」
「吹雪!?」
「そそそ、そうなの!!私の個性の1つで、氷をエネルギー源としていっぱい食べておくと口から火を吹く的な感じで吹雪をね!!吹けるんです!!だから、その、私寒いのは平気だから、その!!」
離してもらっても平気なんですよ!!!なんて体が熱くなってきてもう全然体も冷たくないと思う。
「じゃあこのヒビ割れはなんだ。」
心配そうに私の様子を伺いながら轟くんが腕を指す。
「ここ、これは、その、氷を多く摂取した後は若干パワーアップしてて、氷と大体同じ状態になると言うか、切島くんの硬化的な!!それでさっき思ってたより高火力の吹雪を起こしてしまって、衝撃で割れちゃっただけであって、」
「えぇ!?それ大丈夫なの!?」
「だ、大丈夫!!そのうち皮膚も人間の状態に戻るし!!その時にはこのヒビも塞がるから!!」
ね!!!!と念押しして轟くんは渋々解放してくれた。あれ、寒かったはずなのにもう汗が出そうなぐらい暑いんだが。
私の個性は非常に強力な個性だと認知されている、主にプロヒーローの間では知ってる人は多いであろう個性。
しかしながらデメリットも多い個性であり、先程のように氷状態になった時は勿論火に弱い。とても弱い。あの状態で火元に近づけば人に戻れず私は溶ける。
それに、基本的に夏の活動は大変だし、溶けるし、パワーアップしても溶けるし。造形もイメージが上手くいかないと中々出来ないし。とただ持っていても使えない個性ではある。
単純ではないから扱いが難しく、そして強い。そんな個性なのだ。
「とにかく、苗字さんが群れを倒してくれたから先に進もう!」
「あぁ。」
「うん!」
「……苗字、お前まだヒビ割れ治ってねぇぞ。」
「ちょっと時間かかるから仕方が無い、ちょ、え、」
「それで転けてみろ、お前粉々になるだろ。」
「だからって抱っこしなくても走れるよ!!そんなヤワな氷じゃないよ私は!!」
「うるさい、炎出すぞ。」
「鬼ですか!?」